映画化

 

昨日、SF「夏への扉」の話を書いたあと、もしやと思って「夏への扉 映画化」と検索してみたら、やはりありました。

しかも、思ったよりも最近のこと、2021年公開でした。個人的に驚いたのが日本映画だったことです。

同じロバート・A・ハインラインの「輪廻の蛇」を映画化した「プリデスティネーション」はオーストラリアの作品でしたし、原作が有名なだけにとっくにアメリカで映画化されているものだと思っていました。

けれども、考えてみれば「夏への扉」は映画化しにくい作品の気がします。

「輪廻の蛇」の場合、短編小説なのでいくらでも膨らまし方があります。実際、「プリデスティネーション」は登場人物や組織を増やすなりして、よりわかりやすい設定にしていました。

その点、「夏への扉」は名作SFの長編小説です。当然、原作ファンを意識しなければなりませんし、テーマを絞り込む必要もありますから、苦しいです。

それに加えて、原作は1956年発表です。

当時は斬新だった「タイムトラベル」も、かなり手垢がついたお話ですし、ロマンティックなストーリーも今やどこかで聞いたことがあるお話になってしまった感があります。

「猫SF」とも称される原作にあやかるしかないか…などと余計なことを考えながら、実際に観てみました。

間違いなく、製作陣は「夏への扉」のファンでした。原作が好きでリスペクトするあまり、大胆な解釈で観客を裏切ることを良しとしなかったようです。

展開がシンプルで、わかりやすかったですし、何より意欲的でした。

この映画を観た後に原作を読みたくなる人が増えたのではないでしょうか。

「読んでから見るか。見てから読むか」

昔はやったキャッチコピーを思い出しました。