COVID-19の後遺症は、感染から数か月経っても続く様々な症状を指し、世界中で多くの人が苦しんでいます。
中でも、疲労感や認知機能障害は日常生活に大きな影響を与える深刻な症状です。
ドイツのハノーバー医科大学の研究チームは、COVID-19後遺症の患者の疲労感と認知機能障害がどの程度続くのか、1年以上の追跡調査を行いました。
その結果、患者の約半数が1年後も症状の改善を報告した一方で、約半数は症状に変化がないか、悪化していると回答しました。
調査結果
- 症状の改善: 追跡調査に参加した94人の患者のうち、47%が症状の改善を報告しました。
- 完全な回復: しかし、完全に回復したと報告したのはわずか12%でした。
- 症状の持続: 49%は症状に変化がなく、4%は悪化しました。
- 主な症状: どちらの時点でも、主な症状は疲労感、集中力と記憶力の低下でした。
興味深いことに、症状が改善したと回答した患者のグループでも、疲労感のスコアは変わらなかったという結果が出ています。
これは、疲労感がCOVID-19後遺症において非常に根深く、回復が難しい症状であることを示唆しています。
認知機能への影響
研究チームは、患者の認知機能を評価するために、様々なテストを実施しました。
その結果、多くの患者が注意力、集中力、記憶力、情報処理速度などの面で障害を抱えていることが明らかになりました。
これらの障害は、患者の日常生活や仕事に大きな支障をきたす可能性があります。
そして、それが1年以上続く可能性があることが示されています。
この研究は、COVID-19後遺症の深刻さを改めて浮き彫りにしました。
そして、このCOVID-19後遺症はまだ十分に解明されていません。
そのため、予防法や効果的な治療法の確立が急務となっています。
後遺症に苦しむ人々に対しては、社会全体で理解と支援を提供していく必要があります。
参考文献:
Hennemann, A.-K., Timmermeister, M., Drick, N., Pink, I., Weissenborn, K., & Dirks, M. (2024). When fatigue and cognitive impairment persist-a neurological follow-up-study in patients with Post-COVID syndrome. Scientific Reports, 14(1), 27083.
