禅語「老婆心切」

 

今日紹介する禅語は「老婆心切」

老婆心とは、辞書にはこうあります。

 

仏語。老婆が子や孫をいつくしむように、師が弟子をいつくしみ導く親身な心遣い。また、必要以上に世話をやこうとする気持ちをへりくだっていう語

 

主に後半の「必要以上なおせっかい」という言葉で使われることが多いかも知れませんね。

一般的には「老婆心ながら」とへりくだりながら進言などする際の前置きとして使います。

けれども、禅の言葉としては「無条件に人を愛する心を養うこと」という意味で使います。

最近は、ネット上で「論破」とか「くそリプ」とかの言葉が目につくようになりました。

多くの情報が容易く入手できる一方で、知識を得た気になって理屈で人を打ち負かすことに熱をあげる風潮なのかも知れません。

道元禅師はかつて「老婆心が足りぬ」と弟子たちを叱ったそうです。

禅の目的は、理屈にこだわることではなく、「老婆心」にあると諭したのです。

人を思う心、相手のためを思って行動することが大切であると教えてくれる言葉です。

へりくだる際の前置きの言葉としてだけではなく、「老婆心切」の本来の意味として胸に刻みたいですね。