セマグルチドの腎保護作用(糖尿病でなくても)

 

セマグルチドという薬が、糖尿病患者の腎臓を守る効果があることを紹介しましたが、糖尿病ではない肥満または過体重の人々にもその効果が及ぶことが分かりました。

(詳しくは6月2日付の「セマグルチドと2型糖尿病患者の慢性腎臓病」をご覧ください。)

これは、糖尿病以外のリスクが高い慢性腎臓病(CKD)患者にとって重要な意味を持ちます。

この研究は、17,604人の肥満または過体重の心血管疾患患者を対象にしたSELECT試験の二次解析に基づいています。

試験では、セマグルチドを服用したグループとプラセボ(偽薬)を服用したグループを比較しました。

その結果、セマグルチドを服用したグループでは、主要な心血管イベント(例えば心臓発作や脳卒中)が20%減少しました。

さらに、セマグルチドは腎臓に対しても有益な効果を示しました。

具体的には、腎臓病による死亡、血液透析などの腎代替療法の導入、推定糸球体濾過率(eGFR)の持続的な低下、または持続的なマクロアルブミン尿の発生がプラセボ群に比べて有意に少なかったのです。

この結果は、セマグルチドが腎臓を守る力を持っていることを示したものでした。

ただし、セマグルチドの腎臓を保護する効果が体重減少によるものか、薬そのもののメカニズムによるものかはまだ不明とのことです。

研究者たちは、一部の効果が体重変化に起因する可能性を示唆していますが、心代謝の改善など、他の要因も影響している可能性があります。

さらに、この研究はCKDの一次予防の可能性も示しています。

特に、eGFRが60 mL/min/1.73 m2以上の参加者や、ベースラインでCKDがない人々にも保護効果が見られました。

このことから、将来的な研究では、糖尿病やCKDを持たない高リスク患者に対する予防的使用の可能性がさらに調査されるべきでしょう。

この発見は、腎臓病の予防や治療に新しい道を開く可能性があります。

糖尿病患者だけでなく、糖尿病を持たない肥満や過体重の人々にも腎臓保護効果が及ぶことが確認されたことで、セマグルチドの使用範囲が広がるかもしれません。

ただし、副作用にも注意が必要です。

セマグルチドを投与されたグループでは、消化器系の副作用が原因で中止した患者がプラセボ群より多く見られました。

それでも、急性腎障害の発生率には有意な差がなかったため、セマグルチドは全体的に安全であると考えられています。

  

元論文:

Colhoun HM, Lingvay I, Brown PM, et al. Long-term kidney outcomes of semaglutide in obesity and cardiovascular disease in the SELECT trial. Nat Med. Published online May 25, 2024. doi:10.1038/s41591-024-03015-5