腎臓病の患者さんにハーブサプリメントはよいのか

腎臓病の患者さんにハーブサプリメントはよいのか

 

腎臓病を抱える患者さんやそのご家族の中には、「漢方薬とか、ハーブサプリメントを使ってもいいの?」と質問される方が多くいらっしゃいます。

高麗人参などのハーブは「自然由来で体に良い」と信じられている一方で、薬との相互作用や安全性が、やはり気になるものです。

良かれと思って、病気を悪化させてしまっては元も子もないですからね。

 

腎臓病の治療には、西洋医学の薬が欠かせませんが、実は患者さんの25%がハーブサプリメントも併用しているとの報告があります(2024年データ)。

例えば、高麗人参は「気と血を養う」とされ、特に体力回復や血流改善を期待して服用する方が多いです。

しかし、高麗人参にはリスクも伴います。

透析を受けている方の場合、高麗人参は出血のリスクをわずかに高めることが知られています。

具体的には、血液透析で針を刺す部分の出血が長引く可能性があります。

また、降圧剤や糖尿病治療薬との相互作用にも注意が必要です。

高麗人参が薬の効果を弱めてしまうと、血圧がうまく下がらなかったり、血糖値がコントロールできなかったりすることが考えられます。

 

ここで重要になってくるのが、患者と医師のコミュニケーションです。

腎臓病の治療は個々の患者さんの状況によって異なるため、「このハーブは大丈夫」と一概に決めることはできません。

ですから、腎臓病の患者さんがハーブサプリメントを使いたいのであれば、それを医師に率直に相談することです。

この時、医師は患者さんに対し、具体的な薬のリストを確認しながら高麗人参のリスクを説明することになります。

このようなコミュニケーションによって、患者さん自身が治療法に納得できるような共有意思決定(SDM)が実現します。

 

参考文献:

Chao CT. Is Herbal Supplementation in Kidney Disease Ever Allowable?. Am J Kidney Dis. Published online August 24, 2024. doi:10.1053/j.ajkd.2024.05.019