慢性腎臓病の人の安静時心拍数と健康リスク

 

「安静時心拍数が高いと、健康リスクに関わる」というお話です。

最近の研究で、特に慢性腎臓病(CKD)の人々にとって、安静時心拍数がリスク要因となることが明らかになりました。

 

福島県で行われた大規模な調査(福島CKDコホート研究)では、1,353名のCKD患者が対象となり、その安静時心拍数と死亡率、心血管イベント(心臓発作や脳卒中など)との関連が詳しく調べられました。

 

 

この調査結果から、安静時心拍数が80回/分以上の患者は、心拍数が70回/分未満の患者に比べて、死亡率が約1.7倍高いことがわかりました。(図A)

また、心拍数が90回/分以上になると、そのリスクは2.6倍にまで跳ね上がるのです。

 

心拍数が高いと何が問題なのかと言えば、それは心臓に余計な負担がかかり、長期的には心臓や血管にダメージを与えるからです。

さらに、この研究では、心拍数が80回/分以上の患者は心血管イベントを起こすリスクも高くなることが示されました。

ただし、心拍数が90回/分以上になると、心血管イベントのリスクはそれほど大きくは変わらないという興味深い結果も見られました。(図B)

 

では、どうすれば心拍数をコントロールできるのでしょうか?

生活習慣の改善が鍵となります。例えば、適度な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理が心拍数の低下に寄与することが知られています。

また、必要に応じて医師の指導のもとで薬物療法を行うことも考えられます。

 

今回の研究結果は、特にCKD患者にとって、日常的な健康管理の重要性を再認識させるものです。

自分の安静時心拍数がどれくらいか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?

 

参考文献:

Saito, H., Tanaka, K., Ejiri, H. et al. Elevated resting heart rate is associated with mortality in patients with chronic kidney disease. Sci Rep 14, 17372 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-67970-2