「福家警部補の挨拶」

頭がぼーっとして時間だけが過ぎていく日があります。特に久しぶりの休日。

前の晩の不摂生がたたって、何もする気が起こらない…というか、頭も体も動いてくれない日です。

ただし、今日1日何もしなかったではあまりに情けないので、無理矢理にでも本を読むことにします。

もちろん、気軽に読める本じゃないといけません。例えば、状況的に理解しやすいミステリーなどはギリギリセーフです。

 

以前に「倒叙推理小説」の紹介をしました。

刑事コロンボや古畑任三郎などが代表的なミステリーです。

まず、最初に犯人が登場します。物語の前半では、犯人の視点でストーリーが展開し、事件が起こります。

つまり、その時点では犯人が主役となって話が進むのです。犯人は完全犯罪を計画していますから、それがうまく成功したかのように見えます。

そして、後半。今度は警察や探偵の捜査が始まります。犯人を追いつめ、アリバイを崩し、犯行を暴いて事件を解決するのです。

読者は犯人の手の内を知っていますから、どんな方法でそれが暴かれていくのか、ハラハラ、ワクワク、楽しみながら読んでいくわけです。

 

以前に紹介した「福家警部補の再訪」は、倒叙ミステリーの典型で、面白く読みました。

今回は、そのシリーズの「福家警部補の挨拶」です。

 福家警部補の挨拶 大倉崇裕

この小説に出てくる犯人の中には、心情的に共感できる人物もいたりして、読者の心理として完全犯罪を望んでしまうケースもあります。犯罪は犯しているものの、悪人ではないのです。

「福家警部補もたまにはポカをしてもいいよなあ」と思ってしまいました。

どれも短編ですから、長編小説のように二転三転する複雑なラストにはならないのがこの小説の良いところでもあるのですが、あっさりと解決してしまうところがもったいない感じもします。

でも、前述のように頭がぼーっとして体が重い日には、程よい刺激をあたえてくれるミステリーでした。

 

面白いです。おすすめです。

 

朝の月

出勤時にふと西の空を見上げたら、昨夜の月がそのまま残っていました。

 

昨夜の月も思わずカメラを向けたくなるような月でした。

 

月曜日の朝です。

寝たりない体を無理やり起こした感じでしたが、朝の月を見て今日一日いいことがあるような、そんな気分になりました。

極楽も 地獄も先は 有明の 月の心に 懸かる雲なし

上杉謙信の歌を持ち出すほど、大げさではありませんが、月の心に近づくことができる、そんな1週間でありますように。

 

2016/17シーズンのインフルエンザワクチン接種終了のお知らせ

昨年10月から施行してきましたインフルエンザワクチン接種ですが、当院では今冬は先週をもって終了いたしました。

 

全国的に流行していますし、かけこみで希望される方もちらほらお見えになります。

受験生など2回接種をしてきたこともあり、長めに接種期間を設けておりましたが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

 

インフルエンザの流行状況も沖縄県全体でもまだまだ警報に近いレベルで流行しています。


手洗い、咳エチケットなどを徹底させて予防につとめましょう。

 

 

寒さと天気の悪さと野球のキャンプ

「寒いですね」という言葉が挨拶になるぐらい、昨日から寒波が襲ってきました。

一気に11℃ぐらいの気温でしたから、急激な温度の変化に体がついていっていない感じがあります。

「沖縄に引っ越してきて1年経つんですが、もう沖縄の体質になってしまったかなって思うんですよ」

寒い寒いを連発しながら、診察室で上気道炎症状を訴える患者さんが言っていました。

「でも、内地から来る方はみんな『沖縄の風は海の北風だから、寒さの質が違う』って言いますよね。」

「そうか。そういえば、そうなんですよ。なんだ。ちょっと自信をなくしていたところでした。」

風邪をひいて頭もぼーっとしていたのか、まともな思考も妨げられていたようです。

 

そういえば、寒かったり、天気が悪かったりすると、沖縄にキャンプに来ているプロ野球選手の皆さんに、とても申し訳ない気持ちになります。

何も悪いことをしているわけではないのですが、なんか悪いことをしてしまったような、すまない気持ちになるのです。

この気持ちは、沖縄県民に共通の「あるある」なのかも知れません。

早く天気が回復してくれて、どの球団も有意義なキャンプになるように祈るばかりです。

 

 

CKD予防講演会がありました

昨日は「慢性腎臓病予防講演会」でお話してきました。

北風が強く、時折小雨も落ちる寒い中、多くの熱心な皆さんが集まったのにはびっくりしました。

 

顔見知りの沖腎協の方に「何度も同じ講演をされて、先生は多少飽きているかも知れませんが、始めて聞く方は多いんですよ」と言われて、はっとしました。

たくさんの方々が集ったとは言え、まだまだ広めていく必要があるのだと思いました。

 

沖腎協会長の國吉實さんの体験談では、聞いている方々も身を乗り出すように真剣な態度でした。

配布資料の中に國吉会長からの「お願い」がありましたので、ここにも載せますね。

 

 

 

「人間」

先日、娘が「人間」っていう言葉の意味わかる?と訊いてきました。

「ヒトでしょ?」と迷いなく答えました。

その答えを聞いて、娘の顔がニタ~っとなりました。

「ん?じゃあ、もっと哲学的に?それとも詩的に説明せいって?」

「いやいや、そうじゃなくて、広辞苑で調べてみたらさ。友達と『まさか!』ってなったわけ。」

ためしに手元にあった電子辞書で広辞苑(第六版)を開いてみました。

 

にん~げん【人間】

① 人の住む所。世の中。世間。じんかん。

② (社会的存在として人格を中心に考えた)ひと。また、その全体。⇨人類。

③ 人物。ひとがら。「ーができている」

 

思わず「あれ?」と声をあげました。

「ね? 1番最初に、なんか場所とか世の中のことを言っているんだよ。こんな使い方したことないよね。」

「う~ん。人と人の間柄を重視した説明かなあ。ちょっと待って。別の国語辞典を調べてみよう。」

小学館の精選版日本国語大辞典を調べてみました。

 

にん~げん【人間】

一《名》

① 仏語。六道の一つ。人の住む界域。人間界。人界。人間道。⇨じんかん。

  *観智院本三宝絵(984)下

  「人間はくさくけがらはし。まさによき香をたくべし」

  [法華経-法師品]

② 人界に住むもの。ひと。人類。

  *今昔(1120頃か)五

  「天人は目不瞬かず、人間は目瞬く」

③ 人倫の道を堅持する生真面目な人。堅物。

  *雑俳・続折句袋(1780)

  「人間で一生仕廻ふ不器量さ」

④ 見どころのある人。人物。人柄。

 

「やっぱり1番は人の住むところかあ。これを見ると、仏教用語からきてるのかな? おもしろいね。」

そういえばと思って、現代文を多く採録している三省堂の「現代新国語辞典(第五版)」には、こうありました。

 

にんげん【人間】

〈名〉① [社会で生活している]ひと。「ーらしい生活・ーばなれしている・ー生身のー。まじめー。ーのくず。」

② 人がら。人物、「ーができている・ーのうつわが大きい」

 

さすがに、前の2冊とは違ってより現実に近い使い方を載せているようです。

 

小学〜中学時代は国語辞典好きだったのに、今にいたるまで「人間」って引こうと思わなかったのでしょうか。始めて知りました。

 

 

 

 

「慢性腎臓病」予防講演会のお知らせ

明日は那覇市特定健診課による「慢性腎臓病」予防講演会が予定されています。

 

沖縄県内に腎臓専門医が少ないこともあって、講師として私も講演することになっています。

1年前に行った県民講座のお話と同じ内容をお話するつもりです。

 

日時:2月9日(木)午後7時~8時30分

場所:那覇市保健所3階 大会議室

対象は那覇市民。参加費は無料。

 

私の講演よりも、是非聞いていただきたいのは、國吉實さん(沖縄県腎臓病協議会の会長さん)の透析患者としての実体験のお話です。

「透析に入る患者を少しでも減らしたい」という熱意で、生の声を聞かせていただけます。

 

1500日目

意外に思われるかも知れませんが、このブログは毎日更新しています。

取るに足らないことを書き連ねているだけのブログなので、続いているということにそれほどの意味があるとは思っていませんが、それでも続けているのは私個人のある願掛けのためです。

それで「ブログを読みましたよ。」と言われると、照れくさいやら恥ずかしいやら、申し訳ないやらで、ごめんなさいと言いたくなります。

 

願掛けについては、日数を決めて、願いを立てて、その期間が終わることを「満願」と言うそうですね。

「満願の日」とか「満願成就」というふうに使います。

私の場合は期限を決めずに願いを立ててしまったので、自分でもいつまで続けたらいいのか見当がつきません(笑)。

 

「佐久田家の人間が飽きっぽいのは血筋だ」と娘達も言っていますから、私にとっては続けることは絶ち物に近い意味があるのですが、それでも月日はあっという間に過ぎていくものですね。

今日で、ついに1500日目になりました。

 

先日、1000日目のことをこのブログで報告したと思っていたのですが、あれはもう1年以上前のお話です。

→ こちら「1000日目」

 

このブログでたくさんのありがたいご縁もいただきました。

感謝の気持ちをこめて、今日もお読みいただき、ありがとうございます。

 

これからも、よろしくおつきあいください。

 

 

散歩

昨日は少し時間が空いたので、宜野湾マリーナの方で散歩をしてきました。

ちょうど「てだこウォーク」のコースだったらしく要所にコース案内が掲示してありました。

 

 

あいにくの曇天だったのですが、北風も弱まっていて、散歩にはちょうど良かったです。

 

たくさんのヨットが係留されているさまは、圧巻ですね。

 

そこに腰かけて、スケッチブックを広げて自分の時間を楽しんでいる方もいて、ゆっくりとした時間が流れているのを感じました。

 

そういう私も、カメラマンを気取ってスナップ写真を撮りながら、潮の香りに癒されて帰ってきました。

 

 

 

「物語」を紡ぐ

今日はクリニックに縁(ゆかり)ある子の1歳の誕生日です。

院長室にはその子の命名札をずっと飾らせてもらっています。

沖縄では古くなるまで命名札を飾るというのが習わしで、私の実家では20歳になる私の長女の命名札を筆頭に、甥や姪の命名札が壁一面に貼ってあります。

 

先日、ある方に私のクリニックは「物語が生まれるクリニックですね。」とおっしゃっていただきました。

私がとても尊敬している方です。

その方は、物事の本質をズバリとついてくる方で、いつもその言葉にはっとさせられるのです。

 

言われてみて、自覚していなかったのですが、そう言えばそうだなと思いました。

私が憧れているのは、まさしく「物語を紡ぎ出してもらうこと」なのかも知れません。

その人にしか描くことのできない物語を紡ぐ手助けをさせていただくこと。

 

今日はおめでたい日です。

クリニックで事務仕事をしながら、一人でお祝いしています。