「四苦八苦」

 

「四苦八苦」が仏教の言葉であることはよく知られています。

「四苦」とは「生老病死」の四つの苦。

「八苦」はこの「四苦」にそれ以外の四つの苦を加えたものです。

それ以外の四つの苦とは以下のようなものです。

 

愛別離苦(あいべつりく):どんなに親愛である者とも必ず別れなくてはならない苦しみ

怨憎会苦(おんぞうえく):どんなに恨み憎む者とも会わなければならない苦しみ

求不得苦(ぐふとくく):求めているものが得られない苦しみ

五蘊盛苦(ごうんじょうく):人間の肉体と精神が思うがままにならない苦しみ

 

除夜の鐘を108回つくのは、108の煩悩があるからと言われていますね。

108の数字の由来のひとつに、4×9(四苦)+8×9(八苦)という説がありますが、私はこの説が好きです。

(もっとも、六塵(6)×好・悪・平(3)×染・浄(2)×過去・現在・未来(3)=108の方に説得力があるとは思いますが)

この「四苦八苦」は、残念ながら誰にでも必ず起きるものです。

誰もがいずれ死を迎えなくてはならない以上、特に「愛別離苦」はもっとも残酷な経験として人々の心を深く傷つけます。例外なくあらゆる人にです。

一休禅師は、独特の言い回しでその厳しい現実に直面する民の苦しみを癒そうとしました。

「生まれては死ぬるなりけりおしなべて 釈迦も達磨も猫も杓子も」

そういう一休禅師は、こうも詠んでいますね。一休の名前の由来となった歌です。

「有漏路(うろじ:現世)より無漏路(むろじ:あの世のこと)にかえる一休み、雨降らば降れ風吹かば吹け」

現世で過ごす時間など、あの世から来てあの世へ帰るまでの一休みの時間でしかない。それならば、雨が降ろうが、風が吹こうが大したことではない。

苦に囚われて生きていくのも、カラッと生きていくのも自分次第。そんな一休さんの爽やかさが伝わるような歌です。