大腸内視鏡検査を受けるのは何歳までが適切?というお話

大腸内視鏡検査を受けるのは何歳までが適切?というお話

 

大腸内視鏡検査は、大腸がんの早期発見に欠かせない検査として広く知られているところです。

しかし、(当然と言えば当然ですが)年齢を重ねるにつれて、検査のリスクと検査することのメリットのバランスが変わってきます。

特に、75歳以上の方にとっては、大腸内視鏡検査が本当に必要なのか、再考する時期が来ているかもしれません。

 

研究によると、75歳以上の高齢者が大腸内視鏡検査を受ける場合、そのがん発見率は非常に低いことがわかっています。

例えば、85歳以上の患者で進行がんが見つかる確率は9.5%に過ぎません。

一方で、検査後の合併症のリスクは確実に増加します。

実際、75歳以上の患者では、検査後10日以内に入院が必要な有害事象が多く報告されており、その発生率は1,000人あたり約13.58件というデータもあります。

 

では、75歳を過ぎたら大腸内視鏡検査を受けるのをやめるべきなのでしょうか?

答えは簡単ではありませんし、一概に言えるものでもありません。

この年齢層では、検査を受けるかどうかは、個々の健康状態や余命を考慮して決めるべきだとされています。

たとえば、過去にポリープが発見されている方や、健康状態が良好な方であれば、引き続き検査が推奨されることでしょう。

余命が10年未満と予測される方にとっては、検査の利益は非常に限られていると考えられます。

 

高齢者の大腸内視鏡検査については、医師とよく相談し、現在の健康状態や将来のリスクをしっかりと理解した上で、最適な判断を下すことが大切です。

「大腸内視鏡検査は大切だ」と繰り返し言われてきたかもしれませんが、年齢とともにその重要性やリスクも変わるという現実を理解し、無理に検査を続けるのではなく、他の健康管理にも目を向けることが必要です。

 

健康管理は長期的な視点で考えることが大切です。

年齢を重ねた今だからこそ、検査のあり方を再考し、自分にとって本当に必要な健康管理の方法を見つける時期なのかもしれません。

 

参考文献:

El Halabi J, Burke CA, Hariri E, et al. Frequency of Use and Outcomes of Colonoscopy in Individuals Older Than 75 Years. JAMA Intern Med. 2023;183(6):513-519. doi:10.1001/jamainternmed.2023.0435