長引く腰痛に悩まされている方は多いのではないでしょうか?
デスクワークや運動不足など、様々な要因で起こる腰痛は、日常生活の質を大きく低下させてしまいます。
腰痛に悩む人が多い一方で、「こんなに痛み止めばかりを飲んで大丈夫なのか」とか「何か他の方法で改善できないか?」と考える方もいるかと思います。
そんな方々に朗報になるかも知れません。
アメリカのクリーブランドクリニックで実施された新しい研究で、「オンラインヨガ」が慢性的な腰痛に効果的であることが示されました。
この研究は、18〜64歳の慢性腰痛持ちの140人を対象に行われました。
日常生活に支障があるほどの腰痛があり、痛みの強度が平均4以上(10点中)とされる患者さんたちが、オンラインのヨガクラスを受けた場合にどれほどの効果があるのかを調べたのです。
興味深いのは、彼らが週1回、たったの60分という比較的少ない頻度でのヨガを行ったことです。
それでも効果があったのかが注目点となります。
対象者は2つのグループに分かれ、ひとつは12週間、毎週60分のバーチャルヨガクラスに参加しました。
もうひとつのグループは待機リストに入り、ヨガクラスにはすぐには参加せず、通常の医療ケアを続けるのみとしました。
研究期間中に、痛みの強度や生活機能、睡眠の質、鎮痛薬の使用状況などを評価し、実際にヨガがどれだけの改善をもたらすかが比較されました。(下図)

12週間後、ヨガに参加したグループには以下のような改善が見られました。
– 痛みの軽減:痛みの強度が平均で1.5ポイント低下し、24週間後にはさらに2.3ポイントまで減少しました。これはかなりの改善です。
– 機能の向上:日常生活の機能を示すスコアも改善し、12週間後に2.8ポイント、24週間後には4.6ポイントの向上が見られました。
– 鎮痛薬の減少:ヨガを行ったグループでは、薬の使用も減少。24週間後には21%の人が鎮痛薬を使用しなくなりました。
– 睡眠の質向上:睡眠の質も改善され、わずかでも0.4ポイント上昇しました。これは「眠りの深さが良くなった」「翌朝スッキリ目覚めた」と感じる人が増えたことを示しています。
オンラインでのヨガがここまでの効果を持つのは、もしかすると自宅でリラックスして取り組めるからかもしれません。
従来、ヨガやストレッチは慢性腰痛に対する効果があるとされてきましたが、忙しくて教室に通えない人も多く、バーチャルでのヨガクラスが新しい選択肢として期待されます。
腰痛に悩む多くの人にとって、こうした自宅で手軽にできる方法がより身近になることは大変意義があるでしょう。
今後は、より多様なバックグラウンドを持つ患者さんにも対応できるように、バーチャルヨガの導入が進むことが期待されます。
参考文献:
Tankha H, Gaskins D, Shallcross A, et al. Effectiveness of Virtual Yoga for Chronic Low Back Pain: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2024;7(11):e2442339. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.42339
