頭がぼーっとして時間だけが過ぎていく日があります。特に久しぶりの休日。
前の晩の不摂生がたたって、何もする気が起こらない…というか、頭も体も動いてくれない日です。
ただし、今日1日何もしなかったではあまりに情けないので、無理矢理にでも本を読むことにします。
もちろん、気軽に読める本じゃないといけません。例えば、状況的に理解しやすいミステリーなどはギリギリセーフです。
以前に「倒叙推理小説」の紹介をしました。
刑事コロンボや古畑任三郎などが代表的なミステリーです。
まず、最初に犯人が登場します。物語の前半では、犯人の視点でストーリーが展開し、事件が起こります。
つまり、その時点では犯人が主役となって話が進むのです。犯人は完全犯罪を計画していますから、それがうまく成功したかのように見えます。
そして、後半。今度は警察や探偵の捜査が始まります。犯人を追いつめ、アリバイを崩し、犯行を暴いて事件を解決するのです。
読者は犯人の手の内を知っていますから、どんな方法でそれが暴かれていくのか、ハラハラ、ワクワク、楽しみながら読んでいくわけです。
以前に紹介した「福家警部補の再訪」は、倒叙ミステリーの典型で、面白く読みました。
今回は、そのシリーズの「福家警部補の挨拶」です。
この小説に出てくる犯人の中には、心情的に共感できる人物もいたりして、読者の心理として完全犯罪を望んでしまうケースもあります。犯罪は犯しているものの、悪人ではないのです。
「福家警部補もたまにはポカをしてもいいよなあ」と思ってしまいました。
どれも短編ですから、長編小説のように二転三転する複雑なラストにはならないのがこの小説の良いところでもあるのですが、あっさりと解決してしまうところがもったいない感じもします。
でも、前述のように頭がぼーっとして体が重い日には、程よい刺激をあたえてくれるミステリーでした。
面白いです。おすすめです。