映画「俺達に明日はない」

アメリカン・ニューシネマの金字塔的な映画です。

「俺達に明日はない」(原題:Bonnie And Clyde)

アメリカン・ニューシネマとは、1960年後半から1970年前半、ベトナム戦争を背景にした反骨・反権力精神があふれる世相の中で生まれたひとつのムーブメントのことです。

 

この「俺達に明日はない」のボニーとクライドは、銀行強盗を繰り返しながら逃避行を続けます。

ですから、アンチヒーローで犯罪者なのですが、2人に共感してしまうのは、勧善懲悪を絵に描いたようなストーリーではなく、人間の弱さ、虚栄心、愚かさを隠すことなく描いているからでしょう。

まさしく、アンハッピーエンドで刹那的です。

 

もしかしたら、時代の揺り戻しで、現代にこそマッチする映画なのかも知れないと思ってしまいました。

 

 

 

 

 

ウチアタイ

最近、たまたま違う状況で2人の患者さんから、似たようなお話を聞きました。

 

曰く「若い医者ほど患者を脅す。」

 

まさかドクター・ハラスメントか?と一瞬心配しましたが、よく話を聞くとそうではないようです。

 

以前に紹介した落語「夏の医者」に出てくる寿命医者や手遅れ医者のようなものでしょうか。医者の特徴を表していました。

 

「このままだと悪くなるよ」とか「入院はイヤでしょ」などのネガティヴな結末を予感させながら、やらざるを得ない状況に追い込もうとすることのようです。

 

実は、これは若い医師に限らず、どんな医師でも自信のない時に、使いがちになる言葉かも知れません。

 

話を聞きながら、ウチアタイすることが多くて、黙って密かに反省していました。

 

「自信のない医者ほど患者を脅す。」

 

そうならないように、気をつけたいと思いました。

 

 

「ゲゲゲのゲーテ」

最近、何気なく手にした本が「ゲゲゲのゲーテ」でした。

 ゲゲゲのゲーテ 水木しげる著

本の表紙にもあるように、水木しげるさんはゲーテをこよなく愛し、それこそ生きるための処方箋として、ゲーテの言葉を常に座右に置いていたそうです。

「水木サンの人生は80%がゲーテです。」

第二次世界大戦が勃発した1940年。水木さんは18歳で、あらゆる哲学書、宗教書をむさぼるように読みました。

それは、いつか自分も招集されて戦場で死ぬかもしれないという恐怖を克服するためだったといいます。

先が読めなくなった人生、自分の意志や都合に関係なく、生命のあり方さえも否応なく決定される戦時下にあって、自分自身の人生について深く洞察するために、水木しげるさんは多くの書物と向き合って、その果てにゲーテにたどり着いたのでした。

その傾倒ぶりや、岩波文庫の「ゲーテとの対話」上中下3冊を戦地ラバウルでも雑嚢にしのばせて持ち歩いていたほどだったそうです。

戦地から帰ってきても、水木さんはゲーテの言葉に従って生きてこられました。

「水木サン(水木しげるさんは自分のことをこう呼びます)の80%はゲーテ的な生き方です。」

そこまで影響を受け、ゲーテの言葉から力を得て、人生を救われた方がいるのだったら…と、「ゲーテとの対話」を改めて読んでみたくなりました。

ゲーテ自身の作品「ファウスト」や「若きウエルテルの悩み」は心に残っているのですが、ゲーテの弟子エッカーマンが著した「ゲーテとの対話」は若い頃にさらっと目を通しただけで終わっていたからです。

 

水木さんが言うには「ゲーテは人間として大きい。普通の人よりひとまわり大きい。」

だから、ゲーテを読んでいると自然に自分も大きくなった気がするのだと言っていました。

もしかしたら、若い頃の自分にはわからなくて、今の年齢になって初めてわかる人間の大きさなのかも知れません。

 

 

 

インフルエンザ流行状況(2017年第7週)

インフルエンザ感染症がまだまだ流行しています。

詳しくはこちら→「インフルエンザ流行状況」(pdfファイルです)

 

例年のような爆発的な流行ではないにしても、注意報が発令されて約2ヶ月が経過していますし、この数週間はほぼ警報レベルに達しているような状況です。

近隣の中学校でも学級閉鎖に近いような状況であるという情報も入ってきています。

確かに、沖縄県の保健所管内別の数字を細かく見てみると、北部、那覇市、南部、八重山管内は30人を超えていますから警報基準値を超えていました。

沖縄県全体が注意報レベルでとどまっているのは、中部と宮古管内の数値が低いためですから、実質的には警報と同じように考えた方が良さそうです。

また、少し気になったのは、今までほぼ全例がA型だったのが、ここにきてB型もみられるようになってきていることです。

3月4月は年度の境で人の動きも活発化していきますから、なんとか流行が拡大しないようにと願います。

手洗いと咳エチケットにご協力ください。

 

絵本「モチモチの木」

先日、本屋に立ち寄った時に、絵本コーナーで久しぶりに立ち読みしてきました。

 モチモチの木 作:斎藤隆介 絵:滝平二郎

 

切り絵の描写が美しい名作中の名作絵本です。

本当の勇気とは何か?のヒントがいっぱいつまった本でした。

 

最後の、じさまの言葉が印象的です。

 

自分で自分をよわむしだなんて思うな。

にんげん、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、キッとやるもんだ。

それを見て他人がびっくりするわけよ。ハハハ。

 

幼い豆太の恐怖の対象がよくわかっただけに、当時は感情移入しやすかったのを覚えています。

 

映画「ダーティ・ハリー」

1971年(日本は1972年)の公開ですから、もう45年も前の映画なのですね。

昨日はなんだかハードボイルドに憧れる気分だったので、久しぶりに観てみました。

 

職務執行のために規律からの逸脱も辞さない信念の持ち主と言えば聞こえはいいのですが、今の時代にこの「ダーティ・ハリー」のような映画は作られないでしょうし、警官がやたらと発砲するシーンは非難の的になる気がします。

それでも「勧善懲悪」のストーリーは観ていてわかりやすいですし、犯人像を偏執狂的、非道に描けば描くほど、主人公への共感も強くなりました。

古い映画ですが、展開も画もシンプルですし、今観直しても面白い映画です。

 

けれども、観終わった後には、やはり「う~ん」となってしまいました。

それはラストシーンに象徴されています。ハリーは犯人を射殺した後、ポケットから警察バッジを取り出して、川に投げ捨てるのでした。その後、カメラはハリーの姿からひいて、その採石場一帯を一望してエンドロールが流れていきます。

非道な犯人を法によって裁けないことにハリーは正義感を燃やしました。犠牲者に寄り添ったハリーの怒りは、復讐心と言ってもいいでしょう。

直情径行に徹した主人公(ハリー)の、最後に残る切なさがなんとも言えない空気感を漂わせて映画は終わるのでした。

 

ダーティ・ハリーは5部作られていますから、そのすべてを観直したくなりました。

 

https://youtu.be/HjBNldYiUmg

 

 

コーピング・リストを100個集める

コーピングリストを100個みつける

以前にコーピングのお話をしました。→こちら「コーピング・レパートリー

 

コーピングというのは、「ストレスに対する意図的な対処」、もっと易しく言えば「気晴らし」のことです。

例えば、簡単なところでいうと「コーヒーを飲む」「音楽を聞く」「心の中で矢沢永吉風に『いいぞいいぞ、たのしめ!』と言う」など。

もうおわかりのように、コーピングは「頭の中にある考えやイメージ」(認知)や「動作や振る舞い」(行動)を実際に想起したり行動することです。

コントロールできない「環境」、「気分・感情」や「身体反応」はコーピングの対象にはなりません。

暑さ、寒さはどうにもならないですし、相手をどうかしようとしたって変わるわけがないですものね。

また自分の「寂しい」「悲しい」「切ない」もどうにもならない。

「筆ペンでゆっくりと字を書く」「とびきり絶景の写真を眺める」「ネコの写真を見る」など、ちょっとした気晴らしをたくさん見つけておくことが大切です。

 

前もってたくさん見つけておくというのが重要で、ある方は「100個のリストを準備しましょう」と言っていました。

できるだけたくさんの気晴らしを見つけて、そのリストを紙に書いてポケットにしまっておくのだそうです。リストを常に持って歩くのです。

ストレスに襲われたときには、それらの前もって準備したコーピング・リストが役に立ちます。

 

 

『電波堂劇場」

昨日の神谷明さんのLIVEは「電波堂劇場」で行われました。

「電波堂劇場」のオーナーの紀々さんとは、出身高校が同窓ということもあり、以前より仲良くさせていただいています。

詳しい紀々さんのプロフィールはこちらをご覧ください。→ プロフィール

「ラララ♪りうぼう」を歌っている方…と言ったら「あ〜聴いたことがある」と思い出される方も多いのではないでしょうか。

 

 

電波堂劇場が入っているビルは、昔からある古いビルです。

そして、電波堂劇場に対する、紀々さんの想いがつまった文章がここにあります。→ 電波堂劇場(旧studil紀々)の足あと

 

そんな電波堂劇場ですが、長い歴史のうえに、ついにクーラーの効きが悪くなって、この空間をあきらめようと思った時期もあったそうです。

けれども、この空間を応援する多くの方々の存在が紀々さんの心を動かしました。

「レトロな空間をあきらめるのをやめました!!」

→ 「電波堂劇場の応援団になってください!

 

 

私も「応援団にさせてください。」とお願いしました。

 

 

神谷明LIVE in OKINAWA episode.0

声優の神谷明さんのLIVEに行ってきました。

2時間の予定が2時間半もLIVEしてくれて、それでもあっという間の楽しい時間を共有することができました。

電波堂劇場という小さなスペースでのLIVEでしたから、神谷さんとの距離も近く、それこそ共有したという表現にぴったりの素晴らしいLIVEでした。

アニメのキャラの決め台詞あり、挿入歌やオリジナルの歌あり。

またBGMに乗せての「蜘蛛の糸」の朗読は、ほとんど鳥肌モノでした。

狂言の謡や時代劇風、落語家風、祝詞風、etc…、まさしく七色の声音を駆使した「芸術」でした。

観客と一緒に「リズム発声法」のトレーニングも楽しくて、自然に顔がほころんでいました。

 

個人的には「勇者ライディーン」のひびき洸が「フェードイン」してくれたのが、大満足でした。

 

インフルエンザ流行状況(2017年第6週)

日常の外来診療では、まだまだインフルエンザ感染症に罹患した方が受診しています。

 

2月15日に発表されたインフルエンザ流行状況でも、沖縄県全体の定点あたりの患者報告数は23.62人で、まだ「注意報」が発令中です。

ただし、下のグラフをみてもわかるように、ややピークを過ぎてきたかなという印象はあります。

もちろん、油断するわけにはいきませんが、3月上旬には高校受験なども控えており、ほっとされている親御さんたちも多いのではないでしょうか。

こんな時だからこそ、咳エチケットや手洗いの徹底のご協力をお願いいたします。