アフリカの大雨が日本の猛暑を引き起こす?

アフリカの大雨が日本の猛暑を引き起こす?

 

大気中の動きは地球全体の気候に大きな影響を与えます。

例えば、発生したばかりの台風を、台風情報のマップでフィリピン近海から追いかけていく時などは、それを実感します。

台風の進路が中国からの偏西風に影響されて、ぐっと曲がっていくのは、何度も経験してきました。

今回は、東南アジアに限ってのお話ではなく、地球規模のお話です。

日本から遠く離れた、アフリカの気象が影響しているというのです。

アフリカのサハラ砂漠南縁部に広がる乾燥地帯をサヘル地域と言うのですが、そこは砂漠と熱帯雨林の間に位置し、雨の量が年によって大きく異なる地域です。

この地域で起こる強い雨雲の活動が、遠く離れた地域の気候に影響を与えることがわかりました。

サヘル地域で大雨が降ると、非常に強い雨雲が発生します。

この強い雨雲の活動が、ヨーロッパ上空の風の流れ(偏西風ジェット気流)を変え、その影響がさらに東に伝わっていくことで、日本の天候にも影響を及ぼします。

具体的には、サヘル地域の大雨がヨーロッパ上空の風の流れを変え、その結果、日本に猛暑などの異常気象を引き起こすことがあるのです。

この研究のポイントは以下の通りです。

サヘル地域の影響: サヘル地域の強い雨雲の活動が、ヨーロッパ上空の風の流れを変え、それが日本まで影響を及ぼす。

データ分析と実験の結果: サヘル地域の強い雨雲の活動がある年には、カナリア諸島、スカンジナビア、日本などで気圧が高くなり、イギリスや極地で気圧が低くなることが観測された。

他の地域にも影響: サヘル地域以外の場所でも、同じように遠く離れた地域に影響を与える可能性があり、このことをもっと研究することで、気候変動の仕組みがよくわかるようになる。

この研究から、サヘル地域の天気が地球全体の気候にどう影響するかが少しずつわかってきました。

私たちが普段感じる天気は、地球のいろいろな場所で起こる気象現象が関係しています。

このようなデータの蓄積で、気象予報モデルがどんどん進化していくのでしょうね。

 

参考文献:

Nakanishi, T., Tachibana, Y. & Ando, Y. Possible semi-circumglobal teleconnection across Eurasia driven by deep convection over the Sahel. Clim Dyn 57, 2287–2299 (2021). https://doi.org/10.1007/s00382-021-05804-x