今年もイグノーベル賞授賞式の季節になりました。
イグノーベル賞は、科学のユニークで時に奇抜な側面を称える賞として、1991年に創設されました。
この賞の目的は、「人々を笑わせ、そして考えさせる」ことを通して科学や技術への関心を喚起することにあります。
そして、この賞の授賞式はユーモアに満ち溢れています。
マサチューセッツ工科大学(MIT)で行われる式典では、受賞者のスピーチは60秒以内と厳しく制限されていて、それを超えると「ミス・スウィーティー・プー」と呼ばれる8歳の女の子が登場し、「もうやめて、退屈よ!」と叫んでスピーチを中断させます。
この伝統は「8歳の少女に叱られるのが最も心理的ダメージが大きい」というユニークな研究に基づいているもので、時にはプレゼントを渡して彼女をなだめ、スピーチを続けることができる場合もあるようです。
また、式の冒頭では観客が紙飛行機を作り、舞台に向けて投げるのが恒例となっており、会場中に紙飛行機が飛び交う光景が見られます。
この紙飛行機は、式が終わるまで舞台上に散乱していますが、それを掃除する役目を長年務めていたのが、ハーバード大学のロイ・グラウバー教授です。
彼は2005年にノーベル物理学賞を受賞する前から「紙飛行機掃除係」として有名で、このユーモラスな役割を誇りにしていたことで知られています。
2024年のイグノーベル賞授賞式では、10のユニークな研究が表彰されました。
特に注目されたのは、以下の研究です。
1. 物理学賞: 死んだ魚が泳ぐ能力を研究したジェームズ・C・リャオのチームが受賞。彼らは、死んだ魚でも特定の条件下で泳ぐことができるかを探求しました【9†source】。
2. 医学賞: リーベン・A・シェンクらが、痛みを伴う偽薬が痛みのない偽薬よりも効果が高いことを実証した研究で受賞。プラセボ効果に関する興味深い知見を提供しました。
3. 生理学賞: 米国と日本の研究者が、哺乳類が肛門を通じて呼吸できる能力を発見した研究で受賞。この発見は、動物の呼吸メカニズムに新たな光を当てています。
4. 確率賞: アムステルダム大学のフランティシェク・バルトシュらが、350,757回のコイントスの結果を分析し、コインが表または裏に着地する確率に微妙な偏りがあることを発見しました。
5. 化学賞: 酔ったミミズと酔っていないミミズを分離するためにクロマトグラフィーを使用した研究で、テス・ヒーリーマンズらが受賞。この研究は、酔った状態とそうでない状態での生物の反応の違いを探るものです。
イグノーベル賞は、時に奇抜に思える研究を通じて、科学が持つ多様な視点やユーモアの重要性を強調しています。
その一見無意味に見える発見が、意外な形で将来的に有用となる可能性があることを示していて、科学の柔軟なアプローチを促す役割を果たしています。
今後、このブログでも、イグノーベル賞を受賞した研究をいくつか紹介していきたいと考えています。