赤肉を食べ過ぎると糖尿病リスクが増える?

赤肉を食べ過ぎると糖尿病リスクが増える?

 

ヘム鉄という言葉を聞いたことがありますか?

これは赤肉やその他の動物性食品に含まれる特定の鉄分の一種で、私たちの体にとって重要な栄養素です。

しかし、最近の研究で、このヘム鉄が2型糖尿病(T2D)のリスクを高める可能性があることが明らかになりました。

食べ物で糖尿病のリスクというと、まず思いつくのが「甘いもの」ですね。

タンパク質についてはほとんどノーマークでしたから、ちょっとびっくりです。

 

この研究では、36年間にわたって206,615名もの成人を対象に、彼らの食事と健康状態を追跡調査しました。

その結果、ヘム鉄を多く摂取している人々は、少ない人々に比べて2型糖尿病のリスクが26%も高いことがわかりました。

 

具体的には、未加工の赤肉を食べることが2型糖尿病のリスクを押し上げる主要な要因の一つであり、そのリスクの半分以上がヘム鉄の摂取に関連しているということです。

「未加工の赤肉」というのは、塩漬けや燻製、発酵などの加工処理がなされていないものを言います。

良く火を通したとしても、「未加工」です。

また、非ヘム鉄(例えば、野菜や穀物から摂取する鉄分)については、2型糖尿病のリスクにはほとんど影響がないことが判明しました。

 

それでは、なぜヘム鉄がリスクを高めるのでしょう。

ヘム鉄が2型糖尿病のリスクを高める理由の一つとして、体内での代謝変化が挙げられます。

この研究では、ヘム鉄の高摂取がインスリンや血糖値、さらには血中脂質や炎症に関連する代謝バイオマーカーの上昇と関連していることが示されました。

さらに、血漿中の特定の代謝物(例えば、L-バリンや尿酸など)が、このリスクに寄与している可能性が指摘されています。

 

では、どうすればこのリスクを減らせるのでしょうか?

研究者たちは、ヘム鉄の摂取を減らし、より植物ベースの食事を採用することを推奨しています。

つまり、赤肉を減らして豆類や野菜、全粒穀物を中心とした食事にシフトすることが、糖尿病リスクを低下させる一つの戦略となるかもしれません。

 

参考文献:

Wang F, Glenn AJ, Tessier AJ, et al. Integration of epidemiological and blood biomarker analysis links haem iron intake to increased type 2 diabetes risk. Nat Metab. Published online August 13, 2024. doi:10.1038/s42255-024-01109-5