「幸せの黄色いワーゲン」

 

小学生の頃、フォルクスワーゲンにまつわる都市伝説が盛んに広まっていました。

考えてみれば「都市伝説」という言葉さえなかった時代です。

例えば、遠足の時のバスの中で、目的地までに「フォルクスワーゲンを何台見つけることができるか」をクラスメイトと競いましたし、往路・復路を合わせて「100台見つけたら幸せになれる」というのもあった気がします。(ただし、水色を見たらリセットされるという鬼ルールつきでした。)

私たちが「フォルクスワーゲン」あるいは「ワーゲン」と呼んでいた車は、正式には「フォルクスワーゲン タイプ1」という車種で、「ビートル」という愛称で知られています。

2003年にメキシコ工場で最後の車両が完成し、それが生産終了のニュースとして報じられていました。

1970年代の沖縄では、「1日100台見つける」というミッションは、簡単ではないけれど頑張れば達成できそうに思えるぐらいにフォルクスワーゲンが走っていましたし、今ほどカラーのバリエーションもなかった気がします。

そういうレアな要素もあったのでしょう。フォルクスワーゲンにまつわる都市伝説の極め付けは「黄色いワーゲンを見たら幸せになれる」でした。

どういうわけか「幸せになれる」というのは共通していたようです。

「カブトムシ」と称される愛嬌のある造形の影響でしょうか。好印象のシンボルとして捉えられていたようです。

そういえば、浦添市大平にある自動車部品・用品店のバイパス(国道330号線)側の店先に、黄色いフォルクスワーゲンの廃車体が置いてありますね。

ここを通るたびに「『幸せになれる』というのはまだ有効かな」と思ってしまいます。

 

(写真はgoogleマップのストリートビューから)