「マギの聖骨」

出張の時の楽しみは、往復の飛行機の中での読書です。

那覇空港2階のコンビニ横の本屋さん(宮脇書店)に入って、文庫本を物色して飛行機に乗り込みます。

帯のアピールを参考に、できるだけ没頭できるような本を選ぶようにしています。

 

あとがきを見て、故・児玉清さんが推薦文を寄せているのを発見したら、すぐに買います。

 

ジェフリー ディーヴァーの「リンカーン・ライム」シリーズもそうでしたし

百田 尚樹さんの「永遠の0」もそれで遭遇しました。

 

児玉さんの推薦ではありませんでしたが

最近では「マギの聖骨」に興奮しました。

まるで映画を見ているかのようなアクション描写と謎解きの連続で、物語の展開にずっと引きずり込まれていました。

主人公たちのピンチの迎え方、その乗り切り方が尋常ではなかったです。

著者のジェームズ・ロリンズはエンターテイメントに徹する方でした。

 

 

これはハリウッドがきっと映画化するのだろうと思います。

(もうしているのでしょうか。)

シグマ・フォースシリーズとして、続きそうな予感がします。

 

「マギ」というと、最近では少年サンデーに連載中の漫画かTVアニメのことを指すようですね。

でも、言葉の意味としては遠くないのでしょうが、あまり関係なさそうです。

 

漫画の方は「千夜一夜物語」をモチーフにした魔法使い(アラジン)ですが

「マギの聖骨」の方はイエスゆかりの東方三博士のことでした。

 

もちろん、「magic」の語源ですね。

 

 

「ブルーライト問題」

「ブルーライト問題」というものがあります。

パソコンのディスプレイやスマホの画面にLEDが普及するにつれて、その影響が強く言われるようになってきています。

bluelight 

ご存知のように可視光線の色にはそれぞれ波長があります。

長い波長と短い波長では屈折率が違うために、可視光線はプリズムを通すと波長にしたがって分かれていきます。

虹は、太陽光が分光された自然現象ですし、すべての光を含むので、赤から紫までまんべんなく同じ量で注いでいます。

一般的な白色LEDはというと、380~465mmの波長で、それはちょうど青色ということになるそうです。

分光分布にすると、ちょうどそのあたりだけ大きな山になっています。

白色に見えていて、実は青い光(ブルーライト)を多く含んでいるらしいのです。

 

ブルーライトは

「散乱しやすい光」であること

「高エネルギー」であること

の2つが特徴であるといわれています。

 

人体に与える影響は、これからの研究課題ではっきりとしたことはまだわかっていませんが

生活していくうえでサーカディアンリズム(1日のリズム)を狂わせるだろうということや

網膜や調節機能に悪影響を与えるのではないかと言われています。

 

夜に明るい光があふれているというのは、人類の長い歴史の中でも、日本では蛍光灯が普及して50年。

LEDができて20年の間の出来事なのです。

 

ブルーライトに限ってのことではありませんが

2012年には、アメリカ医師会が夜間照明の健康への影響について声明を発表しています。

 

2012.6.20 American Medical Association AMA Adopts New Public Health Policies at Annual Meeting

「夜間照明の健康への悪影響」
夜間、過剰な照明にさらされることは、睡眠障害を悪化させること、また車の運転にも支障を引き起こす可能性があります。

サーカディアンリズムへの影響を最小限にするための照明技術を開発しなければなりませんし、夜間の照明に関するリスクについての研究が進むことを期待します。

Alexander Ding氏は

「自然界は本来24時間の中で明暗を繰り返しています。

そのサイクルがサーカディアンリズムを正常に保ち、体内のバランスを保っています。

夜間に大量の照明にさらされると、これらのバランスが乱されて、

健康に深刻な悪影響を及ぼしたりする可能性があります。」

と述べています。 

医療従事者をはじめ、運転手など、夜勤のあるタイムシフトワーカーにも、その影響はもちろんあるでしょう。

 

夜寝る前にスマホの画面を見たり、パソコンで作業をしている方は

少し自分の生活を修正した方が良いかも知れません。

 

また、最近眠りが浅いなあと思う方がいたら、もしかしたら「ブルーライト」の影響を考えた方がいいかも知れませんね。

 

 

 

芯の太さ

「文具マニア」という言葉があります。

 

いや。

「文具マニア」という言葉を強調するのは間違いで

そういうマニアの方々がいらっしゃるということを強調すべきですね。

 

そのマニアの方々のお話を聞くと

ある一定の知識や情熱のレベルを超えること

そして、文具をこのうえなく愛する愛情を持たなければ

「文具マニア」と呼んではいけない気がしてきます。

「マニア」を自称するにはとても自信ないので、私は「文具ファン」のレベルです。

 

特に画材道具と筆記用具には、手にとるだけで癒されることがあります。

(これも「コーピング・レパートリー」に入れています。)

 

画材道具に関しては失敗談もあって、想いも深いのですが、それはいつかお話するとして

今回は「シャープ・ペンシル」のお話です。

 

北星鉛筆株式会社が制作した「大人の鉛筆」シリーズというシャープペンシルがあります。

まず、そのコンセプトに共感しました。

 

「鉛筆を使う事が少なくなった

大人の方々に幼い頃からなれ親しんだ

鉛筆で書く楽しさと素晴らしさを

再び感じてもらいたい。

そんな鉛筆屋が心を込めて作った

筆記具が『大人の鉛筆』です。」

 

本体が木材。芯の太さが2mm。

なので、とても手になじんで、まるで鉛筆で書いているかのようです。

 

sharppen

右から2番目が「大人の鉛筆」です。

 

気がつけば、芯の太いシャープ・ペンシルが集まってしまいました。

 

製図用やスケッチ・デッサン用のシャープ・ペンシルが相性が良いようです。

ビタミンC は一般人には風邪予防にならない !? 文献から

一般的な風邪薬に「ビタミンC」が入っているものを多く見かけますね。

 

ビタミンC は、風邪薬として効果があるものなのでしょうか?

そういう疑問をもとに、コクラン・レビューが調査報告をまとめてくれました。

 

Vitamin C for preventing and treating the common cold.
Hemila” H, Chalker E. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Nov 29;1:CD000980. DOI: 10.1002/14651858.CD000980.pub4. (Review)

背景:

ビタミンC(アスコルビン酸)が風邪の予防や治療に効果があるかどうかということは結論が出ず、実に70年間の論争の対象となっているそうです。

ここではビタミンCの風邪に対する次の効果

予防効果

治療効果

について明らかにしようとするものです。

 

目的:

ビタミンC が風邪の発生率、あるいは罹病期間や症状を軽くさせるかどうかを調べました。

服用の方法としては

普段からビタミンC を毎日飲み続けていた方が良いのか

あるいは風邪の症状が出現してから飲んでも大丈夫なのか

を検討しています。

 

選択基準:

ビタミンC を1日あたり0.2gよりも少ない量を使用した研究は除外しています。

また比較対照のない研究も除外しています。

比較対照のある研究のみを調査しました。

 

データ収集と分析:

「普段からビタミンC を飲むことは風邪を予防するか」という評価は、1回以上の風邪をひいた人を調べることで検討しました。

「風邪がすぐ治るかどうか」は風邪をひいている平均日数で比較しました。

 

主な結果:

全体として1万1千306人を対象にした29の研究によって風邪をひきやすいリスクについて分析しました。

 

 

〔ビタミンC は風邪の予防効果はあるか?〕

1万708人の一般人を対象にした調査では、ビタミンCをとっていない人のリスクを「1」とした場合、とっている人は「0.97」でした。

つまり、あまり差がなかったということ、とりたてて効果があるとはいえなかったようです。

しかし、598人のマラソン選手、スキーヤー、兵士など、普段から体を鍛えている人たちを対象にした5つの調査では、リスクは0.48にまで減少していました。

つまり、体を鍛えている人たちには、ビタミンCは予防効果があるようなんですね。

 

 

〔ビタミンC は「風邪ひきの日数」を短くさせるか?症状を軽くさせるか?〕

いつもビタミンC を飲んでいる人の「風邪ひきの日数」を調べました。(31の調査)

成人の場合、約8%の日数が短縮し、子どもは14%短縮していました。

 

特に子どもの場合、1~2g/日のビタミンC をとっていると、18%まで短縮されることがわかりました。

風邪の重症度もビタミンC 投与により減少していました。

 

 

〔ビタミンC は風邪の治療薬として使えるか?〕

風邪に対して、治療薬としてビタミンC が効果があるかどうかは、7つの調査で検討されました。

結果は、ビタミンC を使用しても、風邪の期間や重症度の改善に効果はみられませんでした。

 

 

レビューアの結論:

【予防効果について】

風邪を予防するために、ビタミンC を補給することは、一般の人たちに対してはあまり効果はみられませんでした。

しかし、日ごろから体を鍛えている人たちにはビタミンC は役に立つかも知れないということを示しています。

 

【治療効果について】

普段からビタミンC をとっていれば、風邪をひいている日数を短縮させることが示されました。

 

風邪をひいてから、ビタミンC をとることが有益かどうかについては

比較的安いものであること、安全であることを含めて

風邪をひいている期間が短くなるかも知れないですし

重症になりにくいということを考えると、価値があると考えた方が良さそうです。

 

アスコルビン酸

 

ただし、やはりいろいろと結論づけるには、もっとたくさんの調査研究が必要になってくるだろうとまとめていました。

 

 

個人的には、食欲が落ちている風邪症状のある発熱の患者さんには、ビタミンC は良いのではないかと思っています。

食事も摂れないほどに弱っている患者さんには、十分な水分とともに経口補給が良い気がします。

 

 

それと!

ビタミンC で予防効果を出すためには、日ごろから体を鍛えていた方が良いかも知れませんね。

(アスリートのように !?)

 

 

 

 

 

 

 

 

オメガ3 は体に良いというお話 文献から

 

ω3不飽和脂肪酸が血液透析をしている方によろしいというお話を紹介します。

 

2月6日の「Kidney International」という腎臓分野の医学専門誌に報告されたものです。

 

ω3不飽和脂肪酸というのは、α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などです。

ご存知の通り、これらが多く含まれている代表的な食品は青魚です。

つまり、イワシ、サバ、ニシン、カツオ、サケなどのおなじみの魚です。

また、クルミやフラックスシード(亜麻の実)などにも含まれています。

 

Inverse relationship between long-chain n-3 fatty acids and risk of sudden cardiac death in patients starting hemodialysis
Kidney International advance online publication 6 February 2013; doi: 10.1038/ki.2013.4

内容を紹介しますと

血液透析を導入された最初の1年間で、ω3脂肪酸の血中レベルの高い人と低い人を比較したところ

ω3脂肪酸の低い人は、心臓突然死で死亡するリスクが高くなるということが分かりました。

 

これは、心臓突然死した100人の患者さんについて調べたもので、ω3不飽和脂肪酸の血中レベルは有意に低下していたそうです。

さらにその血中の量が低ければ低いほど、死亡リスクが高まっていたということでした。

 

 

これは、魚や魚油サプリメントが比較的安く、容易に手に入りやすいということもあわせてよい参考となるでしょう。

 

この研究調査のさらなるポイントは、血液透析を導入した最初の1年間の死亡リスクに焦点をあてていることです。

実は血液透析を何年もされている方というのは、すでに尿毒症の時期を脱しているのですが

尿毒症の極期ともいえる血液透析導入前後の時期というのは、やはり身体的にリスクが高まる時期なのです。

 

 

血中のω3不飽和脂肪酸のレベルを測定し、高ければ高いほどリスクが減ったということは注目に値すると思います。

1-NEC_0262

 

ところで、ほとんど同じ時期に、ある意味正反対の調査報告も発表されました。

 

物議をかもし出している報告ですので、ご紹介します。

 

これは血液透析に限らない一般を含めたお話で

2月5日に報告された調査報告です。

 

Use of dietary linoleic acid for secondary prevention of coronary heart disease and death: evaluation of recovered data from the Sydney Diet Heart Study and updated meta-analysis
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8707 (Published 5 February 2013)

 

この調査報告の目的は

食事で摂取する飽和脂肪酸をω6不飽和脂肪酸、つまりリノール酸に置き換えることで

冠動脈疾患や死亡リスクの二次予防の有効性を評価しようとするものでした。

 

 

具体的にどのようなことをしたかというと

食事で使う通常の動物性脂肪、マーガリンやショートニングを

サンフラワー油(リノール酸)やそれを原料としたマーガリンに変更したそうです。

 

 

対象となる方は、最近、冠動脈疾患を起こした男性患者さん458名。

全原因死亡リスク、心血管死亡リスクなどを調査しました。

 

 

すると、驚くべき結果が出てしまったのです。

リノール酸に置き換えた群(221人)の方が、何もしなかった群(237人)より死亡リスクが高かったのです。

 

 

全原因死亡リスク 17.6% に対して 11.8%。1.62倍高いという結果でした。

同じく心血管疾患死亡リスク 17.2% に対して11.0%。1.70倍です。

 

 

冠動脈疾患を起こした方たちが対象ですので、一般の方たち全てにこの結果があてはまるかというと難しいかと思います。

 

またサンフラワー油だけの話なのかも知れないという異論もあるかも知れません。

 

最初の報告のω3脂肪酸に関しては不明のままです。

 

 

まだ結論を出すには情報が少ないというのが実情ですが

不飽和脂肪酸に関しては

動脈硬化の病態に関わってくるだけに、非常に関心が高まるところです。

 

 

 

「あるべきやうわ」

名僧である明恵は、月を愛し、月を詠んだ歌が多く

「月の歌人」と呼ばれていました。

そして、明恵が残した「あるべきやうわ」という言葉の意味を考えるとき

とても気持ちが引き締まる想いがします。

 

明恵が月を歌った歌を紹介します。

昔みし道はしげりて跡たえぬ月の光をふみてこそ入(い)れ

(当時の道は雑草が茂っていて、跡形もなくなってしまっている。月の光を踏んで、入ってゆくのだ。)

 

次の歌が面白いです。月の明るさを歌ったものです。

あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかや月

 

谷川俊太郎さんのことばあそびを彷彿とさせる歌ですよね。

 

さて、明恵は

『阿留辺畿夜宇和[あるべきようわ]』

という言葉を座右の銘にしていました。

 

『栂尾明恵上人遺訓』の冒頭には

「人は阿留辺畿夜宇和(あるべきようは)と云七文字を持つべきなり」

という法語から始まっています。

 

 

「明恵 夢を生きる」という本で、河合隼雄先生は次のように、「あるべきようは」について紹介してくれています。

ある時、明恵に糖桶(あめおけ)を贈った人があった。

明恵はどうも糖(あめ)が好きだったようだ。

後日になって明恵がその糖桶(あめおけ)を持ってくるように言ったとき、体裁をよくしようとして桶の上にあった藤の皮をむいて差し出したところ

「糖桶(あめおけ)は上を巻きたるこそ糖桶(あめおけ)のあるべきやうにてあるに、あるべきやうを背きたる」

と言って涙を流したという。

どんなものでも、それにふさわしい在りようをもっており、それを尊重したいという気持ちであろう。

 

 

明恵が「あるべきやう」とせずに「あるべきやう」としていることは

「あるべきやうに」生きるというのではなく

時により事により、その時その場において「あるべきやうは何か」という問いかけを行い

その答えを生きようとする

極めて実存的な生き方を提唱しているように、筆者は思われる。

 

 

つまり、日本人が好みそうな「あるがまま」という意味ではないだろうと言っています。

 

人にとって、常に「あるべきようは何か」という問いかけは

こころを見つめ、自分と対峙することの促しになるものでしょう。

それは時に厳しいものかも知れません。

 

でも、そこにすごく憧れを感じます。

 

 

オンラインHDFの生命予後 文献から

先週の木曜日、2013年2月14日付の腎臓関連の医学専門誌に

オンラインHDFは、従来の血液透析の方法に比べて、すべての原因を含めた死亡リスクを減らすという報告が出ていました。

High-Efficiency Postdilution Online Hemodiafiltration Reduces All-Cause Mortality in Hemodialysis Patients.

J Am Soc Nephrol. 2013 Feb 14. [Epub ahead of print]

まとめると以下のようになります。

オンライン血液濾過透析(OL-HDF)は、標準的な血液透析に比べて死亡のリスクを減らすかもしれないと言われてきました。

実際はどうなのかということを、スペイン バルセロナのグループが調査しています。

計956人の血液透析を行っている方を対象にして、以下のように透析の方法を2群に分けています。

従来通りの血液透析を続けていく群(450人)

高効率の後希釈OL-HDFに切り替える群(456人)

多施設で共同の非盲検ランダム化比較試験を実施しました。

 

結果は、すべての死因による死亡率を比較することとしました。

副次的には、心血管死亡率、入院、治療の忍容性などを明らかにすることとしています。

 

結果ですが、血液透析を続けている群と比較して、OL-HDFは全死因で30%死亡リスクを低下させていました。

 onlineHDF
また心血管疾患では33%の死亡リスクを低下、感染症関連では55%の死亡リスクを低下させていました。

 

推定上は血液透析からOL-HDFに、8人切り替えることで年間死亡を1人防ぐことができる計算になるそうです。

 

ほかにOL-HDFは透析中の低血圧を少なくし、入院するような状況を減らすという効果もみられていました。

 

まとめとして、高効率後希釈OL-HDFは、従来の血液透析と比較して、すべての原因による死亡率を減らすことができると結論づけています。

 

約1年前の2012年1月には同じ医学専門誌に、別のグループの調査ですが、これとは少し違うニュアンスの報告が出ていました。

つまり大量置換のオンラインHDFに関してはその効果は示唆されるものの、証明するにはいたらず

生命予後や心血管疾患のリスクに関して

はっきりとオンラインHDFの優位性があるとはいえないというものでした。

survival HDFvsHD

Effect of online hemodiafiltration on all-cause mortality and cardiovascular outcomes.

J Am Soc Nephrol. 2012 Jun;23(6):1087-96. doi: 10.1681/ASN.2011121140. Epub 2012 Apr 26.

 

最初の報告のようにオンラインHDFによる生命予後の優位性がランダム化比較試験できれいに証明されたのは貴重なことだと思います。

 

検査結果や症状は確かにオンラインHDFで改善することが分かっていましたので

「これだけ検査も症状も良くなるのだから生命予後もきっと良くなるに違いない。

今後の研究に期待する」

という結びが常套文句のようになっていましたから。

 

さて、我田引水的な論理の展開は十分承知していますし、話も飛びますが

これから先をあえて伝えたいと思います。

オンラインHDFの良さを確認できたわけですが、当然ですがオンラインHDFさえしていれば良いというものではないということです。

注意していただきたいのは、どちらの調査でも1回の透析時間を4時間としていることです。

最初の報告も1回の透析の平均時間が235.8分、つまり3.93時間です。

週3回、4時間ほどの透析であるならば、オンラインHDFが勝っているのは当然だろうという印象は以前からあったものです。

けれども、それで十分とするにはどうかという問いかけや振り返りは、透析治療を継続していくうえで常に基本的な姿勢だと思います。

透析治療に関わってきた先人たちの努力は、そうやって良い治療を確立してきたのでしょうから。

 

その条件のオンラインHDFならば、従来通りの血液透析を長時間、頻回された方が勝っているのではないでしょうか。

 

改めて、オンラインHDFの利点を挙げれば

・透析液の清浄化が必須であるため、非常にきれいな透析液での血液浄化が行えるということ

・透析アミロイド症の原因となるような物質の除去に優れているため、その発症や進展の抑制効果が期待できるということ。

・脚むずむず症候群やイライラ感などの改善効果が期待されること。

・貧血の改善

・栄養状態の改善

・透析中の血圧安定が期待できること

などありますが、これらオンラインHDFの良い効果を引き出すには、オンラインHDFでの長時間透析、または頻回透析を行うことが一番であることは間違いないところです。

 

さくだ内科クリニックでは全員にオンラインHDFあるいは I-HD(間歇補液血液透析)を行っています。

 

実感として、オンラインHDFをしていて思うのは

1回1回の透析の質を和らげるのにも、オンラインHDFは良い効果をもたらすということです。

しかし、やはり長期的に生命予後に関わるのは透析時間や回数、血流量なのではないかと思っているところです。

 

 

私たち自身、もっとたくさんのことを勉強しなければならないですし

あらゆる情報に対して謙虚にならなければならないと思っています。

 

 

スーパー戦隊シリーズ

 

2月17日(日)の朝に久しぶりにテレビをつけてみました。

偶然にも、スーパー戦隊シリーズの初回が放送されていました。

(偶然です。)

新しいヒーロー番組は「獣電戦隊キョウリュウジャー」というらしいです。

kyouryuujar

その前が「特命戦隊ゴーバスターズ」で「ゴーゴーファイブ」以来の「ジャー」がついていない戦隊名でした。

今回は、その反動なのか無理に「ジャー」をつけたかのような印象があったのですが、「強・竜・者」という意味があるらしく、なるほどと納得です。

さて、今回の脚本家メイン・ライターは三条陸さんということです。

ヒーロー番組では「仮面ライダーW」をメインで手がけた方です。

 

前回の「ゴーバスターズ」が小林靖子さんでした。

個人的には小林靖子さんは同い年ということもあり、大好きな脚本家さんのうちの一人です。

よく言われることですが、「未来戦隊タイムレンジャー」や「仮面ライダー電王」のようにタイムトリップを扱ったドラマ展開が秀逸な方です。

ただし、扱うテーマにドラマ性がありすぎて「大人向け」と評価されることもある方です。

私にはそれも魅力のひとつなのですが、「仮面ライダー龍騎」の時に最終回の前の回で龍騎が倒れてしまったのには、さすがに驚きました。

(でも、「仮面ライダークウガ」も最終回には主人公・五代雄介を取り巻く人たちが回顧を繰り返すばかりで

一瞬も変身後のクウガの姿が出てませんでしたが(笑))

 

話を元に戻します。

今日の「キョウリュウジャー」のお話は、初回ということもあって、とても明るい雰囲気につつまれていました。

「スーパー戦隊シリーズ」の話で「タックマン・モデル」のことを持ち出すのは、かなり強引でしょうね(笑)

 

 

社会学者のブルース・タックマンは、組織の発達段階について「タックマン・モデル」を提唱しています。

組織の発達は大きく4つの段階に分けられるというものです。

 

第1段階は「形成期」(フォーミング)。

グループはある目的と目標のもとに結成されます。

メンバーは共通の目標に向かって集まったという意識がありますし、ある種の興奮状態にあります。

お互いを良く知りませんし、新鮮さがあります。

 

第2段階は「混乱期」(ストーミング)です。

コミュニケーションが始まり、本音を出したり、自己主張など積極的な交流が始まったりしますが、同時にストレスを感じたりもします。

不穏な雰囲気も漂ったりします。

 

第3段階は「統一期」(ノーミング)です。

組織のルール、規範が明確になり、個人としても役割がはっきりとしてきます。

つまり、改めて自分達の目的や目標を再設定することになります。

 

第4段階に「機能期」(パフォーミング)があります。

成功体験が共有されるときです。

個人としてもグループとしても、成果があがり充実した期間を迎えます。

 

 

今日のお話は、まさに「形成期」の楽しさに溢れていました。

しかし、最後の場面で、変身後の姿で集合し、戦い終えた彼らの一人が提案します。

「悪い。このままお互いに正体を明かさないで戦いたいんだ。」

それに賛同するメンバー。

それを気にも留めず勝手に変身を解き、素顔で「キングと呼んでくれ」と明るく自己紹介するレッド。

これは脚本家の三条陸さんも楽しいだろうなあと思いました。

 

どんなキャラを立ててくるのか今から楽しみです。

 

それから「グループの発達段階」も。

(かなり強引にまとめました(笑))

 

 

 

 

「窓」

中学の時だったか高校の時だったか忘れてしまいましたが

国語の教科書にボードレールの詩が載っていて、読んだ記憶があります。

 

実を言うと本当に載っていたのかは自信がありません。

もしかしたら、受験勉強中に使っていたテキストに載っていたのかも知れないし

それこそもしかしたら、試験の設問の中に、その詩が使われていたのを

気に入ったので本を購入して読んでいたかも知れないです。

当時は、例えば湯川秀樹博士のエッセイを、試験問題で読んで感動してしまって、全文を読みたいと思って結局本を買って読んでいましたから。

 

お気に入りだったのが、ボードレールの「窓」という散文詩です。

 

 

 

 開いた窓を通して外から見る人には、閉じた窓を見る人ほどに多くのものが見えることは、決してない。

蝋燭の光に照らされた窓ほどに、深遠で、神秘的で、豊かで、暗くて、眩ゆいものは、ほかにない。

陽の下で見えるものは、決して、硝子窓の後ろで起こることほどに興味深いものではない。

この暗い、あるいは明るい穴の中で、人生が生き、人生が夢み、人生が苦しんでいるのだ。

 

 屋根また屋根の波の彼方に、僕は見る、既にしわのある、貧しい中年女性が、いつも何かに身をかがめて、決して外に出ることもないのを。

その顔から、その衣服から、その身振りから、ごくわずかなことから、僕はこの女性の物語を、あるいはむしろその伝説を、作り上げたのだが、時々僕は涙を流しながら、それを自分自身に語って聞かせるのである。

 

 もしそれが、哀れな年寄りの男であったとしても、僕は同じくらい容易くその伝説を作り上げたことだろう。

 

 そして僕は床につく、自分以外の人々の中で生きて苦しんだことを誇らしく思いながら。

 

 多分あなたは言うだろう、「その伝説が真実であることは確かかい?」と。

僕の外にある現実なんかどうでもいいだろう? それが僕が生きることを助け、僕があることを、また僕が何であるかを、感じる助けになったのなら。  

山田兼士 訳

 

 

当時、なぜこの詩が好きだったのか、今となっては思い出せないのですが

わずかな情報でその人の「物語」をイメージしていくことが、自分の喜びであり、存在価値なのだと言い切る作者に、共感していたのかも知れません。

 

作りあげた「物語」が

「隠れているものを見抜いている」のか

「見当違いの妄想」なのかは大きな違いですね。

 

 

イメージを押しつけない謙虚な気持ちで臨むのなら、医療者として良い助けにはなると思います。

 

 

「医者が心をひらくとき」

「医者が心をひらくとき」という本を時々読み返してみます。

訳者あとがきの最初の文章をそのまま紹介すると

アメリカ医師会雑誌(JAMA)に『ア・ピース・オブ・マイ・マインド』と題するコラムが始められたのは1980年のことである。
「A Piece of My Mind」というタイトルは
「人に本心を打ち明ける」という意味の「give a person a piece of one’s mind」というイディオムからとられたものである。
「本心を打ち明ける」という題名が示すとおり、このコラムは、医師自らが体験した喜びや悲しみを率直に語る場として設けられたものであるが、
開始と同時に多くの読者の共感を得るようになり、
やがて看護師、ソーシャル・ワーカーなど他職種の医療者、そして患者までもが、その「本心」を読者と共有する場となった。

 

 

いずれも短いコラムですが、感動せずにはいられません。

 

つまり、自分がかつて担当した患者さんの姿をどうしても重ね合わせてしまうことが多いのです。

描かれている医者と患者との関わりがユニークなものであればあるほど、共感している自分がいます。

 

そして胸の奥が熱くうずくのを感じてしまいます。

 

本の帯の文が言い当てていると思います。

「医師にとって、医療とは、実は、患者から学び続ける
不断の過程に他ならないことが描かれる。
患者から学ぼうとしない医師に医師の資格はない。」

 

肝に銘じたいと思います。