「スマホの使用が心臓病のリスクを高める可能性がある」——多くの人にとって、きっと意外な話でしょう。
最近発表された大規模な研究によれば、週に1回以上スマホを使用する人は、心臓病を発症するリスクがわずかに上昇する可能性があることが示されています。
具体的には、スマホ使用者は非使用者と比較して、心血管疾患(CVD)のリスクが4%増加するというデータが得られました。
一見すると小さな数字に思えるかもしれませんが、その背後には見逃せない要素があります。
この研究には44万人以上が参加し、平均12年間にわたって追跡調査が行われました。
注目すべきは、喫煙者や糖尿病患者において心臓病のリスクが特に高まっていた点です。
研究者たちは、スマホから発せられる電磁波が炎症を引き起こし、これらのリスクをさらに増大させた可能性があると推測しています。
特に、心臓病リスクがより顕著だったのが、スマホを持った喫煙者でした。
正直なところ、「電磁波」の話は、ケータイが世の中に出始めた遠い昔から、定期的に騒がれている印象があります。
「電磁波」については、研究者の「推測」なので定かではありません。
むしろ、スマホの使用時間が睡眠の質や精神的ストレスと密接に関連していることが示されていますし、この要素が大きい気がします。
研究結果によれば、睡眠不足やストレスが心臓病リスクの一部を媒介しており、スマホの使用とCVDリスクの関連のうち5.11%は睡眠パターン、11.5%は精神的ストレスが関与しているとされています。
これらのデータは、スマホの使い方が私たちの健康にどのような影響を与えるのかを再考する重要なきっかけとなります。
専門家たちは、「現時点でスマホの使用自体が深刻な懸念事項となるわけではないが、使用時間を適切に管理し、心臓に良い生活習慣を取り入れることが重要」と助言しています。
具体的な対策として、就寝前のスマホ使用を控えることや、屋外での身体活動を増やすことが心臓への負担軽減につながっていくのでしょう。
現在のところ、スマホの使用が喫煙や高血圧などの主要なリスク要因と同程度に心臓に悪影響を及ぼすという明確な証拠はありません。
しかし、健康的なライフスタイルを追求する上で、スマホとの適切な付き合い方を見直すことは、有益な一歩となるでしょう。
参考文献:
Zhang Y, Ye Z, Zhang Y, et al. Regular Mobile Phone Use and Incident Cardiovascular Diseases: Mediating Effects of Sleep Patterns, Psychological Distress, and Neuroticism. Can J Cardiol. Published online July 22, 2024. doi:10.1016/j.cjca.2024.06.006
