マングローブ発・耐熱サンゴ作戦―気候変動時代のサンゴ礁再生 2025/08/24Posted in文献, 自然環境 サンゴ礁は地球温暖化による海水温の上昇や酸性化、酸素濃度低下など、複合的な環境変化にさらされ、生き残りの危機に直面しています。 近年では、熱耐性を持つサンゴを利用して礁全体の回復力を高める「積極的な復元戦略」が注目さ…
太陽光発電とヒートアイランド現象―昼の光、夜の熱 2025/08/17Posted in文献, 科学, 自然環境 クリーンなエネルギーの象徴として、太陽光発電は世界各地で設置面積を広げています。 屋根の上から広大な砂漠まで、整然と並んだパネル群は、その風景を異世界めいた空気に包み込みます。 しかし、「ひとつ手を打てば、別の所でし…
風を読む鳥―アカアシカツオドリの省エネ飛行術 2025/08/14Posted in文献, 生物, 自然環境 私たち人間が、乗り換え案内アプリで楽なルートを探すように、海を生きる鳥もまた、日々の移動に知恵を絞っています。 インド洋のチャゴス諸島に暮らすアカアシカツオドリもその一例です。 彼らの主食は、海面を滑空するトビウオ。…
童謡?を歌うヒョウアザラシ―そのメロディーに込めたメッセージ 2025/08/11Posted in文献, 生物, 自然環境 南極の氷の世界。 繁殖期を迎えたオスのヒョウアザラシは、水中で何時間もぶっ通しで歌い続けるのだそうです。 これは求愛や縄張りを主張するための行動だとされています。 彼らは数種類の決まった鳴き声を組み合わせて、個体ごと…
氷を育てる塩、氷を溶かす塩 2025/07/17Posted in文献, 自然環境 元アメリカ副大統領ゴア氏が出演したドキュメンタリー映画『不都合な真実』(2006年)で、南極の巨大な氷の塊が轟音とともに崩れ落ちるシーンは、地球温暖化の象徴として、私たちの脳裏に深く刻まれました。 ですから、「南極の…
足跡は語る―動物たちのグレートジャーニー 2025/07/10Posted in文献, 生物, 自然環境 2001年に公開されたフランスのドキュメンタリー映画『WATARIDORI』(Le Peuple Migrateur)は、渡り鳥の視点そのものになって、彼らの長大な旅を追体験させてくれます。 スタッフは鳥たちを雛の時…
四季をめぐるネズミの「おしゃべり」―声でつながる社会の仕組み 2025/06/29Posted in文献, 生物, 自然環境 私がイメージするネズミのコミュニティと言えば、なんといっても名作アニメ『ガンバの冒険』です。 ガンバとその仲間たちは困難を乗り越えながら、力を合わせて冒険を繰り広げていきます。 そこには、実験室のケージを回る小さなネ…
鳥の味覚は壊れてる?―酸っぱさを克服した驚異の進化 2025/06/26Posted in文献, 生物, 自然環境 私たち人間は甘い果物が大好きです。完熟したマンゴーなどは特に大層なごちそうです。 一方で、鳥たちは熟する前の酸っぱい果物でも平気な顔でついばみます。 熟するのを楽しみにしていたバンシルー(グァバ)の実が、いつの間にか…
親鳥の「おしどり夫婦度」はヒナの将来に影響するか? 2025/06/08Posted in文献, 生物, 自然環境 「おしどり夫婦」という言葉があります。 実際のおしどりが仲睦まじく寄り添う様子から、仲の良い夫婦を指す表現です。 鳥の世界では多くの場合、一夫一妻制の「夫婦」が数年間、時には一生を通じてパートナーシップを続けます。 …
日本庭園が持つ癒しの秘密―リズミカルな視線の動き 2025/06/01Posted in心理学, 文献, 日常, 自然環境 日々の暮らしには、どこか心を穏やかにしてくれる場所が必要です。それは特別なものでなくても構いません。 例えば、古くから日本人に愛されてきた日本庭園のような場所でも。 最近の興味深い研究によれば、日本庭園を静かに眺…
自然を楽しむということ―幸せの新しい視点 2025/05/29Posted in健康, 文献, 自然環境 紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。 晴れた日に公園を散歩したり、休日に山を歩いたりするのは心地よいものです。 多くの人が直感的に、自然の中にい…
心で森林浴:自然の癒しを再現する想像の力 2025/04/22Posted in心理学, 文献, 自然環境 毎日の忙しい生活で疲れが溜まったとき、多くの人は自然の風景に癒しを求めます。 実際に森や川を訪れるだけでなく、自然の写真や動画を見るだけでもストレスが軽減されると感じる人も多いでしょう。 最近では、この「自然の癒…
微小プラスチックと脳の健康:私たちが知るべきこと 2025/03/17Posted in健康, 文献, 自然環境 海洋のプラスチックごみが環境に与える影響は以前から知られていますが、近年の研究では、さらに微細なマイクロプラスチック(直径1µm以上)やナノプラスチック(1nm以上)が、人体の隅々にまで入り込んでいる可能性が指摘され…
2026 FIFAワールドカップ:選手を襲う見えない脅威とは? 2024/12/15Posted in文献, 日常, 自然環境 2026年のFIFAワールドカップは、アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で共同開催されます。 ワールドカップ史上初の試みであり、選手たちは多様な気候条件に順応する必要に迫られます。 開催地は広範囲にわたり、気候も様々…
プラスチックを食べる昆虫:ダークレッサーミールワーム 2024/12/05Posted in文献, 生物, 自然環境 マイクロプラスチックの問題は、現代社会における深刻な環境課題の一つとして広く認識されています。 これらの微小なプラスチックは、海洋から土壌に至るまで広く拡散し、野生生物や人間の健康にも悪影響を与えています。 特にポリ…
知床の海に漂う海氷の中にマイクロプラスチック 2024/12/04Posted in文献, 自然環境 近年、海洋汚染の問題が注目されていますが、みなさんは「海氷」がマイクロプラスチックを運んでいることをご存知でしょうか? 意外に思われるかもしれませんが、海氷はただ冷たく静かな存在ではなく、汚染物質を含む複雑な「運び屋…