運動と睡眠の関係

 

最近の研究によると、長期間にわたる定期的な運動が睡眠の質に重要な影響を与えることがわかってきました。

これは、私たちの日常生活に直接関係する発見と言えます。

 

ヨーロッパの9か国に住む4339人の成人(39~67歳)を対象にしたこの研究では、参加者の身体活動と睡眠の質が10年間にわたって追跡されました。

調査では、週に少なくとも2回、1時間以上運動している人が「身体的に活発」と分類され、活動状況の変化によって参加者は4つのグループに分けられました。

その結果、以下のような事実が明らかになりました。

 

調査の結果、一貫して運動を続けていた人は、睡眠に関する問題が少ないことがわかりました。

具体的には、以下のようなデータが得られています。

 

睡眠開始困難のリスクが約40%低下(オッズ比 0.60, 95% CI 0.45–0.78)。

6時間以下の短時間睡眠のリスクが約29%低下(オッズ比 0.71, 95% CI 0.59–0.85)。

9時間以上の長時間睡眠のリスクが約47%低下(オッズ比 0.53, 95% CI 0.33–0.84)。

 

これらのデータは、運動が睡眠の質に与えるポジティブな影響を示しています。

特に、一貫して運動を続けることで、適切な睡眠時間(6~9時間)を維持する可能性が高まることが確認されました。

 

一方で、日中の眠気に関しては、運動の影響が見られなかったことも興味深い点です。

つまり、定期的な運動が睡眠の質を向上させる一方で、日中の眠気には直接的な関連がない可能性があることを示唆しています。

 

この研究から言えることは、運動を長期間にわたって続けることが、健康的な睡眠を保つために非常に重要だということです。

特に、睡眠の開始や睡眠時間において大きなメリットがあることがわかっています。

忙しい日常の中で、運動の時間を確保するのは難しいかもしれませんが、継続的な努力が報われることを考えると、その価値は十分にありますね。

 

睡眠の質を向上させたいと考えている方は、まずは週に2回、1時間程度の運動を目指してみてはいかがでしょうか。

 

参考文献:

Bjornsdottir E, Thorarinsdottir EH, Lindberg E, et al. Association between physical activity over a 10-year period and current insomnia symptoms, sleep duration and daytime sleepiness: a European population-based study. BMJ Open. 2024;14(3):e067197. Published 2024 Mar 26. doi:10.1136/bmjopen-2022-067197