SF「夜来る」

 

 

三大SF作家と言えば、アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインラインの3人です。

「夜来る」はそのうちのひとり、アシモフによる1941年に発表した短編SF小説です。

  

舞台は惑星ラガッシュ。そこでは6つの太陽が存在し、常に地上が照らされているために「夜」が存在しない世界という設定です。

夜の闇を知らずに文明を築き上げてきたラガッシュでしたが、科学者たちがある事実を発見します。それはこの星に2049年に1度の日食による夜がくること。ラガッシュ人の誰も経験したことのない闇夜が刻一刻と迫る中、狂気にも似た恐怖が人々を襲います。過去にも、日食の周期に一致して、ラガッシュの文明が灰燼に帰していたという史実が、終末教団の聖典に口伝として残っていたのでした。そして、いよいよラガッシュ全体が闇夜に包まれていきます。天を仰ぐ人々は、その光景に打ちのめされていました。天空に、幾千もの星々が強烈な光輝を放って輝き出でていたのです。

 

常に昼しかない世界に夜が訪れたら、その世界の住人はどうなるか?という仮想に基づく小説です。

短編ということもあるでしょうが、一気に読み終えました。名作と言われる所以でもあるでしょう。

「もしも」の設定だけで、これだけ読ませてくれるのですから、さすがアシモフだと感嘆せざるを得ません。

夜を知らないことは、星々の存在を知らないことに他ならなかったということ。極めて教訓的ですし、そこに読者それぞれの面白さを発見するのでしょう。

500冊以上もの書物を世に送り出したアシモフですが、この初期の出世作「夜来る」が最高傑作の短編と評価されることに、複雑な思いを持っていたらしいです。