最近ピークが過ぎたとはいえ、インフルエンザは毎年多くの人が感染する身近な病気です。
特に流行期には、家庭内での感染拡大が心配です。
インフルエンザワクチンはこうした家庭内感染を防ぐ効果があるのでしょうか?
今回は、研究結果に基づいて、家庭内でのインフルエンザ二次感染防止におけるワクチンの有効性について述べていきます。
家庭内でのインフルエンザ二次感染とは?
家庭内でのインフルエンザ二次感染とは、家族の中で最初に感染した人から、他の家族へと感染が広がることを指します。
家族が一緒に過ごす時間が長いほど、感染リスクは高まります。
2017年から2020年にかけて、アメリカ合衆国テネシー州とウィスコンシン州で実施された研究では、家庭内でのインフルエンザ感染状況を調査し、ワクチン接種が二次感染にどのような影響を与えるのかを分析しました。
ワクチンは二次感染予防に効果的?
この研究によると、家庭内でのインフルエンザ二次感染リスクは全体で約18.8%でした。
これは、家族の誰かがインフルエンザに感染すると、約5人に1人が二次感染する可能性があることを意味します。
特に、小さなお子さんがいる家庭では、このリスクがさらに高くなることが明らかになりました。
では、インフルエンザワクチンは、この二次感染リスクをどの程度減らせるのでしょうか?
研究結果から、ワクチンの有効性について以下の点が示されました。
– 全体的なワクチン有効性: 家庭内での二次感染を防ぐワクチンの有効性は21.0%と推定されました。
– インフルエンザBに対する効果: ワクチンはインフルエンザBに対して特に高い効果を示し、有効性は56.4%に達しました。
– インフルエンザAに対する効果: 一方で、インフルエンザAに対する効果は5.0%と、残念ながらあまり高くありませんでした。
これらの結果から、特に子どもや50歳未満の成人はワクチン接種によってインフルエンザの二次感染リスクを減らせる可能性が高いと言えます。
しかし、すべてのタイプのインフルエンザウイルスに対して同じ効果が得られるわけではない点には注意が必要です。
ワクチン接種に加えて、こんな対策も必要!
インフルエンザワクチンは有効な予防策ですが、家庭内での感染を完全に防ぐことは難しい場合もあります。
研究では、ワクチン接種に加えて、以下の予防策を組み合わせることで、より効果的に感染リスクを減らせることが示唆されています。
– 感染者の隔離: インフルエンザに感染した人は、可能な限り他の家族との接触を避け、別の部屋で過ごすようにしましょう。
– 換気の徹底: 定期的に窓を開けて換気し、部屋の空気を入れ替えることで、ウイルスが拡散するのを防ぎましょう。
– こまめな手洗い: 手洗いをこまめに行い、ドアノブやテーブルなど、共有する場所を消毒することで、ウイルスへの接触を減らしましょう。
まとめ
インフルエンザは、家庭内で感染が広がりやすい病気です。
ワクチン接種は、二次感染のリスクを減らす効果が期待できますが、特にインフルエンザBに対して有効性が高い点は覚えておいた方がいいですね。
ワクチン接種に加えて、感染者の隔離、換気の徹底、こまめな手洗いなどの予防策を組み合わせることで、家族全員でインフルエンザから身を守ることが可能になります。
参考文献:
Grijalva CG, Nguyen HQ, Zhu Y, et al. Estimated Effectiveness of Influenza Vaccines in Preventing Secondary Infections in Households. JAMA Netw Open. 2024;7(11):e2446814. Published 2024 Nov 4. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.46814