五つの束縛と五つのはたらき

 

今日はダンマパダ(法句経)(中村元訳)の偈から。

 

370 五つ(の束縛)を断て。五つ(の束縛)を捨てよ。さらに五つ(のはたらき)を修めよ。五つの執著を超えた修行僧は、<激流を渡った者>とよばれる。

 

370は、「第25章 修行僧」に収められている偈です。このあたりになると、より専門向けの教えがならんでいます。

 

370を意訳したら、こんなふうになります。

煩悩の束縛を立て。煩悩を捨てよ。そして仏教で説かれた実践を日々行うようにせよ。そうすれば激流を渡って彼岸へと行ける。

 

ここで言う五つの束縛とは、「貪欲(とんよく)」「瞋恚(しんに)」「有身見(うしんけん)」「戒禁取(かいごんしゅ)」「疑」の五つです。

それぞれ「過剰な欲望」「怒り」「自分への執着」「自分の行為が正しいと執着する」「疑い・迷い」という意味になります。

これらは苦しみを生み出してしまうものです。

束縛から離れるための五つの修めるべきはたらきとは、「信」「精進」「念」「定」「慧」の五つ。

それぞれ「しっかりと納得して信じる」「やるべきことにまい進する」「思いやイメージ」「心身が静寂なる状態」「自分の都合なしで思考や認識ができる」の意味です。

心と体のバランスが崩れて苦しみが生まれる。この苦しみはさらなる苦しみを生み出す負の連鎖となる。これを止めるために五つのはたらきを修めましょうということです。