肥満と腎臓の関係

 

肥満は、世界中で増加している深刻な健康問題です。

例えば、2022年のWHOの報告によると、ヨーロッパでは成人の約60%が肥満または過体重とされています。

日本でも肥満の問題は深刻化しており、さまざまな病気に影響を与えていることが知られています。

特に注目されるのは、肥満が慢性腎臓病(CKD)や心血管疾患などに関連しているという点です。

 

最新の研究では、肥満が腎臓病にどのような影響を与えるのか、特に糸球体疾患(腎臓のフィルター機能に関連する病気)に焦点を当てています。

研究に参加したのは、成人1,538人と子ども753人。参加者はBMI(体格指数)で分類され、健康体重、過体重、クラス1肥満、クラス2/3肥満のグループに分けられました。

結果として、肥満が心血管系の問題には強く関連していることが確認されましたが、腎臓病への影響については少し複雑な状況が浮き彫りになりました。

 

具体的には、クラス2/3の肥満(BMI 35以上)の成人では、腎機能が大きく低下するリスクが高いことがわかりました。

ただし、他の要因を調整した後では、そのリスクは顕著ではなくなりました。

小児については、肥満や過体重が腎臓の健康に明確な影響を与えていないという結果でした。

この結果は「腎臓に対する肥満の影響はまだ完全には解明されていない」という事実を再確認させます。

 

一方で、肥満が心血管系に与える影響は明らかです。

研究では、肥満の度合いが高いほど、心臓病や脳卒中などのリスクが増加していることが示されました。

 

この研究結果を踏まえると、肥満と腎臓病の関連性はまだ完全には解明されていませんが、心血管系への影響は明確です。

 

Yu L, Câmara NOS. The Impact of Obesity on Glomerular Diseases Remains to be Determined. Am J Kidney Dis. 2024 Sep;84(3):272-274. doi: 10.1053/j.ajkd.2024.06.004. Epub 2024 Jul 17. PMID: 39023481.