近年、若者が独りで過ごすことに対する満足度が高まっていることが、ドイツで行われた研究で明らかになりました。
この研究は、14歳から40歳までのドイツ人を対象に、2008年から2021年までの期間にわたって行われたものです。
その結果、特に2001年から2003年に生まれた若者たちが、独りでいることに対して以前よりも不満でない、むしろ満足していることがわかりました。
この傾向の背景には、社会的な価値観の変化があります。
西洋社会では、個人の自由や自立がより重視されるようになり、ロマンチックなパートナーがいないことが必ずしもネガティブに捉えられなくなってきました。
これにより、若者たちは独りで過ごすことに対するプレッシャーを感じることなく、自分自身の時間を楽しむことができるようになっています。
研究の結果、若者が独りで過ごすことに対する満足度が高まっている要因として、次の点が挙げられています。
– ロマンチックな関係に対する欲求の低下:現在の若者は、過去の世代に比べてロマンチックな関係に対する欲求が低く、独りでいることに対してポジティブな見方をしています。
– 個人主義の重視:個人の自由や自立が重視される社会的風潮が、独りで過ごすことへの満足度を高めています。
– 年齢と性格の影響:若い年齢層や神経症傾向の低い人々は、独りでいることに対してより満足している傾向があります。
– 性別の違い:特に30代後半の女性は、男性よりも独りで過ごすことに対して高い満足度を示しています。
– 満足度の低下:独りでいる期間が長くなると、全体的な幸福度は低下する傾向にありますが、これも個人の性格や社会的背景によります。
しかし、この研究にはいくつかの限界もあります。
まず、調査対象がドイツの若者に限られているため、他の文化圏で同様の結果が得られるかは不明です。
また、研究期間中に起こった社会的出来事、例えばCOVID-19パンデミックなどが結果に影響を与えた可能性があります。
さらに、この研究は自己報告に基づいており、回答者の主観的な意見が結果に反映されるため、客観的な評価が難しい点も考慮する必要があります。
この研究は、現代の若者が独りでいることに対して以前よりもポジティブに捉え、満足している理由を明らかにしています。
社会の変化とともに、個人の価値観も変化しているのですが、この先どこへ向かうのか、追いかけていく必要があります。
参考文献:
Gonzalez Avilés T, Bühler JL, Brandt ND, Neyer FJ. Today’s Adolescents Are More Satisfied With Being Single: Findings From a German Cohort-Sequential Study Among 14- to 40-Year-Olds. Pers Soc Psychol Bull. Published online June 10, 2024. doi:10.1177/01461672241257139
