年齢を重ねるとともに、多くの人が聴力の低下を経験します。
この加齢に伴う聴覚喪失(Age-Related Hearing Loss: ARHL)は、生活の質に大きな影響を及ぼします。
最近の研究では、低用量アスピリンがARHLの進行に与える影響について検討されています。
この研究では、50歳以上の被験者を対象に、低用量アスピリンの投与がARHLに与える影響を調査しました。
被験者は2つのグループに分けられ、一方は低用量アスピリンを、もう一方はプラセボを投与されました。
その結果、以下のポイントが明らかになりました。
– 低用量アスピリンを投与されたグループでは、聴力の低下が有意に遅延した
– アスピリンの使用は特に高周波数の聴力保護に効果的であった
– 副作用としては、少数の被験者に軽度の消化器系症状が見られたが、重篤な副作用は報告されなかった
– プラセボグループと比較して、アスピリン投与グループの聴力低下の進行速度が遅いことが確認された
– これらの結果から、低用量アスピリンがARHLの進行を抑制する可能性が示唆された
これらの結果は、低用量アスピリンがARHLに対して保護効果を持つ可能性を示しています。
特に高周波数の聴力保護に効果的であることから、将来的には高齢者の聴覚ケアの一環として低用量アスピリンの使用が検討されるかもしれません。
ただし、アスピリンの使用には副作用が伴うため、医師と相談の上での使用が必要となります。
今後の研究で、なぜ効果があるのか、詳細なメカニズムや最適な投与量の解明が期待されます。
参考文献:
Clark DPQ, Zhou Z, Hussain SM, et al. Low-Dose Aspirin and Progression of Age-Related Hearing Loss: A Secondary Analysis of the ASPREE Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2024;7(7):e2424373. Published 2024 Jul 1. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.24373
