コーヒーと紅茶、飲むタイミングで健康リスクが変わる?糖尿病患者の場合

 

コーヒーや紅茶は、私たちの生活に潤いを与えてくれる飲み物です。

愛飲者も多いことでしょう。

しかし、糖尿病患者の方にとっては、その飲むタイミングが健康リスクに大きく影響する可能性があることが、最新の研究で明らかになりました。

特に、早朝と午前中後半では、その影響が顕著に異なるようです。

 

アメリカの国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いたこの研究では、2003年から2014年にかけて糖尿病患者5378人を対象に追跡調査を実施。

その結果、コーヒーや紅茶を飲むタイミングと死亡リスクとの間に、興味深い関連性が見出されました。

 

研究結果

 コーヒー

  • 早朝(午前5時~8時)
    • 全死亡率:最大1.5倍増加
    • 心血管疾患死亡率:有意に上昇
  • 午前中後半(午前8時~正午)
    • 全死亡率:20%減少
    • 心血管疾患死亡率:21%減少

 紅茶

  • 午前中後半(午前8時~正午)
    • 心血管疾患死亡率:38%減少

 

早朝にコーヒーを避けるべき理由

早朝にコーヒーを飲むと、糖尿病患者特有の「暁現象」によって血糖値が上昇しやすくなる時間帯に、カフェインがさらに拍車をかける可能性があります。

カフェインは交感神経を刺激し、心拍数や血圧を上昇させるため、心血管疾患リスクが高い糖尿病患者にとっては、さらなる負担となることが懸念されます。

 

午前中後半がおすすめの理由

一方、午前中後半は血糖値が安定し、インスリン感受性が高まる時間帯です。

この時間にコーヒーや紅茶を摂取することで、血糖値の急激な変動を抑え、心血管疾患リスクの軽減が期待できます。

特に紅茶に含まれるカテキンは、抗酸化作用によって心血管系の健康をサポートしてくれる可能性も秘めています。

 

糖尿病患者へのアドバイス

今回の研究結果を踏まえ、糖尿病患者の方には以下の飲み方が推奨されます。

  • 早朝のコーヒー摂取は控えましょう。
  • 午前中後半にコーヒーや紅茶を楽しみましょう。

 

注意点

ただし、これは観察研究に基づく結果であり、因果関係を証明するものではありません。

コーヒーや紅茶の種類、摂取量、個人の体質によっても影響は異なる可能性があります。

ご自身の体調と相談しながら、最適な飲み方を見つけることが大切です。

 

参考文献:

Yang R, Lei Q, Liu Z, et al. Relationship between timing of coffee and tea consumption with mortality (total, cardiovascular disease and diabetes) in people with diabetes: the U.S. National Health and Nutrition Examination Survey, 2003-2014. BMC Med. 2024;22(1):526. Published 2024 Nov 11. doi:10.1186/s12916-024-03736-x