「見返さない」

私は、ほぼ日の「今日のダーリン」の愛読者です。

毎日更新される「今日のダーリン」に、わが意を得たりと共感したり、思いもしなかったことにヒントを得たり、糸井重里さんの肩肘張らない言葉の数々にいつも心を動かされています。

 

昨日の「今日のダーリン」では、1日の終わらせ方のお話をされていました。

 

糸井さんは「今日はイヤな日だった」と思って終わることが、最近ないのだそうです。

どういう日だったか?という問いがなく、いいとかわるいとかなくて、「終われてよかったぜ(ふ〜っ)と。」そう寝床に入るのが1日の終わり方なのだそうです。

つまり、終えられたら善しとするだけ。

 

糸井さんの次の言葉に、はっとしました。

「『テストはいっぱい受けたけど、採点することもない』というような、出来のわるい小学生みたいなものだ。」

 

これと同じような話を、「路上スナップのススメ」で、カメラマンの森山大道さんがお話していたのを思い出しました。

森山さんはデジタルカメラを使うようになって、撮る量が確実に増えていったそうです。モニターの画像をみると、イメージがどんどん膨らむのと並行して、撮る欲も膨らんでいきました。

そうはいっても、森山さんは撮ったそばからモニターを積極的に見返すことはしないそうです。

「撮影帰りのタクシーのなかでさ、暇だから見たりはするけれど、あんまり見たくはないね。昨日もけっこう撮ったけど、全然見てない。」

「全部を反芻する行為っていうのはさ、スナップの行為とはある意味、矛盾すると考えてるから。基本的なところで相容れないというか。」

「だから、いまからデジタルでスナップを始めようとしている人には、撮ったものをいちいち見返すな、と言いたい」

 

糸井さんの言っている「その日が過去になっている時間帯にいるのだから、いいだのわるいだの言おうが言うまいが、もう済んでしまったことなのだ。」という1日の終わり方と、森山さんの「いちいち見返さない」というスナップ写真の捉え方が、ちょっと似ていて面白いと思いました。

瞬間を濃い密度の中で生きている人の、実感から湧いてきた言葉なのかも知れません。

 

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敬意といたわり

敬老の日が過ぎた、昨日の外来で。

大正生まれのKさん(男性)が、嬉しそうにお話ししてくれました。

「おとといは敬老会があってね。10人ぐらいが前に出てね。私も踊ったよ。」

両手はカチャーシーのフリです。

私が「敬老会は楽しかった?疲れなかった?」と問うと

「いやあ。ありがたかったね。楽しかった。嬉しかったね。」と満面の笑みです。

 

 

このKさん。待合室では、4歳下の奥さんと車いすで向かい合いながら、世間話をしていました。

耳を傾けると、奥さんが後で食べようと思って置いていた食べもの(お菓子?)が行方不明になったことを話題にしているようでした。

「なくなったと言ってもな。あれは、私が食べたのではないと思うよ。」

「おじいさんが食べたのでしょ。孫が見ていたらしいよ。」

「え?そうだったか。ははは。すまんすまん。私は忘れるからなあ。」

その無邪気さに、Kさんの人柄がにじみ出ているようで、微笑ましい気持ちになりました。

 

 

ちょうど今読んでいる、「ゲーテの言葉」にこんな文章があります。

 

世間は、幼い子供には寛大であり、老人に対してもまた、同じように寛大だ。老人は「周囲に守ってもらう存在」という意味では、幼い子供と同じだからだ。

だから老人は、守ってもらうときには素直に守ってもらえば、それでいい。「子供扱いするな!」と腹を立てることはない。

腹など立てなくとも、老人へのいたわりは、両立するはずである。

 

 

周囲の人間に素直に感謝して、毎日の生活を楽しむKさん。

Kさんのように自然体で気持ちを表現することは、私の憧れでもあります。

 

 

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「London Calling / The Clash」

夕方にカーラジオを聞いていたら、懐かしい曲が流れてきました。

The Clash の London Calling です。

 

 

当時、高校生だった私は彼らが何を訴えようとしているのかというよりも、イギリスパンクのスタイルやセンスに触れて、得体の知れない高揚感を感じていたのを覚えています。

彼らの怒りは十分に理解できず、直接的には伝わってなくても、パワーだけは感じ取っていたのかも知れません。
純粋なまでの理想主義のミュージシャンとも言われていました。

歌詞の和訳をネットで拾ってきましたが、今の時代に聞いても、確かにそうかも知れません。

(こちらのサイトからの引用です→ 「洋楽歌詞を不確定的に訳してみた」 )

 

 

こちらロンドンより、遠方の街へ告ぐ
只今宣戦が布告され、戦闘が開始された

こちらロンドンより、闇社会へ告ぐ
狭い箱から出るんだ、少年少女たちよ

こちらロンドンより、俺たちに頼るな
あのビートルズオタクどもだって息絶えたんだからな

こちらロンドンより、どこにも盛り上がりはない
警棒を振り回す連中がいるときは別だが

氷河期の襲来、太陽の接近
メルトダウンは時間の問題、穀物は汚染され、原子力エンジンは停止、でも怖くはない
ロンドンは水没して、俺はテムズのそばで暮らしてるから

こちらロンドンより、猿真似連中へ
くだらねぇ、お前ひとりでやっとけ

こちらロンドンより、死んだゾンビどもへ
抵抗はやめて、落ち着くんだ

こちらロンドンより、俺は叫びたいわけじゃねぇんだ
けど、会話中にお前がイッちまってたの知ってるぜ

こちらロンドンより、見ろよ、俺たちはシラフだ
黄色い眼をしたあいつ以外はだが

氷河期の襲来、太陽の接近
原子力エンジンは停止、穀物は汚染され、原発事故だ、でも怖くはない
ロンドンは水没して、俺はテムズのそばで暮らしてるから

いいか、よく聞け
こちらロンドンより、そう俺もあそこにいたんだ
あいつらの答弁を聞いたか?
一部は真実だったんだ!
こちらロンドン、ラジオ局にて
これだけ言っても、俺に微笑んでくれないのかい?

決して似てるなんて思ってないんだ
似てるなんて、似てるなんて…

 

 

「ヤシチヌウグヮン」

昨日はヤシチヌウグヮン(屋敷の御願)だったようで、実家にはお供えの料理と餅が準備されてありました。

ヤシチヌウグヮンは、春秋の彼岸入り(今年の秋は9月19日)に合わせて行われるものです。

沖縄では私たちの日々の暮らしは「ヤシチガミ」という神さまに守られていると信じられています。

ヤシチガミに感謝し、家族の健康を祈願するのがヤシチヌウグヮンです。

 

また、前日には自治会で敬老会もあったようで、主催者側がカステラを届けに来てくれていました。

 

そのカステラとお供えの料理も夕食と一緒に並べながら、母がすすめました。

「モチ、食べるね? 味がついてないモチだけど。」

「お。いいねえ。モチはなんでもおいしいよね。」

「カステラは?クリニックに持っていく?」

「う~ん。どうしようかなあ。モチだけでいいかも。」

「なんで。みんなで食べたらいいさ。」

「いつもなんかあったような気がするんだよね。」

そのかわり、モチをたくさんもらいました。

「御願してくれたモチだから、ありがたくいただきます。」

 

こうしたちょっとした季節の行事がなされていくごとに、秋になったことを実感し、冬が近づいてくることを感じます。

夕方には少し雨が落ちて、葉っぱを濡らしていたのが、良い感じでした。

 

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「超訳 ゲーテの言葉」

 

超訳 ゲーテの言葉 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 著、 金森 誠也、長尾 剛訳

 

ゲーテの言葉にうなずいたり、納得したり、「この時、何があったんだろう?」と想像してみたり。特に、女性に対してはゲーテなりの強い思い込みでもあるのか知らん。と苦笑いしてしまいます。

優れた洞察力で数々の叡智に満ちた名作を生み出していったゲーテですが、彼の言葉を改めてまとめて読んでみると、意外に人間臭いことに驚かされます。

ですから、すっと胸に落ちることもあれば、「本当かなあ」と思ったり、読んでいてとても興味深いのです。

 

例えば、「忍耐力を養う三つの方法」の項です。

 

 

忍耐力を養う三つの方法

 

忍耐力を養うには、次の三つの方法がある。

一つは、遠大な計画を企てること。

どんな努力かも、成果がなかなか現れないと苛立つものだ。人は、本来せっかちなものだから。

 

もう一つは、登山。

この世の存在は全て、上から下へ行こうとする。登山はその絶対的な法則に刃向かうもので、だから、ひたすら、辛い。

 

そして、最後の一つは、ややこしい魚料理を食べること。

猫に笑われない程度に魚料理をきれいに食べるのは、とてつもなく手間がかかる。

 

 

いわゆる「あるあるネタ」ですが、忍耐力の養成に魚料理を持ってくるとは、すごいですね。

今度、グルクンを食べる時、思わず笑ってしまいそうです。

 

 

「君の名は。Another Side:Earthbound」

盛り上げ方が上手だなあと思いながら、やっぱり気になって手にとって読んでみました。

 君の名は。 Another Side:Earthbound  加納 新太著

 

ほかにも新海誠監督自身が書いた原作本がありますが、この本はそれとは違うスピンオフ小説です。(間違えないようにご注意ください。)

映画「君の名は。」で描かれなかった登場人物たちの心情だったり、過去の歴史だったり、つまり映画を補完するものです。

 

私は素直にこんな小説があってもいいなと思いました。

「観てから読むか、読んでからみるか」というのは、かつて一世を風靡した角川映画のキャッチコピーですが、それを思い出しました。

ただ少し違うのが、これがそのままの原作ではなく、スピンオフ小説だということです。

 

最後の「第四話 あなたが結んだもの」は、三葉の父親の過去と内面を描いたものでした。

この小説の魅力は、この最後の章に尽きるかも知れません。

 

映画「君の名は。」を観たあとに誰でもおそらく素朴な疑問が残ると思います。

あれほど困難なミッションが、なぜなされたのか?

この本の最後の章には、それが描かれています。

 

そして、それを描けば、おそらくもう1本映画が作れるのではないかと思うぐらい深い奥行きの物語が存在していました。

 

映画「君の名は。」を観た方は、ぜひ読んでほしい本です。おすすめです。

 

台風16号(マラカス)

台風16号(マラカス)が週末の3連休に西日本を襲いそうな予想が出ています。

昨日の夕方には石垣島地方と与那国島地方に暴風警報が発令されました。

中心気圧940hPaの非常に強い台風16号はコンパクトですが、暴風圏内に入ると急に風雨が強くなるようです。

 

今回は、気象庁米軍(JTWC)ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)も同じような予報円と進路図を描いているようです。

 

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これからさらに発達する見込みで、今後の台風情報に注意が必要です。

 

 

「本気になればすべてが変わる」

松岡修造さんの言葉は、本当に元気が出ます。

クリニックのスタッフの中にも大ファンがいて、私も遅ればせながら、それに追随する形で松岡修造さんの本を読んでみました。

 本気になればすべてが変わる 生きる技術をみがく70のヒント 松岡修造著

 

巷にあふれる自己啓発本とは大きく違いました。良い意味で予想がはずれたというのが正直な感想です。

修造さんの実体験からくる生の言葉だからでしょうか。ひとつひとつ説得力があります。

 

たとえば、58章。

自分の苦労ばかりクローズアップせず、身近で支えてくれる人たちへの感謝を忘れない。

「人は誰でも、家族や職場の人たちに支えられて生きています。けれど、あまりにも身近にいるため、本当のありがたさを感じることがなかなかできません。つらいこと、うまくいかないことがあると、どうしても自分の苦労ばかりクローズアップしてしまい、周囲の人たちの気苦労が見えてこないことが多いものです。」

「「自分の苦労ばかり見つめない」というのは、簡単なようで難しい。ときには相手のいやがる言葉をわざと言ってしまうこともあります。」

 

そして、最後にこう締めくくっています。

「何が起こるかわからない人生を、最後まで本気で支えてくれるのは、奥さんだけかもしれません。僕も、肝に銘じておかなければ…。」

 

共感しながら、胸にストンと落ちるのですね。どこまでも実直な修造さんの言葉です。

 

「目に見えないもの」

「忘れかけていた大切なこと ほほえみひとつで人生は変わる」 渡辺和子著を読んでいます。

どれも素晴らしいのですが、また素敵な言葉に出会いました。

 

「星の王子さま」に登場する、あまりにも有名なキツネの言葉です。

王子との別れの日に、キツネは「秘密」を教えます。

 

「とても簡単なことなんだ。心でないとよく見えない。大事なことは目には見えないってことさ」

 

目に見えないものを大事にして生きよ。

人生そのものの見方を変え、より主体的な生き方へと転換する視点です。

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また、金子みすゞさんの「星とたんぽぽ」という詩の紹介もありました。

こういう詩です。

 

星とたんぽぽ

 

 青いお空のそこふかく、

 海の小石のそのように

 夜がくるまでしずんでる、

 昼のお星はめにみえぬ。

    見えぬけれどもあるんだよ、

    見えぬものでもあるんだよ。

 

 ちってすがれたたんぽぽの、

 かわらのすきに、だァまって、

 春のくるまでかくれてる、

 つよいその根はめにみえぬ。

    見えぬけれどもあるんだよ、

    見えぬものでもあるんだよ。

 

「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」という繰り返しが、「見えるもの」にこだわって生きてしまっている私たちに注意を促しているようです。

大事なものは目に見えないがそこにあり、心で受け止めることができる。

人生の豊かさは、関係(絆)の質の豊かさにある。

 

金子みすゞもサン・テグジュペリも、私たちがなくしかけた「忘れもの」を思い出させてくれています。

 

https://youtu.be/XIybbqfl1I4

 

 

秋雨とダム貯水率

全国各地で秋雨前線の影響を受けているようです。

長雨は土砂災害の恐れもありますし、十分な注意が必要です。被害がないことをお祈りいたします。

 

7月、8月は珍しく沖縄県に台風が来ませんでした。

 

下は6月16日時点でのダム貯水率です。(沖縄県のダム貯水率の詳細についてはこちらのサイト→ 沖縄県企業局ダム貯水率 )

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7月になってグラフの下降具合が急になっていました。昨年(緑色のライン)の下降直線とほぼ同じ角度です。7月29日時点のグラフ。

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8月上旬にまとまった雨が降りましたが、その後も下降。昨年の貯水率を下回ってしまいました。

 

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今回の秋雨前線の影響で雨が降り続けて、また上昇しています。9月9日には昨年と同レベルに並びました。

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そして、9月14日現在。97.5%です。

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沖縄は、冬には雨が期待できないということもあり、今の時期のダム貯水率は非常に気になります。

(私が透析医療に携わっているということもありますが。)

 

週末には台風16号(マラカス)が沖縄地方に接近すると予想されていて、とても心配なのですが、一方で雨に期待するというかなり複雑な心境です。

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