私たちが日々口にする食べ物は、重要なエネルギー源ですし、健康を支える大切な要素です。
食生活はただの習慣ではなく、体と心の健康に密接に影響しています。
今回、英国のUK Biobankによる大規模な研究が、食べ物の嗜好と健康リスクの関連について新たな洞察を提供しました。
この研究では、18万人以上の参加者が食べ物の嗜好に関するアンケートに回答し、そのデータをもとに3つのグループに分類されました。
それぞれ「健康意識グループ」、「バランス型グループ」、「甘党グループ」と名付けられています。
興味深いことに、これらのグループごとに、健康状態や血液中の代謝物の違いが明確に現れていました。
健康意識グループの特徴
– 果物や野菜を好み、甘い食品や動物性食品の摂取を控える傾向があります。
– 心不全のリスクが14%低い(相対リスク=0.86)。
– 慢性腎臓病のリスクが31%低い(相対リスク=0.69)。
– 血液中の炎症性マーカーであるC反応性タンパク質(CRP)の値が低く、全体的に炎症が少ない健康的な状態が示されています。
甘党グループの特徴
– 甘い飲み物やお菓子を好む傾向があります。
– うつ病のリスクが27%高い(相対リスク=1.27)。
– 糖尿病のリスクが15%高い(相対リスク=1.15)。
– 脳卒中のリスクも高いことが確認されています。
バランス型グループの特徴
– さまざまな食品をまんべんなく好む傾向にありますが、健康意識グループほどの低リスクは示されていません。
– 動物性食品の好みが強く、BMI(体格指数)の高さと関連が見られ、肥満や関連する健康リスクにつながる可能性があります。
この研究からわかることは、食べ物の嗜好は単なる「好み」ではなく、私たちの健康に大きな影響を与えるということです。
たとえば、健康意識グループの人々はケトン体の濃度が高く、これはエネルギー代謝が効率的に行われていることを示しています。
また、成長ホルモン1(GH1)の値が高いことも確認されており、これが健康的な体づくりに関係している可能性があります。
食べ物の選び方ひとつで、私たちの体は大きく変わります。
普段の食生活を見直すきっかけとして、今回の研究結果を参考にしてみてはいかがでしょうか。
健康的な選択は、将来の自分に対する最高の投資とも言えます。
参考文献:
Navratilova, H.F., Whetton, A.D. & Geifman, N. Artificial intelligence driven definition of food preference endotypes in UK Biobank volunteers is associated with distinctive health outcomes and blood based metabolomic and proteomic profiles. J Transl Med 22, 881 (2024). https://doi.org/10.1186/s12967-024-05663-0
