トリグリセリド・グルコース指数について:うつ病との関連

トリグリセリド・グルコース指数について:うつ病との関連

 

まだまだ勉強不足で、この論文で「トリグリセリド・グルコース指数(TyG指数)」というのを初めて知りました。

 

TyG指数は、血中のトリグリセリド(TG)と空腹時血糖(FPG)の値を組み合わせて算出される指標で、インスリン抵抗性の測定に役立つのだそうです。

インスリン抵抗性とは、体がインスリンに対して適切に反応しなくなる状態のことで、これが進行すると2型糖尿病や心血管疾患のリスクが高まります。

 

TyG指数は以下の式で計算されます:

TyG 指数 = ln [TG (mg/dL) × FPG (mg/dL)/2]

具体例として、ある人のトリグリセリド値が150 mg/dL、空腹時血糖値が100 mg/dLであった場合、TyG指数は約4.85となります。

この値が高いほど、インスリン抵抗性が高いとされています。

 

最近のメタアナリシスによると、高いTyG指数を持つ人々は、低いTyG指数を持つ人々に比べて、うつ病を発症するリスクが約41%高いことが示されました(オッズ比: 1.41, 95%信頼区間: 1.28–1.56)。

この結果は、年齢や性別に関わらず一貫しており、他の要因に依存しない強い関連性が示唆されています。

 

TyG指数が注目される理由は、その簡便さにあります。

従来のインスリン抵抗性の測定方法は、複雑で時間がかかるものでしたが、TyG指数は血液検査のみで簡単に算出できるため、実際の臨床現場でも利用しやすいのです。

また、インスリン抵抗性と関係の深い心血管疾患や糖尿病だけでなく、うつ病との関連も明らかになってきたことで、より総合的な健康管理が可能になりそうです。

 

私たちの健康を支えるために、TyG指数のような簡便な指標を利用することで、うつ病のリスクを早期に察知し、適切な対策を講じることができるかもしれません。

 

参考文献:

Wan W, Yu Y. Association between the triglyceride glucose index and depression: a meta-analysis. Front Psychiatry. 2024;15:1390631. Published 2024 Jun 20. doi:10.3389/fpsyt.2024.1390631