沖縄県に「インフルエンザ警報」発令中

第4週(1月25日~31日)の沖縄県全体の定点あたりの患者報告数は34.29人で、警報開始基準値(30人)を超えてしまいました。

2月3日に「インフルエンザ警報」が発令されています。

(詳細は沖縄県感染症情報センターのサイトをご覧ください。)

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南部保健所管内が最も多く、52.71人。那覇が42.67人と続いています。

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定点医療機関でのインフルエンザウイルス型別報告では、A型が多いという情報でした。

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しかし、当クリニックに受診されたインフルエンザ罹患者では、B型も混在している印象です。

年齢別では、1-4歳、5-9歳で多く報告されています。

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いよいよ本格的な流行期に突入してしまいました。

 

予防方法を改めて確認しましょう。

① 食事の前や帰宅後には、必ず「手洗い」をしましょう。

② バランスよく栄養を摂取し、十分な睡眠をとりましょう。

③ 「咳エチケット」を実行しましょう。

④ 室内の換気に気をつけ適切な湿度を保ちましょう。

⑤ インフルエンザ流行中は、不要不急の外出を避けましょう。

 

 

沖縄県の日照時間

1月から曇り空で時々小雨が降る天気が続いている気がします。

今年は沖縄にも雪が降るような特別な気候ですから、沖縄県民もなんとなく何が起きても驚かない心構えみたいなものができあがっている気がしますが…。

 

沖縄県の日照時間が実は47都道府県の中で最下位であるというのは、意外に知られていないことかも知れませんね。

 

日照時間は正式には「回転式日照計」というものを使用して測定します。

kaitenEKO 英弘精機株式会社のサイトから)

反射鏡で直射日光をとらえる仕組みらしいのですが、直達日射強度のしきい値(120W/m2)を超えた明るさを「日照」ととらえるようです。

世界気象機関(WMO)という機関が定義した、これが正式な計測方法らしいです。

 

その計測方法での日照時間を都道府県別にランキングしたものが、「都道府県格付研究所」というサイトで見ることができます。

2012年の年間日照時間をもとに、日本地図を偏差値で色分けしたものです。

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沖縄は濃いブルー、「偏差値~30」になっています。

年間で1539時間、46位の山形県に約120時間の差があります。

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ちなみに日照時間1位は山梨県らしいです。

nisho rank01

 

沖縄県は亜熱帯で海に囲まれているので、雲が多く発生するせいなのかも知れませんね。

 

 

オーバーナイト透析者との新年会

先週末には当院でオーバーナイト透析を受けている方たちとスタッフとの新年会がありました。

透析室で出会うのとはまた違った表情を見せてくれて、それが意外な一面だったり、大変楽しい時間を過ごすことができました。

オーバーナイトでは、パーティションに仕切られているということもあって、まっすぐに自分のベッドに向かって眠りにつくので、日頃はあまり患者さん同士の交流もないのです。

自己紹介で名前を名乗ってもピンとこないので、透析室のどのあたりのベッドで寝ているのかを言って欲しいとリクエストがあるほどでした(笑)。

 

患者さんやその家族、スタッフとの親睦を深めるという機会として、非常に有意義な会だったと思います。

個人的に感動したのは、会の最後に、患者の皆さんからスタッフへ感謝の想いをつづった色紙をいただいたことでした。

 

 

私の方こそ、感謝です。

 

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絵本 「りゆうがあります」

本屋の中をいつものようにブラブラしていたら、中学生の娘が平積みになった表紙を指さして

「これ面白いよ。かわいい。」

と教えてくれました。

 ヨシタケ シンスケ著

「へ?どうして知ってるの?」

「学校の図書館で読んだんだけど。この人の絵、かわいいよね。」

 

早速手に取って読んでみました。

 

これは文句なく面白い絵本です。読んで笑って、幸せな気分になりました。

 

以下は出版社からの内容紹介です。

ぼくは、ハナをほじるクセがある。おかあさんにいつもおこられる。りゆうは、「おぎょうぎがわるいから」だって。ぼくもなにかりゆうがほしい。ちゃんとしたりゆうがあれば、ハナをほじってもいいんじゃないだろうか。
ぼくがハナをほじるりゆう。それは、ぼくのハナのおくにはスイッチがついていて、このスイッチをたくさんおすと、あたまから「ウキウキビーム」がでるんだ。このビームは、みんなを楽しい気持ちにすることができるんだよ。
ツメをかんじゃうのは、ツメをくわえて、大人にはきこえない音をだしているんだ。この音は、ゴミすてばのカラスをおいはらうことができるんだよ。
びんぼうゆすりをしちゃうのは、モグラたちに、今日あったできごとを「モグラ語」で教えてあげてるの。
子どもたちがついやってしまうクセ、それには、「りゆう」があるんです。

 

昔「おとこのこ」だった男性陣も、オトナになった今も「りゆうがあります」をやってしまっているのではないでしょうか?

昔はこの絵本のようにお母さんに、そして今は奥さんや娘さんに対して(つまり女性に対して)「りゆう」を必死になって説明している気がします。

ついついやってしまうクセを、このようにユーモアで笑い飛ばすのは、落語の世界に似て痛快ですね。これを屁理屈だと目くじら立てたりしないお母さん。呆れ顔ですが、心の余裕を感じさせます。

 

ヨシタケ シンスケさんの絵本をまとめ読みしたくなりました。

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沖縄県長時間透析研究会のお知らせ

いつの間にか、1月ももう最終日ですね。

朝のクッシュボール・ミーティングでは「1ヶ月じゃなくて、もう1年が終わってしまうように感じる」という感想が出ました。

本当に、時が過ぎていくのが年々早くなっていきます。

内的時間は人それぞれだと言いますが、だんだんとゴールを意識した歩みを考えずにはいられない感じです。

 

さて、2月には沖縄県長時間透析研究会を予定しています。

吉クリニックさんとさくだ内科クリニックの2院で始めた勉強会も、今年で3年目を迎えることになりました。

双方の都合がなかなか合わないこともあるのですが、なんとか年に1回のペースで勉強会を開催してきました。

 

第3回からは、吉先生とも相談して、2院以外の他の施設の方々も参加できるオープンな勉強会として広げようということになりました。

名称も「沖縄県長時間透析研究会」に改めました。

その記念すべき新生第1回の研究会が2月18日(木)にあります。

その日は、知識はもちろんのこと、是非その熱もお伝えしたいと思って、神戸の坂井瑠実先生を講師としてお招きしました。

以前にもお話しましたが、坂井瑠実先生はさくだ内科クリニックにとって大恩ある先生です。

 

私自身、とても楽しみにしている講演会です。

透析に関わる医療従事者の皆さま、是非、ご参加ください。

 

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2016年第3週インフルエンザの流行状況

そろそろ同じ職場の同僚や、あるいは同じクラスの同級生がインフルエンザだったから、インフルエンザの検査をして欲しいと申し出る方が多くなってきました。

さすがに家族がインフルエンザと診断されていて、その後に発熱、全身倦怠感、フシブシの痛みが出現しているのであれば、インフルエンザ抗原検査をしなくてもインフルエンザ感染症と診断します。

さらに言えば、流行期ではインフルエンザ抗原検査が陰性でも、インフルエンザ様の症状があって濃厚接触者であればインフルエンザ感染症と診断することがあります。

検査は、その時期によって偽陰性になることもありますし、検査自体の感度にも問題がないとは言えないからです。

(偽陰性:本当は陽性だけれど、結果が陰性に出てしまうこと)

 

時々、このブログでインフルエンザの流行状況を発信している目的は、皆さんへ注意を促すことはもちろん第一なのですが、私自身が流行状況を常に把握しておきたいという狙いもあるのです。

発熱で受診した中学生がインフルエンザであったら、「どこの中学校?」「部活動は?」「クラスで何人ぐらい休んでいるの?」「最近、何か行事とかあった?」というように職務質問みたいに質問攻めにしてしまうのは、統計のタイムラグを少しでも生の声で埋めようという思いがあるからです。(気を悪くされた方がいたらごめんなさい。)

 

さて、沖縄県の第3週(1月18日〜24日)インフルエンザ流行状況です。(詳細は沖縄県感染症情報センターのサイトをご覧ください。)

定点あたりの患者報告数は沖縄県全体で18.22人でした。

特に南部保健所管内は24.71人で、警報レベルの30人以上を超えようかという勢いです。

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次に患者報告数の過去との比較のグラフです。赤色が今年のラインですが、なんとなく2012年のラインをなぞっている印象ですね。

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年齢別にみると、1〜4歳、5〜9歳が多くみられています。

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何度も呼びかけたいと思います。(しつこくて、くどくても呼びかけ続けます。)

インフルエンザにかからないために、また、かかってしまってもうつさないために、「咳エチケット」と「手洗い」は徹底して行いましょう。

 

浸透圧のこと

昨日は、沖縄県腎臓病協議会(沖腎協)主催の慢性腎臓病の健康講演会でした。

平日の夜からの開催にも関わらず、熱心なその姿にいつも頭が下がる思いです。

 

 

さて、腎臓が持つ体内の水分の調節機能を説明するのに、「浸透圧」のことはどうしても避けては通れません。

浸透圧というのは、濃度の違いによって生じる圧の差のことです。

料理の時に、食材に塩をすり込むと水分が染み出てきますね。

きゅうりの塩漬けでもそうですし、ローストチキンの下ごしらえでも「汗が出る」を経験します。

それをどうやったら、一般の方にもわかりやすく説明することができるのかと悩みました。

 

 

細胞膜は半透膜と呼ばれていて、水は自由に行き来できますが、尿素などの物質は通さない膜になっています。

その膜が、下の図のように二つを仕切っている状況を想像してください。

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左も右も尿素の濃度に差がありません。これでバランスがとれている状態です。

 

左の区切りに尿素を入れて、濃度を高くしてみます。

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濃度差が生じていることが表現できているでしょうか?

 

そして、半透膜の間では水は濃いものを薄める方向へ動く性質があります。

この場合、右から左へと水が移動していきます。

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濃度が等しくなるように水が移動するので、ちょうど下の図のようになります。

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実際に、水分を体の中に保とうとした時に、尿素を利用する現象がみられます。

 

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腎臓のはたらきの検査で、尿素を測定するよりもクレアチニンで評価するのは、尿素が腎臓以外の要素で変動することが多いからなんですね。

例えば、健康な方が水分補給をせずに長距離を走ったりすると、腎機能にダメージがなくても尿素窒素はすぐに上昇します。

 

環境条件に左右されずに腎臓のはたらきを調べるために、クレアチニンを採用しているのはそういう理由があるのです。

 

 

映画「舟を編む」

2012年に本屋大賞第一位に選ばれた時に原作を読んでいたのですが、映画の方は最近ビデオで観ました。

  舟を編む 三浦しをん著

 

「大渡海」という辞書を作るまでの気の遠くなるような年月(原作では確か15年)を、まじめに、こつこつと、妥協せずに編んでいく物語です。

原作と比較してはいけないと自戒しつつも、やはり映画の尺に収まりきらない登場人物たちの歴史の重みというものはあると思います。

けれども、映画は映画独自の間合いで、時間の流れを静かに描いていました。

 

人と別れ、出会う。

月日は残酷に「選手交代」を告げます。

「大渡海」の編集室の人物たちも、異動があったり、退職があったり、そして新入社員が入ってきたり…。

監修者の松本先生は、「大渡海」の完成を待たずして、病気で亡くなってしまいます。

 

完成祝賀パーティーで前編集者の荒木が馬締君に言います。

「まじめ君。明日から早速、『大渡海』の改訂作業をはじめるぞ。」

完成したからと言って、辞書はそこで終わっていない。このさきがある。

人生と同じですね。

 

 

慢性腎臓病の健康講演会

沖縄県腎臓病協議会(沖腎協)主催の健康講演会が明日28日(木)にあります。

私も講師として関わらせていただいています。

 

9月、12月の前2回も、大変熱心な市民の方々に集まっていただきました。

内容としては、先日「CKD県民講座」でお話したものと同じなのですが、会場の講壇の目線が低いので質問もしやすいかと思います。

私が講師としてお話するのは、今回で最後になりますので、よろしくお願いいたします。

(最終回なので、ウワバグトゥのマジックをどこかに仕込もうと思っています(笑)。)

 

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「博士の愛した数式」

休日に時間が空いたので、ビデオで映画を観ていました。

以前に観たことがあって、原作もお気に入りの「博士の愛した数式」です。

寺尾聰さん演じる数学博士は、10年前の交通事故の影響で、脳に80分間しか記憶を保つことができません。

彼の生活の世話をすることになった深津絵里さん演じる家政婦さん親子との心温まる交流を描いた映画です。

博士は毎朝、彼の記憶にとって初対面である家政婦さんにこう訪ねます。

「君の靴のサイズはどのくらいだね?」

「24です。」

「24は4の階乗だね。実に潔い数字だ。」

4の階乗というのは自然数1から4までを掛け算した数字です。

つまり、1×2×3×4=24

また、家政婦さんの誕生日が2月20日だと知ると

「2月20日なら220だね。ほら、見てごらん。この時計の番号は284だ。220と284は友愛数なんだ。友愛の絆に結ばれた数字だ。」

友愛数というのは、220の約数の(220を除いた)総和が284。

284の約数の(284を除いた)総和は220。

とても不思議な関係の2つの数字のことです。

一時(ひととき)しか記憶がない博士は、自然にありのままに生きるしかありません。

記憶のない彼の反応が毎回同じであり、数学や人間に対する愛情が不変であることが貴重で稀有なものに感じられます。

映画はウィリアム・ブレイク の詩「無垢の予兆」から4行を最後に終わります。

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何度観ても素敵な映画です。

 

 

「無垢の予兆」Auguries of Innocence(壺齋散人訳)

一粒の砂の中に世界を見
一輪の花に天国を見るには
君の手のひらで無限を握り
一瞬のうちに永遠をつかめ

コマドリの籠の中では
天国が勢いよく詰まっている
鳩が充満した小屋の中では
地獄が一面に震えている

イヌが門の前で飢えていれば
それは国が滅びる前兆
馬が路上でこき使われていれば
天がやがて人の血を流す

狩られたウサギが泣き叫べば
脳みその神経が引き裂かれる
ひばりが翼を傷つけられれば
ケルビムは歌うのをやめる

シャモが戦いに備えれば
昇る朝日を驚かす
狼やライオンのうなり声は
人の心を地獄から呼び起こす

野の鹿はあちこちをさまよい
人の心を平安に保つ
子羊は争いの種になるが
いずれは肉屋のナイフにかかる

夕闇に飛び回るコウモリは
不信心な考えをもたらす
夜を待つフクロウは
不信心の恐怖を語る

ミソサザイを傷つけるものは
決して人に愛されない
牡牛を驚かすものは
女性に愛されることがない

ハエを殺すやんちゃ坊主は
クモの恨みを買う
甲虫をいじめるものは
闇夜に寝床を編むはめになる

葉っぱの上の毛虫が
お母さんのため息を繰り返す
蛾も蝶々も殺しちゃだめよ
最後の審判が近づいてるから

馬を戦争に訓練するものは
極地の門をくぐれない
乞食のイヌと寡婦のネコに
餌をあげれば君も太れる

夏の歌を歌うブヨは
悪口から毒を吸い取る
蛇やイモリの出す毒は
妬みの足ににじむ汗

蜜蜂が出す毒は
芸術家のヤキモチ
王子の衣装と乞食のボロは
けちん坊のバッグの中の毒キノコ

真実も悪意をもって語られれば
とびきりのうそになる
まったくもってそのとおり
人には喜びと苦しみがつきもの

このことを正しく理解すれば
私たちは安心して暮らしていける
喜びと苦しみを按配すれば
神聖な魂の着物になる