ミニマリストシューズと内在筋トレーニングでランニングを極める

ミニマリストシューズと内在筋トレーニングでランニングを極める

 

ランニング界隈にも、立派なミニマリストは存在します。

ハーフだけでなくフルマラソンの大会でも、サンダルやVibramのFive Fingers、裸足のまま颯爽と走り抜けるランナーをよくお見受けします。

「Born to Run 走るために生まれた: ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”」が発刊されてベストセラーになったのが2010年頃ですから、その頃の勢いは衰えたとは言え、この分野のお話は綿々と続いているようです。

この研究では、長距離アマチュアランナーを対象に、ミニマリストシューズやショートフットエクササイズが乳酸閾値速度(ランニング中に乳酸が急増する速度)にどのように影響するかを調査しました。

ショートフット(短足筋)というのは、母趾外転筋、小趾外転筋、短趾屈筋、短母趾屈筋などの足のアーチを支える小さな筋肉群のことです。

ショートフットエクササイズは、これらの内在筋を効果的に鍛える方法で、例えば、母趾球をかかとに向けて動かし、足底の内側アーチを高く保つエクササイズです。

このトレーニングは、偏平足の改善や足底筋膜炎の予防にも効果的であるとされています

さて、研究は、21歳から45歳までの55人のランナーを2つのグループに分けて行われました。

1つのグループはショートフットエクササイズを行い、もう1つのグループはミニマリストシューズを履いてトレーニングしました。

8週間のトレーニング後、両グループの乳酸閾値速度が測定されました。

研究結果は次の通りです。

 

– 短足筋エクササイズを行ったグループは、乳酸閾値速度が有意に改善しました(平均10.14 km/hから10.74 km/hに増加)。

– ミニマリストシューズを使用したグループも乳酸閾値速度が向上しましたが、その変化は統計的に有意ではありませんでした(平均10.68 km/hから10.88 km/hに増加)。

– ショートフットエクササイズは、休息時の乳酸濃度にも有意な変化をもたらしました。

 

これらの結果から、足の筋肉を直接鍛えるエクササイズがランニングパフォーマンスに大きな影響を与えることが示されました。

また、ミニマリストシューズの使用にも一定の効果があることがわかりましたが、その効果はさらなる研究が必要です。

さらに、この研究はエネルギーの効率的な伝達が足の筋肉を強化することで改善される可能性を示唆しています。

足の筋肉を鍛えることで、足のアーチが強化され、走行中の衝撃吸収が向上し、より良いパフォーマンスが期待できます。

結論として、ショートフットエクササイズは乳酸閾値速度を改善し、ランニングパフォーマンスを向上させる効果があることが明らかになりました。

以下に、この研究のポイントを簡潔にまとめます。

 

短足筋エクササイズはランニングパフォーマンスに有意な効果をもたらす。

– ミニマリストシューズのトレーニング効果は認められるが、更なる研究が必要。

エネルギー伝達の改善がランニングパフォーマンス向上に寄与。

短足筋の強化は衝撃吸収を向上させ、足のアーチを強化。

 

参考文献:

Sulowska-Daszyk, I., Zając, B. & Mika, A. The influence of foot muscles exercises and minimalist shoes on lactate threshold velocity in long-distance amateur runners: a randomized controlled trial. Sci Rep 14, 16496 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-67525-5