アスピリンが大腸がんのリスクを減らしてくれるかも知れない

 

アスピリンは、発熱や頭痛の時に使われる、古くからある一般にも名前が知られた薬です。

その主な効用とは違ったところで効果を発揮したりして、時々びっくりさせられることがあります。

8月3日のブログ記事「アスピリンが高齢者の難聴を予防する?」というのも、その一例でした。

今日はさらに別の角度からのお話です。

 

今回、アスピリンが、実は大腸がんの予防にも役立つ可能性があるという研究結果が発表されました。

この研究では、30年以上にわたって約10万人の健康データが分析されました。

結果として明らかになったのは、アスピリンを定期的に使用することで、大腸がんのリスクが減少するということです。

しかし、その効果が特に顕著だったのは、必ずしも「健康的」とは言えないライフスタイルを送る人たちでした。

たとえば、生活習慣が不健康なグループ(肥満、喫煙、飲酒量が多い、運動不足、質の低い食事)の場合、アスピリンを使用しないと大腸がんにかかるリスクは3.4%でしたが、アスピリンを定期的に使用するとそのリスクは2.12%にまで減少しました。

これは、78人がアスピリンを使用すると1人の大腸がんを防ぐ計算になります。

一方で、健康的な生活習慣を持つグループでは、アスピリンを使用しない場合のリスクが1.6%、使用する場合が1.5%と、リスクの減少はわずかでした。

このグループでは、909人がアスピリンを使用してようやく1人の大腸がんを防ぐことができるという結果です。

この研究は、「一律にアスピリンを摂取すればいい」という単純な考え方ではなく、個々のライフスタイルに応じてより個別化された予防策を取るべきだということを示唆しています。

健康的なライフスタイルを送ることが最も大切ですが、もし不健康な習慣を持っている場合、アスピリンが助けになるかもしれません。

しかし、忘れてはいけないのは、アスピリンには副作用があるということです。

特に長期間の使用では、胃腸の出血リスクが増加する可能性があります。

アスピリンの摂取を考える際は、医師とよく相談し、自分にとって最適な予防策を見つけることが大切です。

アスピリンは確かに効果のある薬ですが、その力をどのように使うかは私たち次第ということですね。

もちろん、ライフスタイルを見直すことが先です。

 

参考文献:

Sikavi, D et al. “Aspirin Use and Incidence of Colorectal Cancer According to Lifestyle Risk” JAMA Oncology DOI: 10.1001/jamaoncol.2024.2503