私たちが感じるストレスは、思いもよらぬ形でペットの犬にも影響を与えているかもしれません。
最近の研究によると、人間のストレス状態から発生する匂いが犬の行動や感情に影響を与えることがわかりました。
犬が私たちの感情を「匂い」で感じ取り、行動を変える可能性が示されています。
この研究では、18匹の犬が「認知バイアステスト」と呼ばれる実験に参加しました。
テストでは、犬がエサの入ったボウルにどのように反応するかを観察しました。
ボウルは、犬にとって「エサがあるかもしれない」と期待できる位置、「ないかもしれない」と不安に感じる位置、そして「確実にエサがない」位置に配置されました。
そして、それぞれの状況で、ボウルの周りに人間の「ストレスの匂い」や「リラックスした匂い」を放ち、その影響を調べました。
驚くべきことに、ストレスの匂いが放たれたとき、犬たちはエサの期待が低い位置に置かれたボウルに近づくことを避ける傾向が強くなりました。
具体的には、ストレスの匂いを感じた犬は、通常よりも約50%近く、そのボウルに近づく可能性が低くなったのです。
この結果は、犬が「この場所は危ないかもしれない」と判断し、リスクを避けるために行動を変えることを示唆しています。
さらに、ストレスの匂いは犬の学習にも影響を与える可能性があります。
実験では、繰り返し行われたテストの中で、ストレスの匂いを感じた犬は、エサがあると期待できる位置をより早く学習しました。
ストレスが犬の集中力や判断力を高める可能性があることが示されました。
しかし、これはあくまで適度なストレスの話であり、過度なストレスが犬にとって負担となる可能性も考慮する必要があります。
この研究は、私たちの感情がペットに与える影響について、新たな視点を提供してくれます。
犬が私たちのストレスを感じ取っているとすれば、私たちがリラックスすることが、犬にとっても重要な意味を持つかもしれません。
日々の生活で感じるストレスが、言葉を交わさなくても犬に伝わり、彼らの行動や感情に影響を与えていることを意識してみると、ペットがより愛おしくなりますね。
参考文献:
Parr-Cortes Z, Müller CT, Talas L, Mendl M, Guest C, Rooney NJ. The odour of an unfamiliar stressed or relaxed person affects dogs’ responses to a cognitive bias test. Sci Rep. 2024;14(1):15843. Published 2024 Jul 22. doi:10.1038/s41598-024-66147-1