今日紹介する研究は、「50〜74歳の成人におけるALTとHDL-Cの比率と2型糖尿病についての集団ベース研究」というタイトルで、Scientific Reportsに掲載されていました。
まず、ALTとはアラニンアミノトランスフェラーゼの略で、肝機能の指標としてよく用いられる酵素です。
一方、HDL-Cは「善玉コレステロール」とも呼ばれ、心血管疾患のリスク低減に関連しています。
研究チームは、これら二つの値の比率が2型糖尿病とどのような関連があるかを調査しました。
参加者は50歳から74歳の4394人でした。
結果として、ALT/HDL-Cの比率が高い人ほど2型糖尿病の発症リスクが高いことが明らかになりました。
この研究が興味深いのは、ALTは肝酵素、HDL-Cは脂質に関連するパラメータでありながら、糖尿病のリスクを示唆するバイオマーカーとしての役割を果たすかもしれないということです。
さらに期待するのは、この比率を用いることで、早期にリスクを察知し、予防策を講じることができるかもしれないということです。
今後は、長期にわたるコホート研究などを通じて、この比率の予測精度や実用性を詳細に評価することが求められるでしょう。
元論文:
Emamian A, Emamian MH, Hashemi H, Fotouhi A. The association of ALT to HDL-C ratio with type 2 diabetes in 50-74 years old adults: a population-based study. Sci Rep. 2024;14(1):9390. Published 2024 Apr 24. doi:10.1038/s41598-024-60092-9
