インフルエンザ流行状況(2018年第1週)

 

 

前回は那覇市および南部保健所管内での警報発令について報告しましたが、今回は沖縄県全体でインフルエンザの定点あたりの報告数は31.76人で、警報基準値の30人を上回ってしまいました。

詳しくはこちら → 「インフルエンザ関連情報/沖縄県

 

 

八重山保健所管内の報告数が急激に増加しています。

 

今日の外来でも「成人式の式典に出席した。」という方が複数人来院されていましたから、人の流れを反映しているようです。

 

下のグラフは年齢別の患者数です。

前回は学童期に多数を占めていたのが、今回は20歳以上の患者数が増えていることがわかります。

 

過去との比較のグラフです。

急激な立ち上がりが不気味です。

 

 

繰り返しますが、手洗いやうがいをこまめにしていきましょう。

流行期にこそ、予防について声をかけあっていく必要があります。

 

 

 

さくらの開花日

 

沖縄でも「寒いですね」が、挨拶の言葉になっています。

曇り空が続いていますし、風だけでなく底冷えするような寒さです。

 

寒いはずです。この時期の平年最低気温(1月で14.6℃)を下回っていました。

 

昨日1月10日に、沖縄県の桜(緋寒桜)の開花も宣言されていました。

ずいぶん早い印象ですが、平年だと1月18日、昨年は1月14日が開花の観測日ですから、数字としても早い開花日です。

 

寒くなってくると、やはり体調を崩される方も多いです。

特に急に血圧が高くなった方の来院も増えてきました。

 

十分な休養をとりながら、体調を整えていきましょう。

 

インフルエンザ流行状況(2017年第52週)

 

2017年第52週(12月25日~31日)のインフルエンザ流行状況です。

詳細はこちら → 「インフルエンザ関連情報/沖縄県

 

すでに報じられていますが、那覇市及び南部保健所管内では警報基準値(30人以上)を上回りました。

沖縄県全体の報告数は26.91人で、警報基準値には至っていないものの注意報基準値の10人を上回っています。

 

型別でみるとA型が69%で多い状況です。しかし、約3割がB型ですから混在しているとも言えます。

 

この先も流行が広がっていくのでしょうか?

グラフで見るとわかりますが、毎年成人の日の週から2、3週の間にピークを迎えています。

今、この時点での予防が重要と言えます。

手洗いを徹底すること、受験生のいるご家庭などでは不要不急の外出は控えた方が良いでしょう。

 

「走ることについて語るときに僕の語ること」

 

村上春樹さんが著したランニング・エッセイです。

最近読んだエッセイの中でも特に興味深く、また面白く読みました。

 走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹著

 

ランニングを通して自己の内面を対象として語る村上さんの言葉は、哲学的とも言えるほど深く堀り下げられたものです。

例えば、前置きの言葉。

「サマセット・モームは『どんな髭剃りにも哲学がある』と書いている。どんなにつまらないことでも、日々続けていれば、そこには何かしらの観照のようなものが生まれるということなのだろう。僕もモーム氏の説に心から賛同したい。」

 

そして、第一章の言葉。少し長いですが、引用させてください。

「走っているときにどんなことを考えるのかと、しばしば質問される。そういう質問をするのは、だいたいにおいて長い時間走った経験を持たない人々だ。そしてそのような質問をされるたびに、僕は深く考え込んでしまう。さて、いったい僕は走りながら何を考えているのだろう、と。正直なところ、自分がこれまで走りながら何を考えてきたのか、ろくすっぽ思い出せない。」

「僕は走りながら、ただ走っている。僕は原則的には空白の中を走っている。逆の言い方をすれば、空白を獲得しうるために走っている、ということかもしれない。そのような空白の中にも、その時々の考えが自然に潜り込んでくる。当然のことだ。人間の心の中には真の空白など存在し得ないのだから。人間の精神は真空を抱え込めるほど強くないし、また一貫してもいない。」

「走っているときに頭に浮かぶ考えは、空の雲に似ている。いろんなかたちの、いろんな大きさの雲。それらはやってきて過ぎ去っていく。でも空はあくまで空のままだ。雲はただの過客(ゲスト)に過ぎない。それは通り過ぎて消えていくものだ。そして空だけが残る。空とは、存在すると同時に存在しないものだ。」

 

これは瞑想(坐禅)をしている時の境地に似たものだと思いました。

瞑想をしている時は、浮かんでは消え、消えては浮かぶ思考を雲のようだと考えます。(流れる川面に浮かぶ木の葉のようだと説明する書物もあります。)

浮かんでしまう思考を、消してしまわなければならない雑念や妄念ととらえるのではなく、流れていく雲のようだと考えるようにします。ただ眺めているだけで良いのです。すると、やがて通り過ぎて消えていきます。

つい浮かんでしまう雑念をまるで悪いもののように扱わないようにすることが大事です。(「雑念ばかりでオレはダメだあ」と決して思わないこと!と諭されます。)

そして、雲が通り過ぎた、そこに残るのは青空としての我がそこにあります。

 

村上春樹さんがエッセイの中で述べていることが、実感として共感できたのがとても嬉しく思いました。

ランニングも瞑想も内省するという点で共通した行為なのですね。

 

かくれ脱水

 

「空気が乾燥してるのか、唇がカサつくし、ノドがイタ痒い。なんとなくダルいし、寒いのはいやですね。」

この時期は、体調不良の共有があいさつ代わりになってしまっています。

 

確かに季節的にも空気が乾燥し、体調がそれに追いついていない状況です。

けれども、体調不良の中には、いわゆる「かくれ脱水」が潜んでいることも頭に入れておいてほしいのです。

脱水は、夏に限ってのことではありません。

 

水分を補給するとトイレが近くなって嫌だから…と、意図的に水分摂取量を減らしてしまっている方がいます。

意図的でないにしても、寒さ対策のために服を着込んで汗をかき、失われた水分を補給していないということもあります。

また、風邪をひいて発熱や食欲不振のために水分摂取量が減ってしまった結果かも知れません。

 

このように、夏だけでなく冬に「脱水症」が多いことをご注意ください。

 

脱水症の症状をあげておきますね。

頭痛、立ちくらみ、全身のだるさ、唇のカサつき、ノドが渇く、唾液が濃くなって口の中がねばつく、便秘、足のスネにむくみがみられるようになった、風邪をしょっちゅうひきやすくなった…など。

 

特に風邪をひきやすくなったについて。

鼻腔や口腔粘膜は健康な状態だと粘膜が潤っていて免疫がよく働いています。

脱水になると粘膜が乾いた状態になるので、免疫がうまく働かず、風邪を引きやすくなると言われています。

皮膚や粘膜は外界から身を守る最前線の免疫バリアですから。

 

脱水症になる方は特別な方ではありません。誰もが脱水症になる可能性があります。

一度、脱水症になっていないかな?と自分を振り返ってみることをおすすめします。

 

 

ステップ運動(ステッパー)

 

ずっと以前に「ステップ運動」、つまり踏み台昇降を使っての運動についてお話ししました。

→ こちら「ステップ運動」

お金があまりかかりませんし、全天候型で(雨が降ろうが風が吹こうが)部屋の中でできるので利点は多くあります。

けれども、単調な運動なのですぐに飽きてしまいました。

呼びかけた本人がやらなくなったので、良いとわかっていてもいつの間にか人に勧めることもしなくなりました(笑)。

 

「お金をかけたら、やるかも知れない」と年末に自己投資のつもりでステッパー・マシーンを購入してしまいました。

いろんなメーカーのたくさんの種類がありますが、どれもだいたい1万円ぐらいの値段です。

 

これが意外にバランス感覚を必要とします。

慣れるまでフラフラして不安定だったので、壁をつかんでやっていました。

リズムよく足踏みをするには、下腹部や臀部に力をこめないといけませんし、骨盤まわりの筋肉が鍛えられそうです。

これは転倒防止にいいかもしれない!と思って、両親に贈りました。

 

やってくれるかどうかはわかりませんが、効果が現れたらまた報告したいと思います。

 

お願い

 

インフルエンザが流行しています。

 

年末年始期間中なので、流行状況の正確な数値の情報は拾えませんでしたが、外来診療でも、発熱や体のだるさ、ノドの痛み、痰がらみの咳を訴えて受診される方が多くなってきました。

やはり時期的に年末年始の行事で疲労が蓄積されているのと、人が集まる機会も多く、さらに人の流れがシャッフルされたことにもよるのでしょう。

 

さすがにこの時期は待合室に患者さんが多く、受け付けして1時間以上お待たせすることもあり、大変ご不便をおかけしています。

なるべくお待たせしないように心がけていますが、より重症の方を優先させていただくこともあり、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

 

また、何度も繰り返しになりますが、手洗いや咳エチケット、この時期の外出は特に注意をお願いします。

 

 

「算法少女」

 

年末年始の開いたスキマ時間に、とても気になって一気に読んでしまった本がありました。

 算法少女 遠藤寛子著

 

「算法少女」というのはWikipediaによると、安永4年(1775年)に出版された実在の和算書の本の名前だそうです。

算法を扱った書物でありながら、著者が女性であるという大変珍しい本です。

国会図書館所蔵の資料は近代デジタルライブラリーで閲覧することができます。→ こちら「算法少女」

と言っても、何が書いてあるのか皆目わかりません(^_^;)

 

私が読んだ本はもちろんこの古書ではなくて、児童文学作家の遠藤寛子さんが著した小説です。

本の紹介文を引用しますね。

 

父・千葉桃三から算法の手ほどきを受けていた町娘あきは、ある日、観音さまに奉納された算額に誤りを見つけ声をあげた…。

その出来事を聞き及んだ久留米藩主・有馬侯は、あきを姫君の算法指南役にしようとするが、騒動がもちあがる。

上方算法に対抗心を燃やす関流の実力者・藤田貞資が、あきと同じ年頃の、関流を学ぶ娘と競わせることを画策。はたしてその結果は…。

安永4(1775)年に刊行された和算書『算法少女』の成立をめぐる史実をていねいに拾いながら、豊かに色づけた少年少女むけ歴史小説の名作。江戸時代、いかに和算が庶民の間に広まっていたか、それを学ぶことがいかに歓びであったかを、いきいきと描き出す。 

 

遠藤寛子さんはとても素敵な主人公を今の時代に蘇らせてくれたと思います。

学問に流派もなければ、ましてや国境もない。貧富や身分の差、性別の差もない。

生活に根ざしながらも、純粋な知的好奇心の追求に真心を尽くす江戸の人たち…。

お正月に読んだ本として、ベストチョイスの1冊だと思いました。

 

皆さんにもおすすめです。

「進撃の咳エチケット」

 

今日から外来診療が始まります。

 

空気も乾燥しており、また何と言っても年末年始で人の行き来が激しくなり、上気道炎症状を訴える方が多くなりました。

 

厚生労働省が「咳エチケット」の啓発のために、「進撃の咳エチケット」というパンフレットを作成したようです。

学校に通う年齢層には「咳エチケット」は浸透している印象ですが、私達世代などには「エチケット」というと抽象的で、具体的に何を意味するのかわからない方も多いのではないでしょうか?

 

「咳エチケット」を皆が注意して実行することで、少しでも感染予防できれば良いですね。

 

 

 

 

 

今年最大の満月

 

昨夜はとてもきれいな満月でした。

今年最初の満月というだけではなくて、1年を通じての最大の満月(いわゆるスーパームーン)だということですね。

 

日が沈んだ後、スロージョグの私の足元を煌々と月が照らしてくれていました。

あいにくとスマホしか持っていなかったのですが、きれいな月の様子が伝わってくれるでしょうか。

 

 

そして、今朝。

東の空では朝焼けのグラデーションが終わりかける頃に出勤したのですが、西の空に昨日の満月が残っていました。

いや、残っていたというより、そこにいてくれたという感じです。

 

とても嬉しい気持ちになったので、ちょっと公園の方まで寄り道をして、スマホカメラを向けました。

 

2018年がこの満月のように明るい年でありますように。