アルコールが高齢者の健康に与える影響については、特に気をつけるべき点があります。
最近の研究では、60歳以上の人々におけるアルコール摂取と死亡リスクの関連性が詳しく調査されました。
ここでは、具体的な飲酒量とそのリスクについて、説明します。
この研究では、135,103人の高齢者を対象に、アルコールの1日あたりの平均摂取量に基づいて、飲酒パターンを以下の4つに分類しました:
– 機会飲酒:2.86グラム/日以下
例:ウイスキー約1/4ショット(7.5ml)、またはビール約70ml(缶ビールの約1/5)
– 低リスク飲酒:
– 男性:2.86〜20.00グラム/日
例:ウイスキー1/4ショット〜1.5ショット(7.5ml〜45ml)、またはビール約70ml〜500ml(缶ビール1.5缶)
– 女性:2.86〜10.00グラム/日
例:ウイスキー1/4ショット〜1ショット(7.5ml〜30ml)、またはビール約70ml〜250ml(缶ビール3/4缶)
– 中リスク飲酒:
– 男性:20.00〜40.00グラム/日
例:ウイスキー1.5ショット〜3ショット(45ml〜90ml)、またはビール500ml〜1リットル(缶ビール3缶)
– 女性:10.00〜20.00グラム/日
例:ウイスキー1ショット〜1.5ショット(30ml〜45ml)、またはビール250ml〜500ml(缶ビール1.5缶)
– 高リスク飲酒:
– 男性:40.00グラム/日以上
例:ウイスキー3ショット以上(90ml以上)、またはビール1リットル以上(缶ビール3缶以上)
– 女性:20.00グラム/日以上
例:ウイスキー1.5ショット以上(45ml以上)、またはビール500ml以上(缶ビール1.5缶以上)
結果
– 高リスク飲酒(男性で40グラム/日以上、女性で20グラム/日以上):
– 全死亡率が33%増加
– 癌死亡率が39%増加
– 心血管疾患による死亡率が21%増加
– 中リスク飲酒(男性で20〜40グラム/日、女性で10〜20グラム/日):
– 全死亡率が10%増加
– 癌死亡率が15%増加
– 低リスク飲酒(男性で2.86〜20グラム/日、女性で2.86〜10グラム/日):
– 癌死亡率が11%増加
– 健康リスクや経済的リスクを持つ高齢者では、たとえ低リスク飲酒でも死亡リスクが増加:
– 癌死亡率が15%増加
– 中リスク飲酒で全死亡率が10%、癌死亡率が19%増加
– ワインを好んで飲む人や食事中にのみ飲酒する人は、死亡リスクがわずかに低下する傾向があるが、さらなる研究が必要
この研究は、特に高齢者が自分の飲酒習慣を見直す必要性を示しています。
健康を守るためには、自分がどの飲酒カテゴリーに属するかを理解し、飲酒量を適切に管理することが重要です。
参考文献:
Ortolá R, Sotos-Prieto M, García-Esquinas E, Galán I, Rodríguez-Artalejo F. Alcohol Consumption Patterns and Mortality Among Older Adults With Health-Related or Socioeconomic Risk Factors. JAMA Netw Open. 2024;7(8):e2424495. Published 2024 Aug 1. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.24495
