人生における困難な出来事が心に与える影響について、年齢によって違いはあるのでしょうか。
多くの人が、子どもや若者は特に「弱い」と考えるかもしれません。
けれども、最新の研究では少し違った結論が出ています。
この研究では、2歳から30歳までの3,258名を対象に、最大21年間にわたる追跡調査を行い、トラウマ的な出来事やストレスフルな出来事が感情症状(不安や抑うつ)にどのように影響するかを調べました。
興味深いことに、研究結果は人生のどの時期でもこれらの出来事が心に影響を与えることを示しています。
たとえば、最近のストレスフルな出来事(引っ越しや友人との別れなど)は、未就学児から成人までの全ての年齢層で感情症状に関連が見られました。
特に、青年期(13歳から17歳)と若年成人期(23歳から30歳)では、その影響が顕著でした。
具体的には、青年期におけるストレスフルな出来事と感情症状の関連は、統計的に有意なものであり、影響の大きさはB = 0.19(SE = 0.05)という結果でした。
また、若年成人期ではこの関連がさらに強まり、B = 0.57(SE = 0.12)となっていました。
一方、トラウマ的な出来事(例えば、身体的虐待や災害)は、特に青年期において感情症状と強く関連しており、B = 0.28(SE = 0.04)という結果が得られました。
これらの出来事は、子ども時代に起こった場合でも、成人期に至るまで長期的な影響を与える可能性があることがわかりました。
この研究が示唆するのは、年齢に関係なく、人生のさまざまな時期における困難な出来事が私たちの心に影響を与えるということです。
参考文献:
Copeland WE, Keen R, Tong G, Shanahan L. Negative life events and emotional symptoms from ages 2 to 30 years. *JAMA Netw Open*. 2024;7(8):e2429448. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.29448.