痛みを感じたとき、私たちの体はどのように反応しているのでしょうか?
多くの人が、痛み止めや湿布薬といった対策を試みますが、それ以外の方法もあります。
それが「マインドフルネス瞑想」です。
この方法は、今までにも、長年痛みの緩和に使われてきましたが、最近の研究でそのメカニズムが明らかになりつつあり、また、新たな事実も発見されました。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが発表した論文によると、マインドフルネス瞑想は、プラセボ効果とは異なる脳のメカニズムを通じて痛みを軽減することが確認されました。
この研究では、115人の健康な被験者を対象に、4つの異なる介入方法が試されました。
それは、瞑想、偽の瞑想、プラセボクリーム、そしてコントロールとしてのオーディオブックを聴く方法です。
各グループに対して、痛みを引き起こす熱刺激が脚に与えられ、その後、脳の活動をスキャンしてデータが収集されました。
その結果、マインドフルネス瞑想を行ったグループは、痛みの強度と不快感の両方が大幅に軽減されました。
具体的には、痛みの強度が平均で約30%減少し、痛みの不快感も25%減少しました。
これに対して、プラセボクリームや偽の瞑想を行ったグループでは、このような顕著な効果は見られませんでした。
興味深いことに、脳のスキャン結果では、マインドフルネス瞑想が自己認識や感情制御に関わる部分の同期を減少させていることが確認されました。
つまり、瞑想は、思い込みや気分だけでなく、実際に脳を変化させていたのです。
一方、プラセボクリームや偽の瞑想は、このような脳の変化を引き起こさず、痛みに対する根本的な緩和には繋がりませんでした。
この研究は、マインドフルネス瞑想が薬や特別な道具を使わず、脳の働きそのものを変えることで、痛みの感覚を緩和できることを示しています。
参考文献:
Gabriel Riegner et al, Mindfulness meditation and placebo modulate distinct multivariate neural signatures to reduce pain, Biological Psychiatry (2024). DOI: 10.1016/j.biopsych.2024.08.023