本「死者を弔うということ」

 

 

この本のプロローグにこんな一節があります。

 

「誰か愛する人を亡くしたとき、そのことは私たちを悲しみと喪失感で満たすばかりでなく、私たち自身の死の影をより鮮明なものにする。父の死と時期を同じくして、私自身もまた、これから何十年かのうちには、いずれ終わりを迎えることになるのだと考えるようになった。」

 

若い時とは違って、私のような歳になると、人生のはかなさを感じ、死を自分のものとして想像するようになってきます。

「私はどのような告別を望むだろう?」

筆者も発したこの言葉は、私も何度も繰り返し自問した言葉でした。

この本は、世界各地の告別のあり方を通して、人類の死生観をたどっていくものです。ネットの紹介文は以下のようでした。

 

「自身の父親の死を機に、フィナンシャルタイムズのベテラン記者だった著者は世界各地のさまざまな「葬送」の姿を訪ね歩いた。文化や社会によって死のとらえ方、悲しみ方、儀式のあり方はきわめて多種多様なかたちをもつ。それらの歴史的な経緯もたどりつつ、人間にとっての「死」「死者」の意味を問う。紀行文のように綴られた文章には臨場感があり、多様な死の儀式を追体験するうちに、私たち自身の「死」のあり方を考えさせてくれる。」

 

読後にあたたかさを感じた本でした。