占星術を科学的に分析・評価する

 

占星術を「信じる信じない」は別にして、私はエンタメとして占いを楽しんでいるところがあります。

その分野に科学のメスを入れるというのは野暮な感じがしないでもないですが、信憑性について不利益を被る人がいないとも限らないので、一度冷静に白黒をはっきりさせるのも良いことでしょう。

科学雑誌「Kyklos」に発表されたこの研究では、占星術における「星座」が主観的な幸福感に与える影響について調査されました。

研究を行ったのは、韓国の啓明大学とオーストラリアのメルボルン大学ウェルビーイング科学センターに所属するモーセン・ジョシャンロー博士です。

アメリカの成人を対象とした大規模な全国調査(General Social Survey, GSS)を使用し、最新の4回分のデータ(2016年、2018年、2021年、2022年)から12,791人の回答を分析しました。

参加者の平均年齢は約50歳で、55%が女性でした。

ジョシャンロー博士は、幸福感、抑うつ症状、心理的な苦痛、仕事の満足度、金銭的満足度、生活の興奮度、健康状態、結婚の幸福感の8つの指標を調べました。

これらの指標と星座の関係を調べるために、年齢や性別、教育水準などの他の要因の影響を排除しました。

その結果、金銭的不満足度を除く7つの指標において、星座が幸福感に与える影響は統計的に有意ではありませんでした。

金銭的不満足度についても、有意な関連が見られたものの、その効果の大きさはごくわずかで、実際には意味のないレベルでした。

さらに、ジョシャンロー博士は、「星座」の予測力がランダムな変数と同程度であるとする分析結果を示しました。

これは、「星座」が主観的な幸福感を予測する力がほとんどないことを示したものです。

博士は、「星座による占いは、コインを投げて出た結果で人々を分類するのと同じくらい無意味です」と結論づけました。

う~ん。それはそうでしょうけど(笑)。

この研究は、占星術が科学的根拠がないことを明らかにしました。

そして、それを信じる人々へ警鐘を鳴らしています。

占星術に基づくステレオタイプが自己や他者の認識に悪影響を与える可能性がありますし、科学的リテラシーと批判的思考を促進する教育が必要です。

簡単に言えば、「ダマされたら、あかんよ」ということです。

この研究は、占星術の信憑性に対する批判的な視点を提供し、人々が科学的な思考を身につける手助けとなることを狙ったものでしょう。

 

元論文:

Joshanloo, M. (2024). The sun’s position at birth is unrelated to subjective well-being: Debunking astrological claims. Kyklos, 1–10. https://doi.org/10.1111/kykl.12395