体重は大事だが、運動することはもっと大事

 

健康と言えば、大抵の人が痩せることが最良と考えがちです

医療者も「体重を落としましょう」と、つい言いがちになります。

しかし、最近の研究で興味深い事実が明らかになりました。

肥満であっても、日頃から運動していて運動能力の高い人は慢性腎臓病のリスクが低い、というものです。

この研究は「Obesity」という科学誌で発表されました。

 

元論文はこちら→

Harhay MN, Kim Y, Moore K, Harhay MO, Katz R, Shlipak MG, Mattix-Kramer HJ. Modifiable kidney disease risk factors among nondiabetic adults with obesity from the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis. Obesity (Silver Spring). 2023 Sep 28. doi: 10.1002/oby.23883. Epub ahead of print. PMID: 37766596.

 

運動習慣のある人を想像してみてください。

筋肉量が保たれているだけでなく、心肺機能や心の健康状態なども含まれます。

この研究によれば、肥満でも運動し運動能力の高い人は、運動せずに運動能力の低い人に比べて、腎臓病のリスクが約20%低くなるとされています。

具体的には、歩行ペースが遅い人は、より速い歩行ペースの人よりも急速な腎機能低下がみられ、慢性腎臓病のリスクが高いことと関連していました。

もちろん、体重増加はよくありません。

では、なぜ体重よりも、運動能力が重要なのでしょうか。

その答えは腎臓病のリスク因子と直結しているのだと言います。

高血圧や高血糖は腎臓に負担をかける可能性がありますが、運動によってこれらは改善することが多いです。

運動することで心の健康も向上する可能性があります。

ストレスが減少すると、心が健康になり、それがさらに運動をする意欲を高めます。

 

運動する必要があると言っても、すぐにジム通いを始める必要はありません。

日常生活で運動量を増やす小さなステップが大きな変化を生むこともあります。

というわけで、体重に囚われるのではなく、まず運動する新しい視点で健康に向き合ってみてはいかがでしょうか。