魚を食べることが脳の健康に与える影響について、興味深い研究結果が次々と発表されています。
認知機能の低下、特に認知症やアルツハイマー病は、高齢化が進む現代社会で大きな問題です。
予測では、現在約6000万人が認知症を患っており、2050年にはその数が3倍に膨れ上がるとされています。
これを受けて、日常的な食生活が脳の健康にどのような影響を与えるのかについては、注目を集めるところでしょう。
例えば、35件の観察研究をまとめたメタ分析によると、魚の摂取量が多い人は、摂取が少ない人に比べて認知機能が低下するリスクが18%ほど低くなる可能性があるという結果が示されました。
さらに、アルツハイマー病のリスクも20%低減するという結果が得られています。
魚に含まれるオメガ3脂肪酸などの栄養素が、神経の健康をサポートしていると考えられます。
しかし、この結果だけでは終わりません。
研究では、魚の摂取量が多ければ多いほど認知機能の低下リスクが減少するという興味深い傾向も示されており、1日に150gの魚を摂取することで、リスクは最大30%も低下するとされています。
魚好きが聞いたら、ドヤ顔をされそうな結果ですね。
ただし、全員に同じ効果があるとは限らない点も注目する必要があります。
遺伝的な要因、特にAPOE ε4アレルという遺伝子を持つ人々については、魚の消費が認知機能低下や認知症に与える影響は明確に証明されていないため、さらなる研究が必要とされています。
とりあえず、今のところ魚を日常的に摂取することは、将来的に認知機能の低下や認知症リスクを減少させる可能性があるということです。
長寿社会で、自分の脳の健康を守るためにできることを今から始めるのは、きっと悪くない選択でしょう。
参考文献:
Godos J, Micek A, Currenti W, et al. Fish consumption, cognitive impairment and dementia: an updated dose-response meta-analysis of observational studies. Aging Clin Exp Res. 2024;36(1):171. Published 2024 Aug 20. doi:10.1007/s40520-024-02823-6
