糖尿病を患った方の診察で、残念に思ったことがありました。
その方は「悪いのはわかっている。だから、見る必要もない。」とでも思ったのでしょうか。
プリントした検査結果の用紙をさっさと内側に折り曲げて、バッグに閉まってしまいました。
その頑なな態度に、私は「この方が気づくまで、私は待つしかないのかな。」と思いました。
この方には糖尿病を真正面から取り組むことができない障壁が立ちはだかっているのですね。
「気持ちの壁」です。
人間ですから。完璧に自分をコントロールできる方というのはほんの一握りの少数派です。
多くの方は、時に挫折感を味わいながら、軌道修正しながら、なんとか前に進んでいます。
ですから、ほんの少しでいいのです。自分が健康のために取り組もうとしていることに喜びをつくり出してはどうだろうかと思いました。
ただし、ずっと先の将来を見据えた目標では疲れてしまいます。
「糖尿病の合併症を防いで、10年後も健康でいる!」なんていう目標を立てても(それが正しい目標であっても)達成感なんて得られるわけがありませんね。
小さくて細切れの目標をたてて、少し進んでは小さな達成感で喜びをつくり出してみるのです。
「そうだ。腹筋しよう。」
そう思って腹筋を10回やる。
「お。私えらい!腹筋を10回やった。」
お菓子を食べたくて、買ってきたけれど、全部なくなるまで、いつもより2日延ばした。
「お。私えらい。ちょっと頑張ったじゃない?」
喜びに焦点をあてる。
ストレスに感じて、すべてにやる気を失うよりも、小さな達成感で喜びを感じる方が前に進めると思いませんか。