例えば、翌日にマラソン大会を控えているとします。
ほとんどの大会では午前6時半に入場開始になるなど、朝早くからの動きが多いですね。
そのため、朝の準備や移動にかかる時間を逆算すると、だいたい午前4時半ぐらいの起床が必要になります。
平常心のつもりでも、イベント前の雰囲気も手伝って、前の夜はなかなか寝つけないことが多いです。
モノの本は、「眠れなくても横になっているだけで大丈夫!体を休めることが大事!」と励ましてくれますが、寝ないといけないと思うほど目がさえてきます。
そして、とうとう、もう起きなきゃ!と思う時間を迎えてしまうわけです。
起きてはみるものの、心は落ち着きませんし、体も疲れている感じがします。
「横になっているだけで体は休めている」なんて、違うよね?と思うほどの、だるさです。
実は、これを「過度な覚醒状態」と呼ぶのだそうです。
今回紹介する研究では、不眠症に悩む169名と、睡眠に問題のない38名を対象に、9日間にわたってその感情や覚醒度合いを追跡しました。
その結果、不眠症の人たちは一日を通して「過度な覚醒状態」にあり、特に朝にそのピークが見られることが明らかになりました。
この「過度な覚醒状態」は、緊張やストレス感、心の中のざわめきなどが含まれます。
朝、起きたときに「ストレスを感じている」「落ち着かない」という感覚が最も強くなるわけです。
今回のように、論文で「自分だけじゃなかったんだ」とわかった時などは、だいぶ気が楽になりますね。
眠れなかった時の、あの瞬間の朝の心身の疲労感は自然現象だったんだ。
この研究では、次のようなことが結論として挙げられています:
– 過度な覚醒状態は、特に朝にピークを迎える。
– 睡眠の質が悪いと、翌朝の過度な覚醒状態が強まる。
– 睡眠の質を改善することが、この過度な覚醒状態の軽減に寄与する可能性がある。
この研究の結果から、過度な覚醒状態を減らすためには、まず夜間の睡眠の質を改善することが重要であることが分かります。
とはいえ、イベントや特別な出来事の前夜にはどうしても緊張が高まることもあります。
そのようなときは、すべてを完璧にすることを目指すのではなく、リラックスしつつもその状況を受け入れることが重要です。
不完全な睡眠も、体を休める一環と捉えて、あまり深く悩まないことが過度な覚醒状態を和らげる助けになるかもしれません。
つまりは、「過度な覚醒状態」を含めて、楽しんでしまいましょうということですね。
参考文献:
Rösler L, van Kesteren EJ, Leerssen J, et al. Hyperarousal dynamics reveal an overnight increase boosted by insomnia. J Psychiatr Res. Published online September 24, 2024. doi:10.1016/j.jpsychires.2024.09.032
