今日から外来診療が始まります

透析室は1月2日からすでにスタートしていますが、今日から外来診療がスタートします。

年末年始も仕事を休めず、体調を崩された方も少なくないのではないでしょうか。

また、今日から仕事始めの方も、体調が悪いまま無理をして出勤される方もいらっしゃるかと思います。

 
できるだけお休みください、と言いたいところですが、それができないのが現実かも知れません。

けれども、無理をし続けて悪くさせるより、思い切って休んだ方がいいこともあります。

ちょっと立ち止まってお休みする勇気をお持ちください。

 
感染性胃腸炎やインフルエンザもまだ流行しています。

暑くなったり湿っぽかったりの天気の変化もあります。

体調管理に気を付けながら、新年のスタートを切っていきましょう。

 

 

脱水の補正にリンゴジュースはいかが 文献から

年末から胃腸炎が流行しています。

胃腸炎で特に注意しなければならないのは脱水症です。下痢や嘔吐で水分を喪失してしまううえに、悪心・嘔吐が強い場合は飲水ができずに体内の水分が不足してしまうことになります。

発熱があれば、不感蒸泄でさらに水分を喪失してしまいますね。

 

アメリカの医学雑誌にこんなタイトルの研究成果が発表されていました。

「小児における軽度の胃腸炎に対する希釈したリンゴジュースと電解質調整経口補液(飲料水)の効果の比較」

Effect of dilute apple juice and prefered fluids vs electrolyte maintenance solution on treatment failure among children with mild gastroenteritis*1

JAMA. doi:10.1001/jama.2016.5352.Published online April 30, 2016.

巷には脱水を是正する目的の経口補水液が流通しています。不足しがちな電解質を補うように成分が調整されていて、外来でも患者さんにおすすめしている製品です。

ただし、(特に子どもなど)味が苦手な人が少なくないかも知れません。

成人は「治療のために薬と思って飲んでいる」のでしょうが、子どもや高齢者は普段飲んだことのないものを、調子が悪いから飲むようにしようと言っても、うまくいかないことが多いものです。

 

ここでは、薄めたリンゴジュースが、経口補水液と比較してどうかという目的で研究がなされました。

場所はカナダのオンタリオ・トロント。

6ヶ月から5歳までの軽度の脱水を伴う胃腸炎を患った小児を対象にしています。

薄めたリンゴジュースが323人。リンゴ風味の電解質経口補水液が324人。

補水がうまくいかず、点滴による脱水補正や入院、予定外受診、症状遷延、3%以上の体重減少などの重症脱水が7日以内にみられれば治療失敗としました。

 

結果は、リンゴジュースの方が治療失敗が少なかったそうです。(16.7% vs 25.0%)

点滴による補液もリンゴジュースの方が少ないという結果でした。(2.5% vs 9.0%)

ただし、入院率や下痢や嘔吐頻度は2つのグループ間で差を認めませんでした。

 

この論文は、「小児の胃腸炎の軽度の脱水補正には希釈したリンゴジュースが経口補水液に比べて治療失敗が少ない」という結果を示してくれました。

 

 

個人的な感想ですが、幼い頃におばあがりんごをすりおろしてりんご汁を作ってくれたのを思い出していました。

今から考えても、脱水を補正するスペシャルドリンクだったと思います。

 

 

人のために役立つことを

透析クリニックは、1月2日から仕事初めになります。

1年の区切りが、週末にかかっていたので今年はわかりやすかったのですが、例年は12月31日と1月1日の区切りがなかなかつかないことが多いのです。

初詣もウィークデーには時間が取れないので、だいぶ経ってから行くことが多いのですが、今年は早くも昨夜のうちに初詣に行くことができました。

天気にも恵まれていますし、今年は「良い年」を迎えることができていると喜んでいます。

 

今朝、クリニックの郵便受けを見てみると、日本医師会雑誌が入っていました。

ふと新春対談のタイトルに目がいきました。

「人のために役立つことを」

中身を見てみると、その言葉の主は平成27年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智先生でした。

 

大村先生が作られた抗寄生虫薬イベルメクチンは熱帯病のオンコセルカ症やフィラリア症、沖縄に多い糞線虫症の治療薬として非常に多くの人たちを救ってきました。

また大村先生は、イベルメクチンをアフリカの方たちに無償で提供されています。それは年間約3億人の方に使われているといいます。

 

以下は対談の中の言葉の引用です。

「 (略)

 価値観というものは、やはり若いうちに醸成されるべきものだと思うのです。具体的にああしろ、こうしろではなくて、生きていくうえの人生観というか価値観について、まずしっかりと勉強してもらうための何かが必要ではないかと私は思います。

 ではどうするのかと言われたら、いちばん先に考えるのは、いかに人の役に立つかということです。ただ単に「勉強しろ」ではだめで、自分自身をいかに役に立たせるかを学ぶことから始めることが大切です。

(略)

 私などは子どものときから、「とにかく人の役に立つことがいちばん大事だよ」と祖母に言われ、教えられてきました。ですから、世の中がそのようになっていけば、医学ベースで「人を助けてやろう」と思う人が出てくると思います。」

 

実際に有言実行されてきた大村先生の言葉には説得力があります。

 

新春の時期に、読み応えのある対談でした。

 

明けましておめでとうございます

2017年元旦の沖縄はとても良い天気に恵まれました。

 

青空がとても爽やかで気持ちが良いです。

さあ、今日からまた新たな一周り(ひとめぐり)が始まります。

今までの経験を生かして、新しい歩みに挑戦できるように。

 

 

皆様のご多幸を心からお祈りいたします。

今年もよろしくお願いします。

 

 

今年もありがとうございました

2016年も暮れようとしています。

2016年もいろいろなことがありました。

それでも、大きな事故なく過ごせたのは、クリニックに親身になって関わってくださったたくさんの方々のおかげだと感謝しています。

ありがとうございます。

 

2年前の2014年1月には、「本当の必要に答えることができるように」と願いを立てました。

今、それが今年できたかと自問しています。

たくさんの後悔は、今夜の除夜の鐘で洗い流して、来年は気持ちも新たに精進しようと思います。

 

来年もよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

映画「この世界の片隅に」

半ば諦めかけていたのですが、なんとか今年に間に合いました。

仕事を終えて、渋滞の那覇の裏道を通って、久しぶりの桜坂劇場に向かいました。

上映時間が、午後6時50分に設定してくれているおかげで、仕事帰りに映画を観ることができます。

お目当ては、「この世界の片隅に」

私にとっての片渕須直監督の前知識としては「魔女の宅急便」の演出補(当初は監督として準備の指揮をとっていた)をされていた方だということぐらいでした。

しかし、「この世界の片隅に」は、期待を良い方に裏切ってくれた凄い映画でした。

 

娘と二人で観たのですが、観終わった後に「すごく感動しているんだけど、どう表現していいのかわからない。」と娘が言っていたのが印象的でした。

私も、ボキャブラリーの足りなさだけとは言い切れないぐらいに、言葉にならない感動を胸に感じていました。

この映画は、2016年で間違いなくベストの映画だと思います。私にとって、邦画、洋画、アニメ、実写を含めてすべての映画で、ベストの映画でした。

 

アニメーションとしても、高畑勲監督のような実験的なことを随所に盛り込んでいたと思いました。とにかく人の動きがリアルなのです。日本のアニメでは珍しい動きでした。

また、リアルといえば、呉や広島の当時の街にタイムスリップしたような背景描写も素晴らしかった。

アニメの可能性ってこれだよな、時代を超えてリアルに表現して実感させてくれることなんだよなと思っていました。

 

あと主人公のすずさんを演じる「のん」の演技がすごかったです。

すずさんは実在します。映画の途中からそう感じていました。錯覚なんだと我に返っても、すぐに実在するイメージしか湧いてこないのです。

人の弱さを説明ではなく、演技で表現するって大変だったと思います。

そして、成長していく過程をも観客に見せてくれました。

 

おそらく、この映画を観た人は、周りの人に「観た方がいい。」「一度観てみて。」「頼むから、観て。」と勧めていると思います。

それだけの映画でした。

 

 

映画を観たあと、遅ればせながら私も原作のこうの史代さんのコミックを読み始めました。

 

 

 

クリニックの納会

今日の夕方には、一通りの仕事が済んだ後で、スタッフルームに皆を集めて納会をしました。

ちょっとしたオードブルとお菓子を前に、ソフトドリンクで乾杯をして、スタッフの労をねぎらいました。

 

2016年は本当にいろんなことがありました。

自分のほぼ日手帳をめくって今から振り返ってみても、予測できないどころか思いがけないことの連続だったと思います。

なんとか乗り越えていけたのも、クリニックで頑張ってくれたスタッフのおかげです。

感謝しかありません。

 

夕方、クリニックの外に出たら、まっすぐな飛行機雲が天頂に向かっていました。

ちょうど西に沈む夕陽に赤く染まって、幻想的でした。

祝福のサインのようで、嬉しかったのです。

 

 

 

来年のマインドマップ

この時期になると、自分なりに恒例にしていることがあります。

来年のことを言うと鬼が笑うと言いますが、まさしく鬼が大笑いすることです。

それは、自分なりのビジョンをマインドマップにして描くこと。

 

確かに来年のことは「明日のことさえわからないくせに」と鬼からも笑い飛ばされてしまうことなのかも知れません。

けれども、時間つぶし(?)でマインドマップのブランチを広げていくと、なんとなくですが、それこそ地図(マップ)が浮かび上がってくる気がするのです。

「あれもせんといかん、あれも、これも」という事柄は確かにたくさんあるのですが、それは敢えて傍に置いといて、「あれもしたい、これもしたい」というアイデアを大事にして描くことにしています。

自分の願いが意外な形で表現されていたりして、思わずびっくりすることもあります。

 

2016年も残りあと3日ですね。

来年がもうすぐそこまで来ています。

 

感染性胃腸炎が警報発令中(那覇市)

那覇市内で感染性胃腸炎の報告数が24.86人と発表されました。(12月22日発表)

(くわしくは 「那覇市の感染症の発生状況」 をごらんください。)

 

警報開始レベルが20.0人ですので、それを超えたことになります。

すでにご存知の通り、原因となるウイルスのひとつがノロウイルスです。少量のウイルスでも感染します。

トイレの後、調理前、食事前はもちろん、こまめに手洗いを欠かさないようにお願いします。

 

消化器症状が出たら、「ほかの人にも感染するかも知れない」という意識が必要です。

「私の症状は軽いから大丈夫」と思わず、ある程度のオーバーリアクションが必要かと思います。

 

声をかけあって注意しましょう。