交代制勤務者と健康リスク

 

 

夜勤がある仕事、つまり交代制勤務者(shift worker)の健康リスクは

 

以前から指摘がある通りです。

 

A Longitudinal Study on the Effect of Shift Work on Weight Gain in Male Japanese Workers

Obesity  Volume 16, Issue 8, pages 1887–1893, August 2008

 

 

夜に働いてくれる人がいるからこそ、社会機能は維持されています。

 

分かりやすいのは医療の分野で、入院患者をケアするのに

あるいは救急患者を診療するのに

夜勤のナースや当番医の働きはぜひとも必要です。

 

言うまでもなく健康リスクが分かっていても

誰かがやらなければならないものとして手をあげてくれているのです。

 

 

下のグラフは交代制勤務者の体重増加を示したものです。

 

シフト勤務者と肥満

今後も問題になってくることです。

 

課題として、取り組んでいきたいことです。

 

 

ある日の診察室

 

 

毎日の診療で心がけているのは、できるだけ日常の言葉で説明するということです。

 

 

クリニックでは、胸部レントゲン写真や心電図、エコー検査、骨塩定量、

前に紹介した動脈硬化を調べるABIやCAVIの検査などができます。

血液検査や尿検査も項目によってはその日で結果が出ますので

診断をつけ、その方と治療方針を相談することができます。

 

 

ある日、撮影したばかりの胸部レントゲン写真を前に

いつものように説明を始めました。

 

 

「胸部レントゲン写真は、ちょうどヒトとヒトが向き合うように写ります。

ですから、左側に右肩、右側に左肩があるのです。

それから…。」

 

 

ひとつずつレントゲン写真のイロハから、説明するようにしています。

 

そうしているのは、説明しながら再度細かく確認できるというのがあります。

大事な検査ですから、見落としがあってはいけません。

「この丸く見えるもの、何ですか?」

ご自分のレントゲン写真に関心を持ってもらって

質問してもらえると、なお助かります。

 

 

けれども、今回は少々違っていました。

 

いつもの説明が、すーっと理解してもらえている手ごたえがあったのです。

 

 

説明が終わった後に、やはり気になったのでお聞きしました。

「失礼ですが、お仕事は何をされていた方ですか?」

 

 

やはり、医療従事者の方でした。

それも、私などペーペーの、大先輩の医療従事者です。

重鎮といっても良い方でした。

 

 

「うわあ。お恥ずかしい。釈迦に説法でしたね!言ってくださったらよかったのに!」

 

その方は、優しく微笑み、静かに

「いや。よくわかりましたよ。こうやって説明すると患者さんも安心するし喜ぶでしょう。」

 

 

参りました。

どれだけ赤面したことでしょう。

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“ダイエット” ソフトドリンクと糖尿病  文献から

 

 

少なくとも1日に1回、330mlの甘味料入りのソフトドリンクを飲むと

2型糖尿病になるリスクが5倍に増えるという報告がありました。

Consumption of sweet beverages and type 2 diabetes incidence in European adults: results from EPIC-InterAct

Diabetologia DOI 10.1007/s00125-013-2899-8

 

ヨーロッパの8つの国で、35万人を対象に調査した結果です。

 

 

ジュースなど、砂糖入りのソフトドリンク、あるいは人工甘味料のソフトドリンクを

おおまかに1日1回飲むと2型糖尿病の発症リスクは22%上昇したそうです。

 

 

考えてみましょう。

“ダイエット”に良いとされている人工甘味料のソフトドリンクも含めて

2型糖尿病のリスクが高いというのは、どういう理由でしょうか。

 

 

もちろん、砂糖と人工甘味料での糖尿病発症の理由は違います。

 

 

これには甘みを欲する人々の側に特徴があります。

“ダイエット・ドリンク”はいくら飲んでも大丈夫という思い違いもあるのでしょう。

いわゆる“ダイエット・ドリンク”は、ついつい飲む量が多いのだそうです。

 

 

そして、もっと大切なポイント。

定期的にソフトドリンクを飲む習慣のある人々の特徴は、もっぱら肥満傾向であるということです。

 

 

人間の性質がここに表れています。

自分にとって何か良いことをした場合

それに見合う(それ以上の?)ご褒美を自分に与えてしまうのでしょうね。

 

 

本気でダイエットを目指すのなら、全体の摂取カロリー量を考えなければなりません。

 

 

「甘み」に対する欲求について、私たちが持っている思い込みや性質を含めて

これは深いお話なのだと思います。

 

 

禁煙の時に、パイポやガムなどが、かえって逆効果になりうるというのに似ているのかも知れませんね。

 

 

コミュニティハウス透析というオプション  文献から

 

 

お国柄で、透析の取り組み方に違いがあるのは当然のことですが

面白いと思った文献がありました。

 

オーストラリア&ニュージーランドのお話です。

 

以前に、かなり柔軟な考えの先生とお話をしていた時に

そのようなアイディアを披露してもらったことを思い出しました。

 

もしかしたら、その先生はこのことをおっしゃっていたのかも知れません。

 

Independent Community House Hemodialysis as a Novel Dialysis Setting: An Observational Cohort Study

Am J Kidney Dis. 2013 Apr;61(4):598-607. doi: 10.1053/

 

 

 

在宅血液透析は、文字通り自宅で行う血液透析のことですが

何らかの理由があって自宅で不可能な場合

血液透析が行えるコミュニティハウスを利用するという考え方です。

 

共同で利用する家屋に透析をしに訪れるという感じでしょうか。

 

透析器や浄水器など、設備は複数人とシェアするわけですから

従来の在宅血液透析よりも経済的です。

 

また普通の透析クリニックなどと何が違うかというと

在宅透析の延長ですから、医療スタッフはいないようです。

 

ですから、シェアする相手がOKならば、都合の良い時間帯で透析がいくらでもできるということでしょう。

 

どのようなコミュニティハウスなのかの写真資料がありましたので

リンクをはっておきます。こちら

 

 

 

この文献では、施設透析、腹膜透析、在宅血液透析、そしてコミュニティハウス透析の生存曲線を示して比較しています。

 

コミュニティハウス透析はほぼ在宅血液透析と同様の成果を示していました。

 

また、救急センターとホットラインがつなげていたり

安全性を高める工夫も行っているようです。

 

 

ひとつのオプションとして、とても面白いと思います。

 

 

 

ガンジーに学ぶ

 

 

今日のクリニックのスタッフミーティングのお話です。

(私の意向で「プロデュースミーティング」と呼ぶようにしています。)

 

 

私は、クリニック内のある計画の見直しを発表しました。

正確には見直しというほどのことではないのですが

優先順位の変更をお話しました。

 

 

つい先月には私が考えるビジョンをぶち上げたものです。

それを変更されたのですから

さあやるぞと思っていたスタッフにとっては

少し物足りないお話だったかも知れません。

あるいは、動揺させてしまったかも知れません。

 

 

リーダーシップという点では、どうだったのかなとは思います。

 

 

ふと開いた本の中に、目を引く文章がありました。

ガンジーの逸話です。

ガンジーに例えるほど、うぬぼれているわけではありませんが

励まされるものがありました。

 

 

「旅をしているときに、自分の進路を変更する準備をしておきなさい。

自分の誤りを認めることは何の恥でもない。

かつてマハトマ・ガンジーは抗議のための行進を指揮した。

何千人もの人々がひどい困難にもかかわらず、仕事や家を離れてこの行進に参加していた。

ところが行進がかなり進んだとき、停止を命じられたガンジーは、デモ行進も解散してしまった。

部下がガンジーのところにやってきてこう言った。

『マハトマ師、解散するわけにはいきません。

この行進は長い時間をかけて計画し、これほどたくさんの人が参加してくれているのですから』

ガンジーはそれに答えてこう言った。

『私が従わなくてはいけないのは、方針どおりに実行することではなく

日々、自分が目にしている真実のほうなのだ。』

                              ラム・ダス『覚醒への道』

 

 

ガンジーにとって、真実を選択することは普通のことだったのでしょうね。

 

大勢の人の行進を前にして、それを選択することの凄さを感じます。

 

 

 

「プロセスワーク」

 

 

トランスパーソナル心理学の基本的な考え方のなかに

プロセスワークというアプローチがあります。

それは、この人生、この世界のすべての出来事は「気づきと学びのチャンス」であるという考え方です。

 

だいぶ前に読んだ本ですが非常に勉強になりました。

生きがい発見の心理学 諸富祥彦著

 

「人生の問題」や「悩み」、「病い」なども「大切なことを運んできてくれている」と考えるものです。

 

 

例えば、嫌な人間関係も、気づきの機会ととらえます。

 

 

以下、その部分について引用します。

 

 

人間関係の問題に直面したとき、私たちは、自分のことをそのトラブルの「被害者」だと思い込みがちです。

しかし、しょせん人間は、自己中心的。

自分の立場からしか問題をとらえることができません。

あの「困った人」のせいで、私はこんなに悩んでいるんだと、「被害者」になりきって、

その立場からのみ、問題をとらえてしまいがちなのです。

しかし実は、人間関係のもつれやトラブルを引き起こしているのは、

私たちが「困った人」と思っているその相手本人というより

「私たちが認めたくない、私たち自身の一部」であることが多いのです。

つまり、人間関係の問題は、私たちの心の「影」となっている

「もう一人の自分」のしわざであることが多いのです。

 

 

(中略)

 

 

自分自身のうちなる「加害者」に気づくための最もストレートな方法は

「自分が嫌っているその人と、自分自身のどこが似ているか」に気づくことです。

自分が嫌っている人と似ているところが自分自身にあると認めるのは、たいへんな苦痛です。

その「似ているところ」は、あなた自身にとって認めるのが困難な、あなた自身の一部なのですから。

しかし、だからこそその気づきは、あなたを大きく変えるきっかけになりうるのです。

 

 

(引用ここまで)

 

 

そして、気づきを得るための面白いエクササイズが紹介されています。

自分が恐れている人、苦手な人、嫌いなその人になりきって役を演じ

鏡にうつった自分自身と会話してみるのです。

「嫌いな人役」になりきって言葉を発したとき

「嫌いな人」になりきっているはずなのに、実は「本当の自分」が語っているような感じがしてくるそうです。

 

 

自分の一部でありながら、実際には生きていない半面が「嫌いな人」の姿を借りていたというだけの話。

 

あるいは、「自分自身が認めていない部分」であることもあります。

 

 

自分の苦手な人になりきって、鏡に映った自分自身に会話してみる。

 

面白いじゃないですか!

どんな言葉をかけてくるのでしょう。

 

 

 

 

「解錠師」

 

 

今回、学会出張の飛行機上の読書は

解錠師 スティーヴ・ハミルトン著 越前敏弥訳

 

 

解錠師の原題が「The Lock Artist」

 

 

「八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。

だが彼には才能があった。

絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。

孤独な彼は錠前を友に成長する。

やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり

芸術的腕前を持つ解錠師に…。」

 

 

サスペンスやミステリーの触れ込みですが

(「このミステリーがすごい!2013年版 海外編」第1位らしいです。)

訳者あとがきにあったように、良質な「青春小説」といった方が良いかも知れません。

 

 

特殊能力を持つゆえに犯罪に巻き込まれてしまう内省的な少年が

その瑞々しい心情を告白するような手記形式で物語は語られていきます。

 

 

読者は、「引き返すチャンス」を主人公とともに強く意識しながらも

主人公の選択に共感し、応援のエールを送ります。

なぜなら、主人公は「守りたいひとつのものを守るために」道を選択しているから。

後戻りしないのは、そのためです。

 

 

運命の力に翻弄され、あやつられているようでも

「守りたいもの」を定点としている彼は

とても強いのです。

 

 

つい十代の頃を思い出して、こっ恥ずかしい気持ちを抑えながら読んでいました。

 

 

禁煙外来の卒煙証書

 

 

今週、さくだ内科クリニックの禁煙外来初の修了者が出ます。

 

開業間もないクリニックの禁煙外来を初めて希望された方で

 

今回、見事に卒煙を達成されました。

 

少し気が早いですが、卒煙証書を準備いたしました。

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嬉しい限りです。

 

禁煙は決して「タバコが欲しくなくなること、その悟りを得ること」ではありません。

 

これからも禁煙はずっと努力をし続ける地道な道のりです。

 

しかも、いちいち誰も励ましてはくれません。

 

かえって誘惑の方が強いかも知れませんね。

 

逆に禁煙が頓挫すると、一斉に非難の目が向けられ

 

自暴自棄になったり、自己嫌悪に陥ったりするものです。

 

タバコが欲しくなった時は、以下のようなことを思い浮かべましょう。

 

l  タバコの害について自分なりにイメージをもつ

l  禁煙しようと思った理由や禁煙中の努力を思い浮かべる

l  禁煙してよかったことを考える

l  ラクな気持ちで禁煙を続ける

l  禁煙できたことに自信をもつ

l  禁煙中の仲間をみつける

l  家族や友人に禁煙宣言

 

そして、忘れてはならないこと。

 

一度禁煙が失敗したからってあきらめてはいけません。

 

何度も何度も挑戦していくこと。

 

その行為が大切なのだということです。

 

さくだ内科クリニックでは、禁煙したい方をサポートし続けます。

 

 

「ほぼ日手帳」の日々の言葉

 

前にも書きましたが、私は『ほぼ日手帳』ファンです。

 

『ほぼ日手帳』は、1日1ページの手帳で自由に使えるのが便利で 

そのほかに、楽しみにしているのが

各ページの下にある『365日の日々の言葉』です。

 

これは『ほぼ日刊イトイ新聞』のコンテンツからの名言、迷言を抜粋したものですが

「うまいこと言うなあ」と感心するものや

『言いまつがい』のように、思わず声を出して笑ってしまうものもあります。

 

hobonichi

 

その中でも、特に糸井重里さんの「今日のダーリン」の中からの抜粋は

共感したり、考えさせられたり、勉強になります。

 

 

たとえば、4月23日からの抜粋

 

「前例にならう」っていうの、徹底的に疑ったほうがいい時代になっている気がする。

最終的に、前例にならったっていいとは思うのですが、まずは、

なんとかじたばたしてみて、「前例にだけはならわない」というところで発想する。

そして、「やっぱり前例って、たいしたもんだ」ということになったら、ならえばいい。

変えようともしないで前例を持ち出すのは、とにかく、やめたいものです。

―糸井重里が『今日のダーリン』の中で

 

 

「なるほど」と思って、唸ったものです。

この前例に対する考え方

佐久田がそうありたいものだと考えていることです。

 

 

 

 

ビタミン注射についてのお知らせ

 

2018年2月12日追記:

2018年2月から、当クリニックでのビタミン注射の新規の受付を中止しております。

申し訳ありませんが、ご理解をよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

日常診療のなかで、地域の方々の要望が多かったこと。

 「にんにく注射」をはじめとする、いわゆる「ビタミン注射」でした。

 

 

「疲れているので、注射や点滴をしてほしい。」

「家族に点滴をうってもらっておいでと言われてきた。」

 

ご本人や家族にとって、ご自身の体の調子に目を向けていること

「疲れているけれど、今は休めない」

「自分が風邪でもひいて倒れたら、みんな困る」

何とか健康で日々の激務をこなしたいと思っていらっしゃる方がどんなに多いことでしょう。

 

 

「にんにく注射」は、ビタミンB1(フルスルチアミン)が主成分です。

ビタミンB1は、筋肉に溜まった疲労物質の乳酸を取り除くために役立つと言われています。

もちろんビタミンですから、その効果に個人差があります。

なぜ「にんにく注射」と呼ぶかというと、何もにんにくのエキスを抽出しているわけではありません。

 

このビタミンB1を注射するとき

鼻や咽喉の奥から、にんにくのような匂いがするからなのです。

 

 

 

ところでお願いがあります。

最寄りの救急センターなどを受診して、「ビタミン注射」や「点滴」などを

同じように要望するのはおやめになってくださいね。

 

救急診療で必要な点滴は、多くが「補液目的」なのです。

脱水や電解質の補正

酸塩基(体が酸性なのかアルカリ性なのか)のバランスの補正

脚気やウェルニッケ脳症などの極端なビタミン欠乏症の補正

などのために行うものです。

 

救急センターで、点滴を希望したのに

「あなたは点滴は必要ないですよ。」と医師に言われた方もいらっしゃることでしょう。

 

救急診療は、地域みんなで守ることが大切です。