「心の中のゾウと仲良くなると、人は動く」TEDx Talks

  

ネットサーフィンしていたら、いくつかの「TEDx Talks」が目に留まりました。

なかでも竹林正樹さんの TEDx Talks は、竹林さんの津軽弁の雰囲気がとても心地よく、話の内容としても大変興味深かったので最後まで見入ってしまいました。

竹林さんは、人々の行動を理解し、それを動かす方法についての話をしています。

特に、感情と理性の関係に焦点を当てたお話です。

 

タイトルは「心の中のゾウと仲良くなると、人は動く」

「心の中のゾウ」という言葉は、人間の「感情」を象徴するメタファー(比喩)として使っています。

感情は大きく、力強く、時には予測不能で、理性だけではコントロールできないことが多いという特性を持っています。それはまるで、大きなゾウが自由に動き回る様子に似ています。

例えば、あなたがとても怒っているとき、それはあなたの「ゾウ」が暴れていると言えます。そのとき、あなたの理性(つまり、冷静に物事を考える能力)は、その大きなゾウをコントロールしようとしますが、ゾウの力は強大で、なかなかうまくいかないことがあります。

しかし、この文書で提唱されている「ナッジ理論」を使うと、ゾウ(感情)をうまくコントロールすることができます。

「ナッジ」という言葉は、英語で「そっと押す」という意味があります。友達がちょっと動かないときに、そっと肩を押してあげるような感じです。言い換えれば、人を無理に動かすのではなく、そっと後押しする方法です。

それを理論にすると、「ナッジ理論」は、人が自分で考えて行動するときに、ちょっとだけ助けてあげる考え方です。それは、人が自分で考えて、良い選択をするのを助けるためのものです。

具体的には、以下の3つの法則が提唱されています:

 

1)ゾウ(感情)が疲れていないタイミングを選ぶ

2)ゾウから選択肢を奪わない

3)ゾウへ話しかけるときは、最初と最後をポジティブなイメージにする

この講演の中で、竹林さんは自身の祖母と父親との経験を通じて、これらの理論をどのように実践したかを説明しています。

彼は、祖母が糖尿病で目がほとんど見えなくなっていることを知り、彼女に医療の必要性を説得しようとしました。しかし、その試みは失敗し、祖母の病状は悪化しました。

この経験から、彼は「ナッジ理論」を学び、それを自身の父親に対して応用しました。父親もまた糖尿病であり、専門のクリニックに行くべきだと感じていましたが、なかなか行動に移せませんでした。竹林さんは、「ナッジ理論」を用いて父親をそっと後押しし、結果として父親はクリニックに行く決断をしました。

このことから、竹林さんは「ナッジ理論」を自身の家族や大切な人に対して応用することを勧めています。

その上で竹林さんは、ゾウ(感情)と仲良くなることの2つの利点を挙げています。

一つ目は、相手に腹が立たなくなること、二つ目は、自分の過ちを素直に謝れるようになることです。

そして、私たちに対して、自分の優しさを大切な人のゾウを喜ばせることに使うように呼びかけています。