言葉と行動のギャップ

 

中国の「塩鉄論(えんてつろん)」の利議(りぎ)には、次のような一節があります。

言者不必有徳 何者、言之易而行之難

「言う者は必ずしも徳有らず。何となれば、これを言うは易(やす)くして、これを行うは難(かた)ければなり。」

この後半の一部をとって「言易行難」という四字熟語があります。簡単に言うと、「何かを言うことは簡単でも、実際にそれを行うことは難しい」という意味です。

世の中には「言うは易く行うは難し」として広く知られていますし、またよく使われている言葉ですね。

けれども、この言葉の真の意味を理解するには、自分自身でその経験をしなければなりません。

たとえば、誰かが「マラソンはキツイよ」と言ったとしましょう。ただそれを聞いただけでは、マラソンの難しさや挑戦の具体的な内容を理解することはできません。しかし、もし自分自身が本当にマラソンを走ってみたなら、その途中で体が重くなる感覚や、ゴールに向かって続ける困難さを実感することができます。つまり、自分自身が試みたことによって得られる経験は、「言うは易く行うは難し」という言葉の真の意味を深く理解するための助けとなるのです。

また、自分自身が困難な挑戦に取り組んだ経験は、他人の努力を尊重し、理解するための基盤を築くことにもつながります。他人が困難な挑戦に取り組んでいる姿を見て、「その挑戦は大変なことだろう」と感じるようになります。これにより、人々は自分の挑戦を尊重し、試行錯誤を通じて努力する姿を応援する文化が広がることになります。

ただし、全てがスムーズに進むわけではありません。失敗や批評もあるでしょう。しかし、それら全てが私たちの成長を促し、経験を通じた理解を深めるための貴重な過程となります。「言うは易く行うは難し」という言葉を体感し理解すれば、人々が自分自身の挑戦を尊重し、試行錯誤を通じて努力する姿を応援する文化が広がることになります。それこそが、私たちが「言うは易く行うは難し」という言葉を大切にする理由です。