個性とは不思議なものです。
ひとりひとりが、当然のように、自分のことを他人とは異なる存在であると感じているものです。
しかし心理学者の視点から見ると、私たちの全員がある程度、似たもの同士なのだと言います。そして、それを説明するのが「人格心理学」という分野です。
人格心理学の領域では、人々を五つの大きな次元、通称「ビッグファイブ」または「OCEANモデル」に沿って理解していきます。
これは一種の海図のようなもので、個々の人間の性格を測定し理解するためのツールになります。
この五つの次元とは、「O:開放性」、「C:誠実性」、「E:外向性」、「A:協調性」、「N:神経症的傾向」。
ほぼすべての人が、これらの次元について特定の位置にあります。自分がどの次元でどの位置にいるかを知ることで、自分自身の理解が深まるわけです。
では、それぞれの次元が何を意味するのかを見てみましょう。
まず、「開放性」は新しい経験やアイデアに対する開放性を指します。高い開放性を持つ人は、新しい考え方や体験を追求する傾向があります。
次に、「誠実性」は組織性や計画性を持つことを意味し、高い誠実性を持つ人は、目標を達成するための計画を立て、それに従うことを好みます。
「外向性」は社交性とエネルギーレベルを示し、高い外向性を持つ人は社交的で活動的であることを好みます。
「協調性」は他人との協力や友好性を意味し、高い協調性を持つ人は他人と協力して仕事を進めることを好みます。
最後に「神経症的傾向」は否定的な感情を経験する傾向を示し、高い神経症的傾向を持つ人はストレスや苦しみを感じやすいと言えます。
ここで「外向性」を例にして考えてみましょう。外向的な人は、しばしば刺激を求めて行動します。たとえばパーティーや社交イベントが好きで、人々と交流することによって活力を得ます。
一方、内向的な人々は静かな環境を好む傾向があります。自分の刺激レベルを下げることで、自分自身をよりよく機能させることができるのです。これは社交的でないわけではなく、単に自分自身の最適な刺激レベルを知っているだけなのです。
そしてもちろん、自分自身がどこに位置しているかを知ることは非常に重要ですが、それだけでは全てを語り尽くすことはできません。
それぞれの人間には、五つの次元を超えた独自の特性や特質、人生のプロジェクトがあります。これらの「フリートレイト」が人格を作り出すのです。つまり、自分の人生の目的を追求するために演じる特性というものがあり、それが「真の自分らしさ」を形作っていきます。
例えば、内向的な人間の教授がいたとしましょう。自分の学生や研究分野を愛しているとき、その人は学生を引きつけ、授業を面白くするために外向的な特性を見せることがあるかもしれません。これは自己否定ではなく、自分の目標を追求するための戦略にのっとっているのです。
しかし、これを長期間続けると疲れます。
内向的な人がずっと外向的に振る舞っていると、自分自身から離れてしまうので、バッテリーが切れてしまうこともあるのです。それは省エネモードのスマートフォンをフルパワーで動かすのと同じことです。やがてバッテリーが切れ、充電が必要になります。
自分の性格を理解し、そのうえで周囲と上手に交流することは、スマートフォンのオートモードでバッテリーを管理するのと似ています。
自分がどのようなエネルギー源を持ち、どのような状況でバッテリーが消耗するかを知ることは、自己管理の一部と言えるのです。それぞれの人が自分自身の「エネルギー管理」に適切な戦略を見つけることで、長期的な幸福を追求できます。
