所得格差とセクシャルな自撮り写真

ソーシャルメディア上でのセクシャルな自撮り写真が増加している背景には、経済的要因が関与しているかも知れない…という研究報告です。

この研究は、TwitterやInstagramといったソーシャルメディアプラットフォームから、全世界のさまざまな地域で投稿されたセクシャルな自撮り写真を集めて分析しました。

研究者たちは、これらの写真を地理的に位置づけることができた約68,562件のデータを用いて、所得格差と性別格差が自撮りの内容にどのように影響しているのかを調べました。

分析の結果、所得格差が高い地域では女性がセクシャルな自撮り写真を投稿する頻度が高いことがわかりました。

一方で、性別格差とセクシャルな自撮りの頻度との間には明確な関連は見られませんでした。

これは、経済的な不平等が、女性が自分の身体をどう表現するかに影響を与えている可能性を示しています。

さらに、女性の美容に関する支出も所得格差と関連が深いことが示されました。

つまり、所得が不平等な地域では女性が自分の外見に投資する傾向が強く、これがセクシャルな自撮りの増加につながっているのかも知れないということです。

この現象は、特に発展国やアメリカの都市部で顕著でした。

女性がどのように見えるべきか、どのように振る舞うべきかといった、しばしば非現実的な美の基準に適合しようとする心理的な負担を生んでいます。

かなり古くから言われている「ヘムライン指数」も、この話題と関連があるかも知れませんね。

ヘムライン指数とは、経済状態が女性のファッション、特にスカートの丈に影響を与えるという理論です。

経済が好調な時にはスカートの丈が短くなり、不況時には長くなる傾向があるとされています。

この理論は完全に科学的に証明されたわけではありませんが、経済状態と女性のファッションの選択がどのように相互作用するかを示す面白い視点を与えています。

この研究はソーシャルメディア上での女性の表現に関する新たな理解を提供するものですが、その結果はソーシャルメディアのデータに基づいているため、一般化するには注意が必要です。

それでも、所得格差が社会的な価値観や行動に与える影響について考えるきっかけを与えてくれるかも知れません。

 

元論文:

Blake KR, Bastian B, Denson TF, Grosjean P, Brooks RC. Income inequality not gender inequality positively covaries with female sexualization on social media. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018;115(35):8722-8727. doi:10.1073/pnas.1717959115